謎の声
遅くなりましたがよろしくお願いします!
「これはシールと言って、私と母様、親衛隊の者しか知らない魔法カードだ。魔力が極端に少ない私のために母様が作ってくれたカードなんだ…このカードに魔法を発動するとその魔法を一つだけ封印することが出来る…簡単に言うと魔力が無くてもこれを使えば魔法を使うことが出来るカードだ」
イリアルはカードを手に持ちながらそう説明する。
「ただ…一回使うと一年間使えなくなると言う欠点があるんです」
イリアルの説明の後でユリーシャが少し微笑みながらそう付け加えた。
「へー…………って、えっ?一回使うと一年も使えなくなるって?」
一瞬受け入れそうになった言葉を繰り返して僕は聞いた。
「あー…まぁな…母様からはよくここぞと言うときにだけ使いなさいと念押して言われていたな…」
イリアルは笑いながら言う。
「いや…笑ってる場合?僕なんかのために…」
「悠真!」
「悠真様!」
いきなりの大声に僕はビクリと体を振るわせた。
二人は下を向いている僕の前に来てギュッと僕を抱きしめた。
「えっ?」
二人の行動に僕は緊張気味に声を漏らす。
「悠真…自分の命をそう安くするな…」
「悠真様は私たちにとってシールを使っても良いくらいかけがえの無いくらい大切な方なのです…」
二人は泣きながら僕を力強くでも優しく抱きしめそう言う。
「でも…僕がしっかり前を見て歩いていれば…二人の助けになりたくて来たのに…僕は二人にまた迷惑をかけてしまった…」
気付いたら僕の目からは波だがこぼれ落ちていた。
僕らは三人で泣いた。
『大丈夫』
二人にそう言われたような気がした。
気付ば三人とも目は真っ赤、鼻水はしたたれ落ちていてぐしゃぐしゃな顔だ。
「ふっ…」
僕らはお互いの顔を見合わせて笑った。
「反省はここまでだ…敵がいるならばさっきの大声で気づかれたかもしれない…」
「そうですね?」
二人は戦闘モードに切り替え気を張る。
《ゆ…ま…な…に…くる…ぞ…》
アルンから途切れ途切れではあるがそう聞こえた。
「来る?」
僕がボソリとそう言ったときだった。
[シュッ]
何かが僕をめがけ飛んできた。
「悠真様!」
ユリーシャが咄嗟に僕を抱きかかえそれを避ける。
「悠真様、大丈夫でしたか?」
ユリーシャは僕を地面につかせ心配そうに言う。
「ありがとう…」
僕はユリーシャに礼を言う。
「悠真!大丈夫か?」
イリアルも僕に駆け寄り背を向けて言う。
「誰だ!」
イリアルは辺りを見渡しながらそう叫んだ。
「あっちゃー…外れてしまいましたか…」
どこからともなく声が聞こえる。
「妙な声だな…ふざけてるのか!いいから姿を見せろ!」
「いえいえ…ふざけてはいませんよ?それに姿を見せろと言われて、はいそうですか…っと姿をお見せするバカではありませんよ?」
「なっ…」
声の主は挑発するようにそう言う。
「なんで…なんでこの世界にボイスチェンジャーがあるんだ!」
僕は聞き覚えのある機械音が現実世界にあったボイスチェンジャーだと思い出し声の主に質問する。
「さぁ…何でですかね?まぁ…それはさておき、この先に面白い見世物を用意していますから見て行って下さい!ふふふっ」
そう笑いながらその声は小さくなり消えた。
「いったいなんなんだ…」
「見世物って?」
「行ってみるしかないな…」
二人はかなり不機嫌そうにそう言う。
「悠真!立てるか?」
「悠真様!立てますか?」
二人は僕に手を伸ばし言う。
「うん」
僕はそう言って二人の手を取り立ち上がった。
「悠真…私たちから離れるなよ?」
「絶対ですよ?」
二人から感じる凄まじいほどの気迫に僕はただ頷き
「うん」
としか言えなかった。
そして、僕らは声の主が言った洞窟の先に見える光の方へ歩き出した。
徐々に光が大きくなり狭かった洞窟の道が開けてきた。
僕らは広間の入り口に止まり恐る恐る中を除く。
「なっ!」
中の光景を目にした僕らはそう言って言葉を失った。
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