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ユリーシャの秘密と僕らの一歩

福を浴びながら、僕とユリーシャは王国の中心街ファルファットを目指す。


「ユリーシャ様ー!帰りにうちの店に寄っていってくださいね!サービスしますので!」


果物屋の女性が言う。


「ありがとうございます!」


ユリーシャは、手を上げて女性に言う。


「あっ!ユリーシャ様!先日はお助け頂きありがとうございます!」


老婆がユリーシャに近づいてきて手を合わせてお礼を言う。


「お身体からだの方は大丈夫ですか?お孫さんは?」


ユリーシャは、老婆の手をそっと握りながらそう言う。


「私はこの通り、ユリーシャ様...いえ、勇者様のお陰でピンピンしております!孫もあの時、助けて頂いたお陰で友達と、元気に外を走り回っております。本当にありがとうございました。」


老婆はニコニコ笑いながら何度も何度も頭を下げて、ユリーシャにお礼を言って人混みの中に消えていった。


「ユリーシャ...少し質問しても良い?」


唐突に、あることが気になった僕はユリーシャに話しかける。


「なんですか?悠真様...」


ユリーシャは、カーペルの人達の声援を受け手を振りながら返事をする。


「なんで...四つも門があるのに、カーペルから入るんだ?それと、ユリーシャって本当に一勇者ってだけなのか?それにしては、街の人達の声援が半端ない気がする!確かに勇者は国の英雄だ!拍手喝采があっても可笑しくはないとは思うけど...それにしても異常すぎるような気がして...」


僕は街の人々を見ながらユリーシャに聞く。


「悠真様にはなんでもお見通しみたいですね...」


ボソリといったその言葉は、僕の耳には届かなかった。


「ん?何か言った?」


僕はユリーシャを見る。


(バチッ)


一瞬ユリーシャと目が合ったがユリーシャは(フッ)目をそらして


「いえ!なんでもありませんわ、えーと、あっそうそう、悠真様の質問にお答えしますわね!」


としどろもどろに話を戻す。


「私がなぜ、東のカーペルから入ったか...それに関しては、カーペルには昔ながらの身にまとうものを職人さんが沢山住んでいらっしゃるのです。例えば、革靴や洋服、帽子や下着、身にまとうものならかなり揃っています。まぁ、輸入や輸出もしていますので、他の街にないというわけではないのですが...私がこだわるのは...」


そう言うとユリーシャは、急に立ち止まり、ある店の前でクルリと半回転をして僕の方を向く。


「この店があるからです!」


そう言いながらユリーシャは右指を指した。


ユリーシャが指差した先には、他の店よりも少し小さいが、かなりお洒落な店が立っていた。


「アメ...ジス?」


僕は店の名前をゆっくり読んだ。


「はい!ここアメジスは私が幼い頃からお世話になっている店なのです!ドレス、タキシード、スーツなど正装を主に作っていて、ここで使っている素材は他では中々手に入らないものばかりなのです!」


ユリーシャは満面の笑顔で話をする。


「それに、このアメジスでは、全てがオーダーメイド製で寸法さえ測ればものの一時間程度で、世界に一着しかないものを作って下さるのです!」


ユリーシャが目をキラキラさせ説明していると、店の中から老夫婦が出てきた。


「これはこれは!ユリーシャ様いや...勇者様!お待ちしておりました!貴方様が悠真様でございますか?」


タキシードをピシャリと着こなした老父がそう言いながら近づいてくる。


「ユールにコルバ!お久しぶりです!」


ユリーシャは今まで出さなかったくらい大きな声を出し二人に近づいていった。


「立派になられて!ささ、準備は出来ておりますので、中にお入りください!」


派手ではないが綺麗な服を身にまとった老婦が言ってくる。


「すみません、最近中々来られずに...」


ユリーシャは、申し訳なさそうに二人に謝っていたが老夫婦は首を横に振り


「暇があるときにこうして元気な姿を見せて頂ければ良いのです!」


「そうですよ!それだけでも私達は嬉しいのですから」


と言い、ユリーシャの頭を撫でた。


頭を撫でられユリーシャは嬉しそうだった。


「それで、時間がないのですよね?急いでお支度くしますので、悠真様、店中の奥にお部屋がありますので、そこに行きますよ!」


再会の喜びも束の間、僕は老婦のユールに連れられ店中の部屋へ通される。


「お連れしましたよ!時間がないから、パパッとすませましょうね!」


僕が通された部屋には三人の女性が寸法道具を持って待っていた。


「えぇ?」


「さぁ!悠真様!寸法をはからせて貰いますよ!」


(キラーン)


「ルルーシャ、アル、ララル任せましたよ?」


「...?」


僕は呆然とその場で立ち尽くしていると、ルルーシャ、アル、ララルと言われた三人が僕の両手と腰に手をやり、靴を脱がされ、部屋の真ん中までズルズルと移動させられた瞬間...


「身長160㎝、ウエスト60㎝(略)」


「はいはい!」


と物凄い勢いで僕の寸法を測りだした。


寸法を測り終えた僕は、フラフラ状態でやっとのこと部屋を出た。


「ふぇー...」


「悠真様...お疲れ様でした!一時間程度で出来ると思います。それまで、お疲れでしたら、あそこのベンチで休まれますか?」


ユリーシャは心配そうに僕を見ながら、店中の二人用ベンチを指差した。


「う...うん!そ...そうさせて貰おうかな?」


僕はその言葉に甘えることにし、フラフラしながらベンチへと向かい横になる。


かなり疲れたのか、横になった瞬間僕の記憶はそこで途切れた。


それから、どのくらい寝ただろうか


「さま...悠真...様...悠真様」


そうささやくユリーシャの声に僕はうっすらと目を開けた。


「悠真様...出来たようですよ?起きてください。」


(目の前にユリーシャの顔とその前に二つの大きな山がある...なんだ?)


僕はまだ寝ぼけており目の前にそびえる山を(ツン!)と触る、柔らかい...僕は無意識に(ツンツン)とその柔らかい山を触る。


「ン!アーン!」


(ん?色っぽい声...)


僕は、ようやく目を覚まし今触っている柔らかい山を見る。


(おっ...ぱい?)


僕の表情は一気に青ざめていった。


「すっ...すいませーん!」


僕はその場で跳びあがり床に伏せ土下座する。


「もう!悠真様はエッチなのですから...」


今までと明らかに反応が違う。僕は顔を上げてユリーシャを見る。


そこには、顔を赤らめ、膝がかすかにプルプルと震えるユリーシャの姿があった。


「大丈夫?ユリーシャ...気分悪い?」


僕がそう言いベンチに座っているユリーシャの隣に座た。


ユリーシャの膝に少し手が当たる。


「キャァ!」


ユリーシャが声を上げて膝の震えが大きくなる。


「もしかして、足痺れた?まさかとは思うけど、ずっと膝枕してたの?」


僕の問いかけにユリーシャはコクコクと首を縦に振る。


「そんな事するから...」


「だって、あまりにも悠真様の寝顔がステキで、近くで見ていたかったんです...」


ユリーシャはそう言うと恥ずかしそうに顔を隠した。


そんなユリーシャに僕はなんと返事をして良いのか困り下を向いた。


「悠真様?目が覚められましたか?用意が出来ていますのでこれにお早くお着替えください。」


そう言って渡されたのは上下純白のスーツにちょっとした飾りがついた物だった。


「え?これを、僕が?きるの?」


僕が戸惑っていると


「はい!脱いで着替えますよ!」


とユールが服を脱がせた。


「えっ...えー!」


僕がそう言ってるとパパパッと手慣れたように着替えさせられ、僕は今さっき作られたスーツに腕を通しユリーシャの前に連れて行かれる。


「...。」


ユリーシャはポカーンと口を開け僕を見つめる。

「ど...どうかな?」


照れ臭そうに僕が言うとユリーシャは(ハッ)とした表情をし


「すっ...凄く似合っていますわ!」


と言い両手を口元で合わせモジモジとする。


「そっ...そうかな?」


「悠真様!よく、お似合いですぞ!ささ、私の馬車でファルファットの王宮までお送りしましょう!」


そう言って老父のコボルが馬車を用意する。


僕らは馬車に乗り込み、ユールとルルーシャ、アル、ララルに手を振りお礼を言い、中心街のファルファットに向かった。


さっきまで東にあった太陽はいつの間にか真上にあった。


「着きましたぞ!」


馬車に揺られ数十分、僕とユリーシャは目的地である、中心街、ファルファットの王宮に着いた。


「お世話になりました。コボル!」


「いえいえ!では、失礼します。」


コボルはそう言うと馬車を半回転させ颯爽と去って行った。その姿を見ながらユリーシャは手を振り、僕は遠ざかる馬車に向かって深々と一礼した。


「さて、行きましょう!悠真様!」


ユリーシャはそう言いながら僕の手を引いて王宮の中に入る。


王宮に入り、王室まで行く途中、僕はこの国に来た時にした、質問のもう一つを思い出した。


「そう言えば質問二にはまだ答えをもらって...」


「シッ!静かに歩いてください、その答えはもうすぐしたらお答えしますので...」


ユリーシャからそう言われ、僕は黙ってユリーシャの隣を歩く。


兵士達に見られながら僕とユリーシャはある扉の前に立った。


「勇者 ユリーシャ・アスベルト・フォックスと十六夜 悠真が只今到着しました!」


兵士の一人が扉の前でそう叫ぶと、表面は赤く淵は黄金で塗られたでかい扉が(ギィー)と音を立てゆっくりと開いた。


扉の奥の王室には、一人玉座に座る男の姿が...。


「王様、ユリーシャ・アスベルト・フォックス、只今到着いたしました。」


ユリーシャは背筋をピシッとしスタスタと王様の前に行くと片膝と片手をつき頭を下げる。


僕もユリーシャに続きまねをする。


「うむ!よくぞ帰ってきたな!ユリーシャよ!顔を上げよ!」


「はっ!」


ユリーシャはそう言うと片手片膝をついたまま顔を上げる。


「うむ!して、そちらの紳士を紹介してくれるか?ユリーシャよ!」


王様は僕をチラリと見てユリーシャに問いかける。


「はっ!この方は昨日さくじつ空から落ちてきて私の胸を触り、こねくりまわた方、私の夫になるおかたでございます!」


(ちょっと、なんかそれだと僕が襲ったみたいな言い方じゃないか?)


僕はそう思いながらユリーシャの話を黙って聞く。


「ほほぅ!その者がか!そのほう名はなんという?」


王様から名前を聞かれた僕は


「えっと、僕...じゃない、私の名前は十六夜 悠真と申します」


と震えながら答える。


「ふむ!悠真よ!本当にユリーシャの夫になるのだな?」


「はい!じゃないと僕が殺されてしまいますので...」


王様はふむふむ聞いていたが(ん?)とした顔になり僕を見る。


「悠真よ、もう一度言ってくれるか?」


「ん...?じゃないと僕が殺されてしまいますので?」


僕は王様に言われるがままもう一度言う。


「なぜ、悠真は殺されてしまうんだ?」


僕の言葉を聞き王様は質問してくる。


「えっ?この国では胸を揉まれた女は揉んだ男の嫁にならない、それをしなかったら処刑されると聞きましたので...」


「確かに、わが国ではそのような法律ルールが存在する。だが、処刑される法律ルールは死人が溢れかえるからだめだとなり否決されたのだよ?」


「えっ?えー!」


「えー!」(ほぼ同時)


それを聞かされて叫んだのは僕だけじゃなかったようで...


「お父様!どういうことですか?私は国民から話を聞いたのですよ?」


ユリーシャが言う。


「ユリーシャよ!君が話を聞いたのはいつだ?」


王様が額に手を当て聞く。


「確か...半年以上前だったと...」


「それは、まだ可決されるか否決されるか決まっていない時だ!二ヶ月前にようやく決まったのだ!お前の所にもこの手紙を...あっ...」


王様は手紙を出して固まる。


「手紙を?」


ユリーシャはスクリと立、王様の前に行く。


「すまない!ユリーシャよ!」


王様はユリーシャに頭を下げた。


(何ともシュールな光景だ!国の王様が一勇者に頭を下げて...ん?まてよ...)


僕は記憶を頭の中で逆回転させ会話をリプレイする。


(お父様!どういうことですか?私は国民から話を聞いたのですよ...ん?もう一度.....お父様!どういうことですか?私は国民から話を聞いたのですよ...お父...様?)


僕は二人を見ながら


「えーーー!親子ーー!?」


とこれでもかというくらいの声で叫んだ。


「あっ...えっと、そうなのです。」


ユリーシャはそう言うとしまったという顔をして僕を見た。


ここは、もう一つの国...。


《グランデル王国》



「魔王様!速報です!」


「どうした?」


「アルデルンの勇者(姫)のユリーシャが婿を取るとかなんとかと言う情報が!」


「何?それは許せん!私よりも先に婿をとるなどあってはならぬ事だ!そして、その相手は?」


「はっ!こちらでございます!」


(悠真の写真)


「なっ!」


(ドキッ)


「かっ...可愛い!」


「はい?」


「私はこの者が気に入った!すぐに私の国に連れてこい!」


「ハッ!」


そう言いながら魔族達はアルデルン王国へと出発した。



《アルデルン王国(王宮)》



「あの?ユリーシャは国のお姫様だったの?」


僕は、ビックリした顔をし、ユリーシャに尋ねる。


「はい!私から言うつもりでしたのに...仕方ありません、悠真様!私は勇者でもありこの国、アルデルン王国の第一皇女で本当の名前をユリーシャ・アルデルン・フォックスなのです!」


「そうだったのか!どうして最初から言ってくれなかったの?」


僕は、そう言いながらユリーシャを見つめる。


「いえ...言い出せなかったのです!悠真様がお会いになるのは、この国の王で私の父です...とは、余計に緊張しますし、私への対応がよそよそしくなるのが嫌だったのです。」


ユリーシャの目からは一粒の涙がこぼろれおちた。


(もう言葉足らずになるのは嫌だ!せっかくあの神様がくれた第二の世界!自分の言いたいこと言えなくてどうするんだ!僕はユリーシャの泣き顔が見たいんじゃないだろ?)


そう思いながら、僕はパズルのピースを慎重に合わせるように、言葉に出す。


「いや...攻めてるわけではないんだ!ただ、ユリーシャがお姫様でも勇者でも、僕は、変わらない!これからも、タメ口で話すし、名前もユリーシャって言い続ける。だけど、一つだけお願いがあるんだ!いきなり、結婚とかは身が引けるなら、まずは友達から初めても良いかな?僕らの一歩として」


(僕はユリーシャを守りたいと思った、だけどそのためにはもっとユリーシャと仲良くなる必要がある!)


内心でもそう思いながら、僕は力強くユリーシャに言った!


「ふむ!では、結婚のけんは、一旦保留にする!この国の法律ルールは胸を揉まれた女は揉んだ男の嫁になる。(しかし、両方が両思いであることとする。)だからな!」


王様は王宮中に響き渡る声で言った。


「はい!」


僕とユリーシャはそれに負けないくらい大きな声で返事を返す!


そして、僕らは王室から出る。


僕の生活はユリーシャに任せらされ、ユリーシャの森の家で暮らすことになった。


(ボソッ)

「悠真様を絶対、私の虜にさせますわ!だって、悠真様が落ちてきたとき、天使が振ってきたんじゃないかと思ったくらい綺麗な顔でしたし、一目惚れだったのだから!」


王室から、出る際にユリーシャはボソリと何かを言ったきがしたが、王室の扉が閉まる音でよくは聞こえなかった。


そして、僕らは王宮の門をくぐり抜けた、その時だった。


(グヲォー!)


何やら嫌な鳴き声が僕の頭上で鳴いていた。


ユリーシャは急いで腰の剣に手をやる...その時だった(グヲォー!)とまた、低い鳴き声が聞こえたかと思うと、僕の体は宙に浮いて瞬く間にユリーシャ達が見えなくなった。


「しまった...」


「へぇ?」


僕は、何が起こったのかわからない、ただ背中には生ぬるいぬるぬるした物が当たっており、目の前には鋭く尖った牙が並んでいた。


「悠真様ー!」


はるか地上からはユリーシャの叫び声が聞こえていた。


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