四人の静なる夜(後編)
今回は短いですがよろしくお願いします!
僕は今、リビングの暖炉の前で何故か椅子に縛られて座っている。
両隣にはイリアルとユリーシャが立っていてユリーシャは何やら呪文を唱えている。
(ん?なんでこうなった?)
ことの初めは約三十分前…。
「今から何をするの?」
僕はイリアルに尋ねる。
「あー…えっと、ユリーシャが魔王の血を少しだけだが受け継いでるのは前に話したよな?」
イリアルは言う。
「うん…でも微々たる量だから治癒魔法しか使えないって…」
僕は前に話して貰った事を思い出しながら言う。
「そう…本来ならばユリーシャは治癒魔法しか使えない筈だった…」
「筈だった?」
イリアルの言葉を僕は復唱する。
「そう…この屋敷に来て皆で暮らしてみて分かったことがある。私とユリーシャ、そして悠真が触れ合ったときだけユリーシャの力か私の力かがどちらかに流れ込み、ユリーシャは魔法を私は勇者の力を使うことが出来る様になると知ったんだ。」
「えっ…ちょっと待って…頭が混乱して…」
イリアルの話に僕の頭はオーバーヒートしそうになる。
「私も初めはイリアルのどうしょうもない噓話だと思ってました。でも、悠真様とイリアルと私の三人で寝たときに初めて気付いたのです。その時は意識を集中させないと分からないくらいでしたが確かに私の中にイリアルの力が入ってくると感じたのです。」
「えっ?じゃあ、僕を通すことでイリアルかユリーシャのどちらかが魔王と勇者の力が手に入るって事?」
僕はオーバーヒートしそうになる脳をさらにフル回転させながら言う。
「そうだ(です)!」
二人は僕の方を見てそう言った。
「むー…何となく分かったような分からなかったような…」
僕は考えながらそう言う。
「まぁ…兎に角やってみれば分かると思うぞ!っとその前に…」
そう言うとイリアルはシャルを呼び僕を椅子に座らせる。
そして、今に至る…
「いやいやいや…可笑しいよこれ、なんで僕は椅子に縛られてるの?」
何処からツッコミを入れたら良いのか悩みながら僕はそう言う。
「悠真様集中して下さい!」
呪文を唱えながらユリーシャが言う。
「いや…集中も何も…」
(両腕に胸がガッツリ当たっていて集中できる男の子はいないと思うけど…)
僕はそう思いながら一様目を瞑る。
「悠真、集中だ!集中!」
イリアルがそう声をかける。
(僕は人形、僕は人形…人形…人形…)
そう思いながら僕は自己暗示の様に頭の中でそれを繰り返した。
すると、頭の中で小さく何かが光る。
(ん?なんだ?)
僕がその光を追い掛けようとしたときその光は消えてしまった。
「悠真?」
「悠真様?」
(はっ!)
僕はイリアルとユリーシャの声で目を開ける。
二人は何時の間にか僕の前に立っており、僕は椅子の縛りから開放されていた。
「ん…うーん…」
「悠真様!気付かれたんですね?」
僕がボーッとしながら頭を抱えているとユリーシャが心配そうに僕を見てそう言った。
「うん…何があったの?」
僕は頭をフルフルと振りながら聞く。
「ユリーシャが悠真の中に入って数分が立って帰ってきたかと思ったら悠真の力が急に抜けて気を失っていたんだ!」
イリアルが説明する。
「それで…何か分かったの?」
「悠真様の中に隠された秘密が少しだけ分かりました。普通ならこの力を使えば完璧に分かるはずですが、悠真様の中には不思議な力があり、イリアルの力と合わせても悠真様の力を完璧に調べることは出来なかったです。しかし、悠真様の中に何やら斑模様の小さなでも巨大な力を持つ悠真様の姿がありました。スヤスヤと吐息をたてて寝ていましたが…あれは?悠真様、何か思い当たることは?」
ユリーシャは僕の中にはいって見たものをそのまま伝え、僕に質問してきた。
「うーん…」
ユリーシャに聞かれた僕はこの世界に来てからの事を色々と思い出してみる。
「あっ…そう言えば何度か変な夢を見てるような気がする。」
僕は薄らと覚えている夢の事を言う。
「それはどう言う夢ですか!?」
「のあっ!」
(ゴン!)
ユリーシャが勢いよく顔を近づけてきて僕はびっくりして椅子ごと後ろに倒れ頭を打った。
「いてててて…」
「悠真!」
「悠真様!」
「悠さん!」
「大丈夫か(ですか)?」
三人は倒れた僕に近づき心配そうに言う。
「ははっ…うん…頭打ったけど大丈夫大丈夫!」
「すみません…」
僕が笑いながらそう言うとユリーシャがシュンとした顔で謝ってきた。
「大丈夫だよ、ユリーシャ!あっそうそう、夢の中で神様が僕にその子が覚醒するときにまた会いに来るって言ってたんだ!確か、イリアルが魔法暴走してそれを一心不乱に止めたときだったかな?」
僕はムクリと起き上がりそう言う。
「あの時のですか?どうりで…」
「そんなに珍しい魔法だったのか?」
ユリーシャが考える中、イリアルはそうユリーシャに聞いていた。
「珍しいと言うか…強力すぎる魔力を感じたんです!優にイリアルを超えた魔力を…」
ユリーシャはイリアルの質問に少し難しい顔をしてそう答えた。
「グランデル様よりもですか?」
シャルは驚きを隠せない顔でユリーシャに言う。
「はい…でも、あの後…イリアルを悠真様が助けた後にその魔力は消えていて…多分莫大な魔力を使ったから消費して消えたのかと思っていましたが…」
「ユリーシャから話を聞かされた私は悠真の魔力消費を感知してみたが…悠真の体の中からは魔力その者が存在してなかったから不思議には思っていたが…ユリーシャの言葉を疑うわけではないが…それが本当ならば、悠真は偶然じゃなく必然的に私たちの前にいるのかもしれない…」
イリアルは今までに無い真剣なまなざしで僕を見た。
「まさか!あれですか?」
ユリーシャもハッとなり僕を見る。
「あの話?」
僕は首を傾げながら二人を見る。
「もしかして、あの神話ですか?しかし、あれは作り話では?」
シャルも話の内容が分かり二人に言う。
「それが本当の話で、月日が立つにつれ、その話の事実を知るものがいなくなったとしたら?」
「作り話化してもおかしくありません…」
イリアルとユリーシャは言う。
「ちょっと、皆待って!何の話をしているの?僕にはちんぷんかんぷんで全く分からないんだけど?」
僕は三人の話が全く分からず困惑した表情で言う。
「すみません。悠真様は分からないで当たり前です…異世界から来なさったのですから。では、悠真様に話しましょう。昔々まだ、人間(勇者)と魔王軍が戦っていた時代の話です。」
聞いてみたいけど、聞きたく無い…そう直感で思う僕を裏腹に、とある神話の話が始まった。
最後まで読んで下さりありがとうございます!




