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四人の静なる夜(前編)

遅くなりました!


(久々のリビングでの食事だな!)


僕はそう思いながら食堂のドアを開ける。


食堂に入ると、皆は僕の方を見て微笑んだ。


僕は何時もの席に座り祈りが終わり、食事が始まった。


「悠真様、体調の方は良くなりましたか?」


隣からユリーシャがそう僕に聞く。


「あっ…うん、怠さは消えたかな?」


僕は微笑みながらそう答えた。


「ふふっ、それでしたら良かったです。」


ユリーシャは優しく笑いながらそう言った。


そうして、食事は終わり僕は久々に大浴場に行く。


(ザブーン)


「ふぅー…そう言えば、あの時何があったのか聞くのを忘れてた。後で、シャルの所に行って聞いてみようかな?」


僕は独り言のようにそう言い、久々の大浴場で足を伸ばした。


(『まだ、思い出せない?』)


(バシャン)


「はっ…」


僕は何時の間にかウトウトしていて、気が付くとおもいきり湯船に顔を突っ込んでいた。


「はぁ…死ぬかと思った…」


僕は慌てて湯船から顔を上げ一息する。


「あがろ」


僕はそう言って湯船から上がった。


(コンコン!)


「ハーイ?」


(ガチャ)


そう言いながらシャルがドアを開ける。


「待ってましたよ、悠さん」


シャルは僕が来るのを予知していたみたいな言い回しで僕に言う。


「僕が来ること分かってたの?」


僕は驚いた顔をしてシャルに聞く。


「立ち話もあれですし、中に入って話しますか?」


シャルはそう言うとどうぞといった手で、僕を部屋へと招き入れた。


「その辺にかけて下さい。紅茶出しますね?」


僕はシャルに言われるまま椅子に腰掛けた。


(コトン)


「どうぞ!」


シャルはそう言って紅茶を僕の前に置いた。


「ありがとう。そう言えば、リリアは?」


「リリアはお風呂ですよ。一時間くらいは上がらないと思うので話を聞かれる心配はないですよ?」


シャルは微笑みながら言う。


「あーそうなんだね…」


「はい」


「…」


「…」


妙な静けさが部屋を包む。


(黙り込んでどうすんだ僕…えーと、あの話を…)


僕はそう思いながら目の前に置かれた紅茶をグイッと飲んだ。


「あっ熱!熱々!」


僕は慌ててカップから手を放してしまった。


「あっ…」


(ガシャン)


カップに入った紅茶は見事に僕の太ももに落ちる。


「あっつい、あちあちあち…」


僕は慌てて椅子から立ち上がった。


「悠さん!?大丈夫ですか?」


シャルが驚いたような顔で僕に近づきハンカチで僕の太ももを拭いた。


「はぁ、ほんとに悠さんは…」


「ごめんね…」


「…」


「ぷっ…ふははは!」


一瞬の沈黙の後僕とシャルは二人で笑った。


なんで笑い出したのかは分からない、けど無性に可笑しくなってお腹が痛くなるくらい笑いが出てきてしまったのだ。


「はぁー…」


僕らは笑い終え一息する。


「それで、悠さんどうします?一旦着替えて別の場所で話をしますか?」


シャルは首を傾げ僕にそう言った。


「そうだね!リリアが帰ってくるかもだし僕は一旦部屋に戻って着替えて来るよ!じゃあ、何処に行けば良いかな?」


「では…」


そう言ってシャルは僕に耳打ちをする。


「分かった!じゃあまた後で」


僕はそう言ってシャルの部屋を後にした。


「ふぅー…」


僕は自分の部屋に戻り服を着がえる。


着がえおえた僕はベッドに横になり、そのままウトウトと寝てしまった。


「はっ!」


僕が目を覚ますと僕の体には布団が掛けられいた。


「んーん…悠真様…」


声が聞こえ隣を見るとユリーシャが眠っていた。


「ははっ…無防備過ぎじゃないかな?これで勇者なのだから驚きだ…」


見慣れた横顔を見ながら僕は静かに笑った。


「悠真様…あまり無理をされないで下さい!」


そう言いながらユリーシャは無意識に僕の頭を撫でた。


「僕のこと、本当に心配してくれたんだね?ありがとう。」


「ふふっ」


僕がユリーシャの耳元でそう囁くとユリーシャは嬉しそうな顔をして笑っていた。


「今何時だろう?」


僕は部屋にかけられた時計を見る。


約束の時間は過ぎてないみたいだ。


(ほっ…良かったそれにしても、ユリーシャだけでイリアルがいないのが気になるけどまぁ兎に角、シャルから言われた待ち合わせ場所まで行かないと)


僕はそう思いながらユリーシャが眠るベッドからそーっと抜け出して部屋を出てシャルから言われた場所に向かった。


(ガチャ)


「シャル?」


僕はそーっとリビングの扉を開けそう言う。


皆が寝静まっているせいか、妙に声が通る。


「あっ悠さん、こっちです」


シャルは暖炉の前に立っていて手招きをしていた。


シャルに近寄るともう一人ソファーに腰掛けている影が見えた。


「イリアル!?」


「シー!」


僕が少し大きな声を出すとシャルが口に指を当てそう言った。


「あっ…ごめん…何でイリアルがいるの?」


僕は小声に戻しシャルに聞く。


「今回みたいなことが無いようにって再三聞かされて話しすぎてしまわれたのか寝てしまわれたのです…」


シャルは苦笑いをしながら僕に言う。


「ははっ…でも、今回のことは僕にも落ち度はあるからシャルだけが悪いんじゃないからね?」


「ふっ…グランデル様も怒りながらも同じようなこと言われてました。」


僕が心配しながら言うとシャルは少し微笑みながらそう言った。


「そっか…イリアルも」


僕はそう言いながら幼子のように寝るイリアルの頭を撫でた。


「これで一国をまとめてる魔王なんだよな」


イリアルを見ながら僕はそう呟いた。


「ふっそうですよ?あっそう言えばあの時の話をしないといけませんね?」


シャルはそう言ってハクアが男どもを切りつけようとした後に何があったのか話してくれた。


「…そっか。僕が…」


話を聞いた僕は自分でも驚くほど冷静で落ち着いていた。


「はい…。悠さんは剣術を習われたことが?」


「いや…剣を持ったのもあれが初めてだった。」


「それにしては、受け止め方や殺気の出し方が半端なかったように感じました。」


僕の答えにシャルは悩みながらそう言う。


「悠真の中にはまだ目覚めていない心があるんだと私は感じたが?」


「えっ?」


いきなりイリアルがしゃべったから僕とシャルは驚いてイリアルを見る。


「グランデル様!起きておられたのですか?」


「イリアル!?いつから起きていたの?」


シャルと僕はイリアルに聞く。


「今さっき、悠真が剣は扱ったこと無いって所からかな?」


イリアルは質問に答える。


(ガチャ!)


「悠真様ー?」


そう言いながら入ってきたのはユリーシャだった。


「ユリーシャか、丁度良かった!あの魔法を使って悠真を見てはくれないか?」


「えっ?えっなに?」


イリアルにいきなり頼まれユリーシャは混乱して言う。


「かくかくしかじか…」


混乱するユリーシャにイリアルは説明する。


「なるほど…分かりました!」


ユリーシャは納得したようにそう言った。


(いったい何をするんだろう?)


僕はそう思いながら首を傾げた。 

いつも最後まで読んで下さる皆様、ありがとうございます!


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