異世界転生と勇者との出会い!
(僕はどうしたんだ?)
目を開けると真っ暗で何も見えない。
(ここは...どこだ?)
何が起きたか分からない僕は、ゆっくりと上体を起こし、キョロキョロと辺りを見渡す。
(あっ...そうか...僕は、電車に引かれて死んだのか...)
やっと自分が置かれた立場を理解する。
(16年か...短い人生だったのかな?そして、ここは、あの世への入口なのかな?もし、そうだったら、僕は天国に行けるだろうか...)
僕は冷静にそんな事を考えている時だった。
(十六夜 悠真よ!君は自分の性格を変えたいと思ってる?それとも今のままでいいと思ってる?)
どこからともなく、綺麗な声が聞こえてきた。
(えっ?誰?)
死人に口はないと言うがまったく、その通りである。僕は必死に喋ろうとするが、声が出ないのだ!
(私は神よ!)
声は外から耳を通り聞こえるのではなく、内側から聞こえているようだった。
(神...様...?)
僕は、心の中で呟く。
(そうよ!)
神様と名乗る声の主がそう言った時だった...。
(ピカー)と目の前が光に包まれる。
(うっ...)
僕は、光のせいで目がくらみ咄嗟に目を覆う。
しばらくして、ゆっくりと目を開ける。
目の前には、白いワンピースに包まれた、可愛い女の子(まだ10代くらい?)が立っていた。
(もう一度、聞くわ。十六夜 悠真よ...君は自分の性格を変えたいと思ってる?それとも今のままでいいと思ってる?)
その少女は再度質問をしてくる。
(僕は...僕は、どうしたいんだ?だけど、死んでしまった今、性格を変えたいも何も...ねぇ...。だけど...こうなる前の僕だったらこんな性格変えたいと願っただろうけど...。)
僕がそうこう考えていると
(分かりました!では、君にはある異世界に転生します!言葉や文字は理解できる世界なので問題ないと思いますが、そこで自分についてしっかりと考えて生きてください。君自体はその姿のままです。じゃあ、後は、これから行く世界が教えてくれるでしょう。)
(え?僕はまだなにも...)
いきなりの異世界転生を神様から言い渡された僕はただただ驚きしかなかった。
(最後に悠真にとってのこれからの未来が光り輝く未来になるように天から見守っています!それでは、頑張ってね!)
神様は、そう言うと姿を消した...。
(ゴー!!!)
(何やら地面が動いているような...)
僕がそう思った瞬間だった。
(フッ)と地面は消え、僕は空に投げ出された。
一瞬目を閉じて開けると、そこには、地面に向けて急降下する自分。
「えっ?えー!」
そう叫びながら落ちていくと目の前に青々と茂った木がありそこにダイブする。
(ガサガサガサガサ)
(ドン!)
(いて...)
「いててて、あの神様はなんなんだ?本当に神様なのだろうか...?でも、なんとか助かったな!」
何重もの木がクッションになったおかげで僕は大した怪我をしなかった。
「いっ...痛いです。」
「ん?」
(下から何やら声が聞こえるな...しかも、なんか、フニフニと柔らかい物が手に触れて...)
僕はそう思いながら下を見た。
そこには、17歳くらいかな?服装は軽装ティーシャツに長ズボンをはき、腰には銀色に光る剣が下がっており、肌は透き通ったような明るい肌色、髪は、長い髪に色は綺麗な金髪の可愛い女の子が下にいて、僕の手はその子の胸に置かれていた。
「キャー!」
(バシッ)
「目の色は...透き通ったブルー...」
その子から物凄い力でビンタを受けた僕は、そう言いながら気を失ってその場に倒れた。
どのくらい、立っただろうか、僕が再び目を開けると見知らぬ木で出来た天井と草木で出来たフカフカベッドの上に眠っていた。
(ゴソゴソゴソ)
「うーん...」
(ん?誰か隣に寝ている?)
そのような感じがし、僕は恐る恐る隣を見ると、上半身裸の女の子が(スースー)と寝息を立てて寝ていた。
「ん?」
僕は一瞬目を疑い2度見をする。間違いなく、さっき僕にビンタを打った女の子がそこに寝ている。
(バッ!)
僕は自分自身の体を見る。上半身が脱げている。
(どういうこと?)
僕がアタフタしてると
「んっ...んー、あっ...起きていたんですね!」
と女の子が寝起きの顔で僕を見た。
「あっ...あの...これは?いったい...」
(あっ!今気がついたけど、喋れる!)
僕が、そう思いながら挙動不審になっていると
「大丈夫ですよ?何もしてないですから!あと、さっきはいきなりのことで、パニックになり、ビンタを打ってしまいすみません...」
と女の子が謝ってきた。
「あっ...いえ、僕の方こそすみませんでした...その...胸を(ゴニョゴニョ)」
そう言うとその女の子はクスリと笑い、僕を見た。
その子につられ僕もクスリと笑う。
「あなたの名前は、なんですか?」
その子は言う。
「えっと...」
言葉が詰まる僕。
「あっ...申し訳ありません...私の名前から言わないとですね!私の名前はユリーシャ!ユリーシャ・アスベルト・フォックスと申します。こう見えて、この国の勇者をやっております!名前が長いので、ユリーシャとお呼びください!旦那様!」
「あっ...えっと...僕の名前は、十六夜 悠真...です。ん?てか、旦那様って何がですか?」
僕はユリーシャの旦那様と言った事に疑問を感じ、自己紹介と共に質問した。
「悠真様は、私の胸を触りましたよね?」
ユリーシャは、(ん?)とした顔をし僕を見る。
「えっと...確かに、触りましたね?」
僕がそう言うと
「では、やはり悠真様は私の旦那様です!」
ユリーシャはウンウンと首を縦に振り1人納得する。
「フェ?」
意味が分からず、変な声が出た僕の頭は?でいっぱいだ!そんな僕を見てユリーシャは
「悠真様はこの国の法律を知らないのですか?何処からいらしたんですか?」
ユリーシャは首を横に傾げながら僕を見つめる。
「あっ...えっと...物凄い遠い国からドラゴンから吹っ飛ばされて?」
(あー...よくも、あることないことよく言える。絶対あやしまれる...)
僕がそう思っていると
「それはそれは、大変でしたね!でも、悠真様は運が良い!飛ばされてきて偶然とは言え私の胸に飛び込んできたのだから。」
ユリーシャは、これでもかっと言う笑顔で僕に言ってきた。
「さっきから何を?」
僕はユリーシャに尋ねる。
「あっそうか!この国では胸を揉まれた女は揉んだ男の嫁に行くと言う法律があるのです!」
ユリーシャは淡々と僕に話をしてきた。
「え?えー!」(本日2回目)
これが、僕と勇者であるユリーシャとの出会いであった。