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それぞれの用事とウィルへの買い出し(前編)

今回もよろしくお願いします!

何時もより長文になりましたが最後まで読んで下されば嬉しい限りです。


「あっ…」


僕が階段を下りていると後ろからそう声がする。


「あっ…」


僕は後ろを振り返りそう言った。


僕の後にはエリが申し訳なさそうに立っている。


「おっ…おは」


僕がエリの方を向き挨拶をしようとしたその時…


「昨日はすみませんでした。」


エリは突然頭を下げて僕に謝ってきた。


「ふぇっ?」


僕は何が何やら分からず思わず裏返ったような変な声が出た。


「あの後、アルから説明された…私たちの関係を秘密にしてくれるって言ってくれたから、その恩返しに忠誠の誓いをしたって。本当に、ごめんなさい!それと…」


エリはそう言うと言葉を詰まらせた。


「悠真様ー。何をしているのですか?早く行きますよー」


下からユリーシャがそう言う。


「あっ…うん!すぐに行くから先に言ってて。」


僕は振り向きながらそう叫ぶ。


「分かりました!」


「早く来るのだぞ!」


ユリーシャとイリアルはそう言うと食堂に向かっていった。


「ごめ…」


僕がそう言いかけたとき


「ありがとう」


ボソリとエリがそう言った。


「ん?今…なんて?」


僕は驚きながらエリに聞く。


「何でも無い!」


エリはそう言うと(ふんっ)と顔を赤らめながらそっぽを向き僕の横を通り過ぎていった。


「どういたしまして!」


僕は階段を下りるエリに向かって微笑みながらそう言った。


「…」


エリは僕の方を振り向き(ボソリ)と何かを言うと風のように食堂の方に去って行った。


(私も悠真に忠誠を…って聞こえたような…)


「気のせいかな?」


僕は首を傾げながら階段を下りていく。


「ゆっ…悠真様ーどいて下さい!」


僕が階段を下り終わったその時後ろからそう叫ぶ声が聞こえて僕は咄嗟に後ろを見た。


「えっ?」


目の前にはシャルの青ざめた顔が


「のわーーー!!」


「のぁっ!」


(ドスン)


シャルはそう言いながら僕に体当たりをした。


(いったたたた…ん?)


僕が目を開けると、そこは暗闇で何か柔らかくて暖かいものに包まれていた。


(なんだこれは…)


僕はそう思いながらそれに触れる。


「ひゃっ…」


それに触れた瞬間そう声が聞こえた。


(まっ…まさか!)


そう、僕の目の前にある柔らかく、暖かいものの正体はシャルのお尻だった。


「ふがっふがふがふんが」


僕は自分が置かれた状況に気づきジタバタと暴れる。


「ちょっ…悠真様あんまり暴れると…あん…(はぁはぁはぁ)」


その声に僕は(ピキッ)と固まった。


「どうしたんだ?」


「どうしたのですか?」


騒ぎを聞きつけたようにユリーシャとイリアルが階段に近づいてくる音が聞こえる。


「どいてくれないか!?」


僕は慌てたようにシャルにそう言う。


「あっ…すみません」


シャルはそう言うと急いで僕からどいた。


「どうしたんだ。何か凄い音が聞こえたぞ?」


「何があったのですか?」


階段についた二人は僕を見てそう言う。


「あー…いや、シャルが階段から落ちたみたいでそれに巻き込まれた音だよ」


僕は苦笑いしながらイリアルとユリーシャにそう言う。


「大丈夫だったのか?」


「大丈夫ですか?」


イリアルとユリーシャは心配そうにそう言った。


「あぁ…大丈夫、大丈夫だよ!」


「すみませんでした!」


僕が、イリアルとユリーシャから手を差しのばされ起こされているとシャルが頭を下げて謝ってきた。


「僕は大丈夫だよ!シャルは?怪我…しなかったか?」


僕はそう言いながらシャルを見る。


「…僕も大丈夫です!」


シャルは申し訳なさそうに僕を見てそう言う。


「ふぅ…それなら良かった。女性なんだから気をつけないとだめだよ?」


僕はホッとした表情でそう言うとシャルの頭にポンッと手を置いた。


「…」


シャルは顔を赤くしながら下を俯く。


「悠真様!行きますよ!」


「そうだぞ!悠真…早くしないと料理が冷めるだろ!」


僕の腕を引っ張りながらユリーシャとイリアルはそう言った。


「のぁっ…ちょっ二人ともそんなに引っ張らなくても」


「うるさい!」


僕の言葉に二人はそう叫ぶ。


二人が何に腹を立てているのか分からず僕は首を傾げる。


「全く…悠真様は誰にでも甘すぎるんです…」


「そうだ」


二人はボソリと何かを言った。


「ん?」


僕はその言葉が聞こえず首をかしげる。


「はぁー…」


そんな僕を見て二人はため息をつく。


そうして僕らは食堂についた。


「…」


シーンとした中僕らは朝食を食べる。


「あー…そうだ、今日はしなくてはならない事があるから少しグランデル王国まで戻って来るが良いか?それと、エルグ、一緒に付いてきてくれるか?」


「私も以来でアルデルン王国に行かないといけないので良いかな?ルルーシュ、付いてきてくれる?」


二人は朝食を取りながらエルグとルルーシュを見てそう言う。


「はい!」


二人はイリアルとユリーシャにそう返事を返す。


朝食を終えた後、イリアルとエルグ、ユリーシャとルルーシュはそれぞれドラゴンとグリフィンに乗ってそれぞれの王国に向かった。


「さてと…うーん…」


僕はユリーシャたちを見送ったあと今日は何をするか考える。


「悠真様?どうかしましたか?」


「のぁっ!」


僕が色々考えていると(ひょこり)とシャルの顔が目の前に来て僕はビックリして後に倒れ尻餅をついた。


「いっててて…」


僕は顔を下に向けそう言う。


「あっ…すみません!そんなに驚かれるとは思わず…」


シャルはビックリしたように僕を見ながらそう言った。


「いや、いきなり目の前に顔を出されると誰でも驚くよ」


僕は困ったように頭を掻きながらそう言う。


「それは…すみません」


シャルはシュンとした顔をしながら僕に手を伸ばす。


「全く…と見せかけて、えい!」


僕はシャルの手を握った瞬間、お返しのようにシャルを引っ張りバランスを崩した。


「えっ?」


いきなりの事でシャルは驚いたのか目を瞑りながらそう言う。


「よっと…」


(ストン)


僕は旨い具合にシャルを半回転させて腰を持ちゆっくりと僕の横に尻餅をつかせた。


「…」


シャルは瞑っていた目を開き驚いた表情をする。


「はははっ…さっきのお返し!」


僕はシャルの驚いた顔を見ながら笑ってそう言う。


「ふぅー…もう!驚かせないで下さい!ビックリしましたよ!」


シャルは涙目でそう言いながら僕を見る。


「えっ…ごめん…痛かった?ゆっくり下ろしたつもりだったんだけど…何処か怪我した?」


僕は心配しながらシャルに話しかける。


「怪我はしていません。少しビックリただけです。僕もなんで涙が出るのか分からないんです」


そう言いながらシャルは涙を拭う。


「あー…ビックリさせちゃってごめんね?お詫びと言っちゃ何だけど…シャルの今日の予定は何かある?」


僕は困ったようにシャルにそう聞く。


「えっと…キルとハクアと一緒に買い出しに行こうかなと思ってます。」


シャルは流れる涙を拭きながらそう言う。


「じゃあ、その買い出し僕も手伝うよ!」


僕はそう言いながらシャルを見る。


「えっ…ですが、悠真様はカーペルとグランデル市以外では疑いの目を向けられる身…もしもの事があっては…それに、あれは僕が先に仕掛けたのが悪いので…悠真様は気にしないで下さい。」


戸惑いながらシャルはそう言う。


「でもなー…ずっと屋敷にいてばかりも僕が病んでしまいそうなんだよ…」


僕は正直な事を言う。


「ですが…」


シャルが俯きながらそう言った時だった…


「じゃあ、悠真様だとバレなければ良いんだね?」


後ろから声をかけられて僕とシャルは後ろを振り向く。


「えへへ」


僕らの後ろにはララルが笑いながら立っていた。


「ララル!何処からそこに居たんだ?」


僕は驚きながらララルに言う。


「えーと…シャルさんの今日の予定を悠真様が聞いているところからですかね?」


ララルは考えながらそう言う。


「そこから?早く声かけてくれれば良かったのに…」


「いえ…えっと…悠真様が何故シャルさんをデートに誘っているのか気になりまして…ははははは…」


僕の問いにララルは苦笑いしながらそう答える。


「デ…デートに誘ってた訳じゃ…」


僕は言葉を詰まらせながらそう言う。


「えっ?違うんですか?」


ララルは驚いたように僕とシャルを見てそう言った。


「違うよ!」


僕とシャルは同時にそう叫ぶ。


「私の勘違い…ですか…」


ララルは僕らの声に少し尻込みながらそう言った。


「うん…」


僕はそう言うとシャルの予定を聞くに至るまでの話をララルにした。


「…なるほど。」


ララルは納得したように首を立てに振る。


「ですから、良いですよ?悠真様は屋敷にいて下さい!」


シャルはそう言いながら僕を見る。


「いや…でも…」


「分かりました!そう言うことなら私とアルに任せて下さい!」


僕とシャルがそうこう言っているとララルが間に入ってきて自信満々にそう言った。


「何か良い案があるの?」


僕はララルにそう訪ねる。


「えっと…要するに、悠真様だとバレなければ良いのですよね?因みに何処に買い出しに行かれるのですか?」


ララルは首を傾げてそう聞く。


「ウィルに行こうと思ってるんだけど…」


シャルはララルを見ながらそう言った。


「ウィル…ですか…あそこならあの格好をしていればバレないかもです!」


ララルは僕を上から下まで見てからそう言う。


「ララルは僕に何をするきだ?」

 

僕は引きつった顔をしながらララルに言う。


「少しいいですか?シャルさん…」


僕の言葉を完全にスルーしてララルはシャルを手招きし何やら耳打ちしている。


「…というのはどうですか?」


「まぁ…それなら悠真様だとバレないね!あの街の人は皆そんな格好だし…僕もそれで行こうかと思っていたから…でもそうすぐに出来るものなの?ララル…」


「はい!三十分もあればかのうです!私とアルに任せて下さい!そうと決まれば、早速私はアルを探して作業に移りますね?」


何やら話は終わったようでララルは急いで屋敷の中に消えていった。


「何の話をしてたの?」


僕はシャルに近寄りながら聞く。


「まぁ…後の楽しみです!それより、キルとハクアに事情を話して出かける準備をしないといけないので悠真様はララルから呼ばれるまで待機していて下さい!これ、お貸ししときますので…」


シャルはそう言うと僕に1冊の本を手渡した。


「ん?これは?」


「暇つぶしにはピッタリの本です!僕のおすすめの本なんです。あそこに木陰がありますのでそこに座られて呼んでいては?」


シャルはそう言うと屋敷の中に入っていった。


僕はシャルから言われた木陰に入り本のページを開く。


「僕…この世界の文字を果たして読めるのだろうか…」


僕は小声に出しながらそう呟く。


「…。…。…。」


(あれ?読める?)


僕は本が読めることに驚きもくもくとその本を読んでいった。


「…結構面白いな。」


(シャルが暇つぶしにはピッタリの本だと言っていたがよく分かる!)


僕はそう思いながらシャルから受け取った本の世界に入り込んでいく。


「悠…様…?」


「…」


「悠真…様?」


「…」


「悠真様!」


「のぁっ!」


僕はいきなりの大声にビックリして本を放り上げてしまう。


「あっと…」


そう言って本をキャッチしたのはララルだった。


「ララルか…驚いた…」


僕はホッと胸を撫で下ろしそう言う。


「悠真様と何回か声をかけたのですが、本の世界にすっかり入り込んでいたみたいだったので少し大きい声を出したのですが、そこまで驚かれるとは思っていませんでした。あっ…はい、どうぞ?」


ララルはそう言いながら本を渡す。


「ありがとう。借り物だったから助かった!」


僕はララルから本を受け取りそう言う。


「シャルさんの本ですね?」


「なんで、わかるの?」


その一言に僕は驚きながらララルを見る。


「えへへ…秘密です!」


ララルは左の人差し指を立てて口元に当てそう言う。


「そっか…」


ララルの返事に僕は一言そう返した。


「…えっ?それだけですか?なんで知ってるのか気にならないんですか?」


多分予想だにしなかった言葉を返されて慌てたのだろう、僕の返答に驚きながらララルはそう言った。


「いや…秘密と言われたから、検索は止めようとしてその話題を終わらせたのだけど…なんか可笑しかった?」


僕は首を傾げながらララルに聞く。


「あっ…えっと…それより、悠真様、こちらに来て下さい!」


ララルは話を強制終了させると、僕の手を引っ張り屋敷の中に連れて行く。


「ちょっ…ララル?」


僕はララルに引っ張られるがまま一つの部屋に入った。


「主!お出かけに行かれるとララルに聞き良い物を作ったので早速来てみて下さい!」


部屋の中にはアルがいて僕に洋服を渡した。


「…?これを着れば良いの?」


「はい!さぁ、悠真様ここに入って着替えて下さい!」


ララルはそう言いながら首を傾げる僕を着替え室入れた。


「…へぇー。凄い確かにこれなら顔はバレないかも…」


僕は渡された服を着て鏡を見ながらそう独り言のようにボソリと言う。


「悠真様ー…着れましたか?」


「主…何処か手直しするところはありますか?」


外からララルとアルが叫ぶ。


「あー…大丈夫!凄く良いよ!」


「じゃあ、開けますよ?」


(シャー)


僕が返事をしたとたん、ララルがそう言いながら着替え室のカーテンを開ける。


「うん!悠真様、かなりお似合いです!」


「おー…やはり、主はどんな服でも似合いますね!」


ララルとアルは黒にワンポイントはいっているフード付きマントを着た僕を見て言う。


「いや…ララルたちのセンスがいいんだよ!僕のために作ってくれてありがとう!」


微笑みながら僕は言う。


「いえ…主の頼みとあれば…また何かありましたら、このアルに何でも言って下さい!実際の所、私も同行したいのですが、今日は今から用事がありますので申し訳ございませんが…」


「謝らないで良いよ?急に決めたことだしね!」


謝るアルに僕は優しい顔で言った。


(コンコン)


ドアを叩く音が鳴る。


「はーい!」


そう言いながらララルがドアを開けた。


「悠真様ー?準備は出来ましたか?」


そう言って入ってきたのはシャルだった。


「うん…どう…かな?」


「はい、バッチリです!それなら大丈夫でしょう!ララル、アルありがとうございました!」


シャルは僕にそう言うと、アルとララルにお礼を言った。


「どういたしまして!シャル(さん)、悠真様(主)を頼みます!」


アルとララルは微笑みかけながらシャルに言った。


「任せて下さい!さぁ、キルとハクアが待ってますので行きましょう!」


シャルはそう言うと、アルとララルに軽くお辞儀をして部屋を出た。


シャルの後を追うように僕も二人に手を振り部屋を出た。


「そう言えば、シャルもマント着るんだね?」


「そうですよ?ウィルはほとんどの人がこの格好をしているので…ウィル以外の街では普段の服装で行くのですが、ウィルだけはマントをしていないと逆に怪しまれるのです。」


シャルはワインレッド色のフード付きマントを一度見てそう説明しながらキルとハクアが待っている場所に向かう。


「あっ来た来た!おー!悠真様似合ってますね!」


青のフード付きマントに身を包んだキルが言う。


「本当に良くお似合いです!」


白のフード付きマントに身を包んだハクアが言った。


「ありがとう!今日はよろしくね!」


僕はキルとハクアに言う。


「じゃあ、皆さん僕に掴まって下さい!行きますよ?」


シャルがそう言い僕ら三人はシャルに掴まる。


「ウィルまでどのくらいでつく?」


僕はシャルに聞く。


「三十分~四十分だと思います。では、行きましょう。」


僕の質問に答えシャルは呪文を唱える。


そうして僕らはウィルへと向かった。

ここまで読んで下さった皆様ありがとうございます!

今年最後の投稿になると思いますのでご挨拶を…

今年の11月から小説投稿を始めて約二ヶ月投稿も19話まで来ました。ここまで続けて来れたのは皆さんが読んで下さっているからです!本当にありがとうございます。

20話目は来年になりますが、これからもモテ僕をよろしくお願いします!

それでは皆様、良いお年を!

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