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内緒話と忠誠の証

遅くなりましたすみません!


食堂のキッチン


「アースさん、そちらはどうですか?」


「ララル、こっちは殆ど終わったぞ!」


「こっちももう終わりますので、食堂に並べてご飯にしましょう!」


二人はそんな会話をしながら料理を作っている。


(ギー。)


「アース料理は出来たか?」


イリアルが食堂の扉を開けキッチンに向かいながら言う。


「ララル…貴方の料理食べるの久しぶりで、どんな物か見に来ましたよ。」


ユリーシャもキッチンに向ながらそう話す。


「グランデル様、ユリーシャ様、悠真様!」


アースとララルはそう言いながら僕らを見た。


「おー!美味しそうな物がたくさんだな!」


イリアルが皿に盛り付けられた料理を見て言う。


「私たちも、手伝いますわ。これを持っていけばいいの?」


ユリーシャはそう言うと盛り付けられた料理をテーブルに運ぶ。


「じゃあ、私も手伝うとしようか!」


イリアルもそう言うと料理を運び始めた。


「じゃあ、僕も…」


僕も二人に続いて手伝おうとしたときだった。


「グランデル様!ユリーシャ様!ここは、私とアースさんとでやりますので、リビングで皆さんと一緒に待っていてはどうですか?」


ララルが慌てながら二人に言った。


「そうか?」


「そうですか?」


イリアルとユリーシャは料理をいくつか運びながら、そう言い二人を見る。


「大丈夫です。わしとララルに任せてリビングで皆と一緒にゆったりとしていて下さい!」


アースはそう言うと胸を叩いた。


「そうか…まぁアースがそこまで言うのなら向こうで待つとするか。じゃあ頼んだぞアース!」


イリアルは持っていた料理をテーブルに置きアースを見てそう言う。


「そうですね!では、ララルあなた方に任せるとします。では、悠真様もリビングに行きましょう。」


ユリーシャも料理をテーブルに置きそう言いながら僕の手を引いた。


「あっ!待って下さい!」


二人はそうハモリながら僕らに言う。


「えっ?」


僕らはその声に驚き二人の方を振り向く。


「どうした?」


「どうしたの?」


イリアルとユリーシャは二人を見ながらそう言う。


「そのー…グランデル様とユリーシャ様そして悠真様さえ良ければ、悠真様だけはこちらに残って貰いたいのですが…」


ララルは控えめな声で僕らを見ながらそう言った。


ララルの横でアースも頷きながら僕らを見る。


「悠真様を?どうして?」


ユリーシャは首を傾げながら言う。


「あの…ですね…」


ララルは手を合わせながらオドオドとする。


「もっと悠真様の事が知りたくて話がしたいのです。」


ララルに見かねたアースが助け船を出すようにそう言った。


「では、食事が終わってから皆で聞いた方が良いんじゃないか?」


イリアルは二人を見ながらそう言う。


「わしらは食事の片付けもあるので…」


イリアルの返しに少し焦りながらアースは言う。


「まぁ、そう言うことなら良いのでは?私は構いませんよ?」


ユリーシャはアースの話に納得したように言う。


「はぁ…まぁ、良いだろう。分かった、悠真は良いか?」


イリアルは少し疑問に思っていたがため息をつきながら二人にそう言い僕を見た。


「えっ?僕は別にいいよ?」


僕は疑問系にそう言うと四人を見る。


「本当ですか?」


ララルは驚いたようにイリアルとユリーシャを見てそう言った。


「あぁ!ユリーシャも良いと言ってるしな。じゃあ、私たちはリビングに行こうか。」


イリアルはユリーシャを見て言う。


「えぇ。では、悠真様後ほど…」


二人はそう言うと食堂を後にした。


「では悠真様はそちらのテーブルにお座り下さい。今アースさんが悠真様に飲み物を作っていますのでそちらを飲みながら私たちとお話しましょう。」


ララルはそう言いながら手招きをする。


「あっ…うん、分かった。」


僕は言われるがままにテーブルに座る。


僕がテーブルに座って一分も立たないうちにアースがグラスを片手に僕の元に来た。


(コトン、カラン)


僕の前にグラスを置くとグラスの中の氷が心地よく鳴る。


「悠真様は紅茶は、大丈夫ですかのぅ?」


アースは僕を見ながらそう言う。


「えっ?あー大丈夫だよ?」


僕は紅茶の言葉がこの世界で聞けたことに驚きながらそう返した。


「それは良かった、これはわしが作ったアルンティーデスじゃ!」


アースはえっへんと手を腰に当て言う。


「あー…ありがとう。ところでアース…僕に対しては無理に敬語使わなくてもいいよ?後で皆にも言うつもりだったけど。」


僕は苦笑いしながらアースに言う。


「そうかのぅ…悠真様がそう言うのであればわしとしては有難い限りじゃ!」


アースは一旦首を傾げたがすぐに首を元に戻し頷きながら僕に言った。


「そう…それで?アルンティーって?」


僕は頷きながら話を戻す。


「あー、アルンティーとはわしが捕ってきた葉っぱを乾燥させてブレンドさせ作った紅茶じゃ!グランデル様も好きな紅茶でな、まぁ飲んでみれば分かるかのぅ。」


アースは僕をみながらそう言った。


僕は置かれたグラスを持ち一口飲む。


「んっ!美味しい!」


「ですよね!アースさんの紅茶美味しいですよね?あの何とも言えない味、口の中に広がる程よい甘さ…(以下略)」


僕の言葉になぜかララルが反応して言う。


「なんか、ララルの方が嬉しそうだね...」


僕はペラペラと喋っているララルを横目にアースに苦笑いしながら言う。


「あー…じゃが美味しいと言ってあーやって笑ってくれる者がいるのじゃ嬉しいものじゃとわしは思うのじゃ!」


アースはララルを見て微笑みながらそう言う。


「そっか…」


そんな話をしながらアースの人柄が少し分かったような気がした。


アースを見た瞬間、僕らは目が合い二人で(クスリ)と笑う。


「悠真様?アースさん?聞いていますか?」


ララルが笑う僕とアースを見ながら首をかしげそう言う。


「聞いてる聞いてる。」


「聞いておるぞ!」


僕とアースはララルを見て言う。


「でも、二人して笑っていませんでしたか?」


ララルは不審な目で僕らを見る。


「いや?ララルの気のせいじゃないかのぅ?」


アースは首を傾げてそう言う。


「そうですかね?」


ララルは首を傾げながら言う。


「そうじゃない?」


僕もアースに乗っかりララルにそう言う。


「お二人がそう言うのでしたらそうな気がしてきました。」


ララルはそう言うと最後の仕上げの為にキッチンの中で半回転して僕とアースに背を向ける。


ララルが背を向けてから僕がアースを見るとアースは僕を見てウインクをして笑った。


「じゃあララル、わしは料理を運ぶとするがいいかのぅ?」


アースはそういいながら僕に背を向けキッチンに向ながらそう言った。


「えぇ、お願いします。」


盛り付けをしながらララルが言う。


「あー…僕も何か手伝おうか?」


僕は二人に近寄りながらそう言った。


「大丈夫です!」


「悠真様はそこに座っといてくれるかのぅ?」


「でも…」


「これはわしとララルの役割なのじゃ。」


「そうですよ!悠真様はこの屋敷の主なのですから、そこで座っていて良いのです!」


二人は微笑みながらそう僕に言った。


そう微笑みながら言う二人の言葉は、僕にとって『私たちの仕事を捕らないで下さい!』と叱られているようだった。まぁ僕のネガティブ思考が生んだ思い過ごしだと思うんだけど。


僕は二人の言うことを素直に聞き入れ元いた所に座る。


「ところで悠真様?」


「ん?」


「ユリーシャ様とは何処までされたのですか?」


「ブー!!」


何の前触れもなく、いきなり言われたその言葉に僕は飲んでいたアルンティーを吹き出した。


「ゲホッ…ゲホッゲホッゲホッ!」


吹き出した時にアルンティーが気道に入り僕はかなりむせ返った。


「悠真様!?大丈夫ですか?」


「ララル、早く布切れ...布切れを持ってくるのじゃ!はぁ…全く、確かにそれが気になって悠真様に残って貰ったのではあるが...唐突に聞いたらこうなるだろう…。」


「すみません…」


アースはララルから布切れを受け取ると床を拭きながらそう言いた。その言葉にララルが少し落ち込みながら(シュン)となる。


「ケホケホ…ララル…大丈夫だよ?いきなりすぎてビックリしたけど。」


僕はララルの頭をポンポンと軽く叩きながら言った。


「悠真様って…優しいのですね。」


ララルはなぜか顔を赤くしながら僕に言う。


「うーん…そうかな?それよりララル?顔が赤いようだけど熱でもあるんじゃない?」


僕はララルのでこに手を当て自分のでこと比べてみる。

「ちょっ…悠真様?」


ララルは焦りながら僕を見る。


「熱はないみたいだね?良かった!でも、体調が悪いんだったら休まないといけないよ?」


僕はでこから手を離して心配した顔でそう言った。


「だっ…大丈夫ですよ?」


ララルは後ずさりしながら言う。


「そうか?まぁ大丈夫なら良いのだけど…」


僕は上手く話がそれたことに安心し、そう言いながら胸を撫で下ろした。


「それで…悠真様はグランデル様とユリーシャ様とは何処までいったのじゃ?」


胸を撫で下ろした矢先に、アースが思い出したかのように話を戻し僕に聞いてくる。


「ちょっ...えっ?えっと...」


焦る僕を横目にアースは笑って僕を見る。


「冗談じゃ!悠真様は初心な人なんじゃのぅ。じゃが噂で聞いていた通りの人で安心したぞ。こうして話が出来て良かった!」


アースは微笑みながらそう言葉にした。


「えっ?」


僕は何が何やら分からずに首を傾げてアースを見た。


「いや、これから一緒に住むものとして主である悠真様の事を知っておきたかったんじゃ!グランデル様とユリーシャ様がいらしては本性が出にくいんじゃないかと思ってな!じゃがわしの考えすぎじゃったようじゃ。悠真様はエルグから聞いたとおりの人で、裏表がないとこの目でしかと見ることが出来たからのぅ。まぁ、少し聞いてみたかったのは本音じゃがの!」


アースはそう言いながらニヤリと小悪魔ふうに笑って見せた。


「あー…そうだったんだね…。僕も二人と話せて良かった。二人の事を知ることが出来たから。話の場を設けてくれてありがとう。」


僕は笑顔で二人に話した。


「悠真様は優しすぎじゃ!」


「確かにそうですね!でも、そう言うところも含めてグランデル様とユリーシャ様は悠真様に惚れたのでしょうね!」


床を拭き終えたアースとユリーシャは料理を運びながらそう言った。


「悠真様?少し、私とアースさんの間に来て貰えますか?」


最後の料理を運びおえたところでララルからそう手招きされる。


「ん…?」


僕は首を傾げて呼ばれるがままにアースとララルの間に立つ。


(チュッ)


間に立った瞬間僕は二人から頬にキスをされる。


「なっ!なに?のぁっ!」


僕は焦りながら後ろによろけ、倒れてしまった。


(クスクス)


「悠真様への忠誠の証じゃ!でも、グランデル様には内緒にしといて貰いたいのじゃがよいかのぅ。」


「私たちは悠真様を主だと認め忠誠を誓ったのですよ!私もユリーシャ様には内緒にしておいて下さい!」


二人は控えめに笑いながらそう言った。


僕はポカーンとした表情で二人を見る。


「悠真様?いつまで座っているんですか?と言いますか、ちゃんと内緒にして下さいよ?」


「そうじゃぞ?」


二人はそう言いながら僕に手を伸ばす。


「あっ…うん。」


僕はそう言うと二人の手を取り立ち上がった。


「じゃあ、夕食の準備も終わりましたから皆さんを呼んで夕食にしましょう!」


ララルは手を合わせてそう言う。


「そうじゃな!では、わしが呼んでくるとしよう。」


アースはそう言うとそそくさと皆を呼びに行く。


数分後皆が食堂に集まり食事前の儀式を行う。


儀式の事は僕は知らないからイリアルに頼んだ。


「では、皆夕食としよう!」


イリアルがグラスを持ち上げた。


「ちょっと待って、イリアル!食事前でも後でも良いから僕から皆に話したいことがあるんだけど少し時間をくれないかな?」


グラスを持ち上げた瞬間に僕はイリアルにそう言う。


「別に私は構わないぞ?」


「私もいいですよ?」


「私たち信者も右に同じです。」


「親衛隊もかまいません!」


皆それぞれ頷きながら言う。


「じゃあ、食事後に数十分いいかな?共同生活をおこなう際のルールと部屋決めそれと僕から皆へ要望があるから聞いて貰いたい。」


僕は皆の顔を見ながらそう言った。


(コクン)


皆は僕を見て頷いた。


「じゃあ改めて食事としよう。皆グラスを持て、今日のこの日に乾杯!」


イリアルが仕切り直してそう言いながらグラスを上に上げる。


「乾杯!」


それに続くように皆もグラスを上に上げた。


そうしてにぎやかな夕食の幕が開く。

最後まで読んで下さりありがとうございます!



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