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気が休まらない入浴

遅くなりましたがよろしくお願いします。

僕らは休憩を挟みながら掃除を進め、ようやく全ての掃除が終わった。


空を見上げると夕暮れ時で辺りは暗闇に包まれる少し前だった。


「終わったー!」


僕はそう言いながら庭に仰向けで倒れた。


「疲れましたね...。」


倒れている僕の隣にユリーシャが近寄り、そう言いながら座った。


「でも、楽しかったな!」


イリアスも僕の隣に座る。


「悠真様ー!」


「グランデル様ー!」


「ユリーシャ様ー!」


「私たちも終わりましたー!」


玄関からそう言いながら出てくる皆に僕ら三人は目を向ける。


皆、煤と誇りまみれになっていて、頑張って掃除してくれたのが分かった。


「ご苦労!」


「よく頑張りましたね!」


イリアスとユリーシャはそんな皆に微笑みながら声をかけた。


「いえ、とんでもありません!」


皆はビシッと整列してそう言いながらも、褒められて嬉しそうに笑っていた。


「ははっ...それにしても、一気ににぎやかになったね。」


僕は笑いながらそう言う。


「ふふっ...そうですね。」


「ははっ...確かにな。」


二人は皆を見て、笑いながらそう言った。


「さてと...」


僕はそう言うとその場からスクリと起き上がる。


「皆、屋敷掃除ご苦労様!こんな短時間で掃除を終わらせることが出来たのは皆が一生懸命頑張ってくれたお陰だよ!主として、感謝を込めて、お礼を言うね、ありがとう!皆疲れただろうし、屋敷の中に入って、お風呂とご飯にしよう!その後で、今から生活していく中で色々と決めないといけないと思うから、その話をしようと思うんだけど良いかな?」


僕は皆を見ながらそう話した。


皆は顔を見合わせてお互いに頷き合うと


「異論ありません。」


と僕に言った。


そうして僕らは屋敷の中に入りお風呂に入ることにした。


屋敷のお風呂は二つあり、男女別々の温泉みたいなお風呂がそれぞれ備えられていた。


(昔、この屋敷に住んでいた人はどんな人で、どんな生活をしていたのか...。)


僕はそんな事を思いながら一人広い脱衣所で服を脱ぎ、扉を開けた。


「すっ...凄い!」


中のあまりの綺麗さに僕は固まってしまった。


広いお風呂に戸惑いつつ、僕は体を洗って湯船に使った。


「ふー...やっぱり風呂って気持ちいいな。」


そう言って僕は目を閉じた。


『ちゃんと、向き合わないといけないよ?』


不意に誰かの声が僕の耳元でそう囁いた。


「誰!?」


僕はそう言いながら辺りを見渡す。


「き...のせい?」


辺りには誰もいなくお湯が流れる音だけが響き渡っていて僕は首を傾げた。


程よく温もった僕は湯船から上がり、脱衣所の出入口へと向かった。


(ガラッ)


「へぇ?」


「あっ...悠真様、もう上がられるんですか?」


脱衣所の扉を開けた僕が目にしたのは、上下、下着姿のアルだった。


(ガラッ!)


「なっ...なんでアルがここにいるの?」


僕は急いで扉を閉めて動揺しながらアルに聞く。


「主である、悠真様のお背中を流すのは私の義務だと思ったので...」


アルはそう言うと扉を開けようとする。


(ガチャガチャ!)


「いや、いいから...もう洗ったし、お風呂からあがろうと思ってたとこだから、だから...早く出て行って貰えないかな?」


僕は扉を押さえながらアルの侵入を阻止しそう言う。


「ですが...」


「お願いだから!」


僕は必死に扉を押さえながら言う。


(ピタッ)


「分かりました。では、明日でいいので、私と魚釣りに行って貰えませんか?」


アルはそう聞くと扉を開けるのをやめた。


「ふぅー...分かった...明日だね?」


僕はため息をつきながらアルに言う。


「本当ですか?分かりました。ありがとうございます!」


アルは嬉しそうな声を出して脱衣所から出て行く音が聞こえた。


「まったく...クシュン、体冷えちゃったな...また湯船に浸かりなおしだな...。」


僕は冷えきった体を温めるためにもう一度湯船に浸かった。


「ふぅー...」


僕は湯船に入って一息つく。


そして、体が温もり湯船からそろそろ上がろうとしたとき...


「悠真...湯加減はどうだ?もう中に入っているか?」


いきなりイリアルの声が聞こえ、僕は脱衣所の入り口を見る。


「イリアル...やっぱり止めた方が...。」


ユリーシャの声も聞こえる。


(えっ...えっ?)


僕は動揺しながら湯船でバタバタさせる。


「ユリーシャ...もしかして、恥ずかしいのか?じゃあ、私だけ入るからユリーシャはここで待ってるか?」


「それは、駄目です!私も参ります。」


そんな会話があり、出入口の扉が開く。


「ちょっ...」


僕がそう言う前にバスタオルに身を包んだ二人が入ってきてしまった。


「悠真ー!背中を流しに来たぞ。」


「悠真様...誠に失礼致します。」


そう言いながら二人は僕の元に寄ってくる。


「!?」


僕は二人の姿に目のやり場をなくし下を向く。


「悠真...恥ずかしいのか?」


イリアルは言う。


「すみません。悠真様...私は止めたのですが...」


ユリーシャは体をモジモジさせながら言う。


「いや...その...」


「悠真ー!背中クシュン...」


「悠真様...すぐに出て行きますのクシュン...」


戸惑う僕を横目に、二人はそう言いながらくしゃみをした。


「はぁ...二人とも風邪引くから、早く湯船に入って温まったら?」

僕は顔を赤くしながら目をそらしそう言う。


「悠真様...やはり悠真様はお優しい...」


「じゃあ、悠真の好意を有難く受け取るとするか。」


二人は嬉しそうな顔をしながらタオルをとり湯船に浸かる。


僕はその姿を見て急いで二人に背を向けた。


(フニュ)


「のぁっ!」


なにやら柔らかい感触が背中にふれ僕は思わず声をあげる。


「ん?悠真...どうかしたか?」


イリアルが言う。


「イリアル!どうして悠真様に抱き付いているんですか!」


ユリーシャは怒ったようにイリアルに言う。


「別にかまわんだろ?こっちの方が温かい。」


イリアルはそう言いながらさらに(ギュッ)と力を入れた。


「ちょっ...イリアル!?」


僕は背中に伝わる感触に慌てながらそう言う。


「イリアル!悠真様が困っていらっしゃいます。早く悠真様から離れて下さい!」


ユリーシャが僕から一向に離れようとしないイリアルを引き離そうとイリアルの体を引く。


「ちょっ...二人ともあんまり暴れると...のぁっ!」


僕は後ろに引っ張られ湯船に(ドボン!)と後ろ向きに倒れてしまった。


(コポコポコポコポ)


湯船に沈みながら意識が朦朧としてきて気を失ってしまった。


「ゆ...さま...ゆう...さま...ゆうま...さま...悠真様!(ゆ..ま...ゆう...ま...悠真!)」


「ガハッ!ゲホッゲホッゲホッゲホッ!」


二人の声が聞こえ僕は目を覚ます。


「悠真様(悠真)!」


僕の目の前には僕の名前を呼び泣きじゃくるユリーシャと心配そうに僕を見つめるイリアルの姿があった。


「ユリーシャ...イリアル...僕はどうして...」


僕はゆっくりと起き上がり二人を見る。


「すみません悠真様(すまない悠真)!」


二人はそう言うと僕に頭を下げる。


「へえっ?」


僕は間抜けな声を出して首を傾げながら二人を見る。


「気分は悪くないですか?」


「水飲むか?」


二人はそういいながら僕に近づいてくる。


(僕は...あっそうだ!僕は湯船でイリアルから抱き付かれてそれを離そうとユリーシャが引っ張ってバランスを崩した僕は湯船に倒れたんだ!)


ようやくこの状況に至るまでを僕は思い出した。


「それより、イリアル、ユリーシャ...お風呂に入っているときに暴れたら危ないだろ?」


僕は怒ったような口調で二人に言う。


「はい...すみません(すまなかった)。」


二人は床に座り床を見ながら僕に謝る。


「はぁ...本当に...僕はどのくらい気を失ってたのかな?」


僕は顔に手をつき、ため息をしながらそう言った。


「五分程度です。本当に、すみません。」


二人は僕の質問に答えるが顔はションボリしていた。

「はぁ...もういいよ...。服を着るから二人は外で待っていてくれるかな?」


僕は二人の落ち込んだ顔を見て怒るのも可哀想になり、二人の頭をポンッと軽く叩いてそう言った。


「はい(わかった)。」


二人は顔を赤めて頭を押さえながら脱衣所を出て行った。


「ふぅ...お風呂ってこんなに疲れるものだったかな?」


僕は独り言を言いながら服を着て脱衣所から出た。


「待ってたの?」


脱衣所を出た先には僕が心配だったのか、イリアルとユリーシャが待っていた。


「僕が心配で待っていたの?」


僕は二人に質問する。


二人は僕の質問に頷いて答えた。


「僕は大丈夫だよ。今日一日かなり働いたからお腹すいたな...。ご飯もう出来てるかな?」


僕は微笑みながら二人に言うと


「ぷっ...悠真様って、以外と食い意地張ってますよね?」


「ぷっ...確かに、そうだな。」


二人は口元に手を当て笑いながら言う。


「そうかな?」


僕は首を傾げながら言う。


「食堂に行ってみますか?」


「たぶん、アースとララルが料理を作っているとこだろう。」


イリアルとユリーシャはそう言いながら僕の手を握り引っ張る。


「のおっと...」


急に引っ張られた僕はそう声に出しながら二人に引かれ食堂に向かった。

いつも見て下さる方ありがとうございます。

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