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秘密の関係

「おっとっとっと...」


「悠真様。大丈夫ですか?」


「悠真、私がやった方が...」


「いや、大丈夫!ヨイショ、よし!」


僕らは今、屋敷掃除の真っ最中だ!


僕らはスムーズに掃除を進めるため、リビングの物はキルに頼んで全て外に持ち出してもらった。


そして、僕は今、シャンデリアを掃除しようと高い脚立に登っている。


「悠真様ー。大丈夫そうですか?」


ユリーシャが僕を見上げて言う。


「うん。大丈夫、大丈夫!おっとっと...」


脚立の頂上に着いた僕は、少しバランスを崩したが急いでバランスを立て直す。


「悠真!」


「ふぅー...ははっ大丈夫だよ!少しよろけただけだからコツが分かってきたからもう平気!」


僕は引きつった顔でそう言い二人を見る。


ユリーシャとイリアルは心配そうに僕を見上げていた。


「もう大丈夫だから、二人共、外に出した家具等の掃除は任せたよ!これが終わったら、僕も手伝うから!」


僕は微笑みながらそう言った。


「ですが(だが)...」


二人はそう言うと顔を見合わせる。


「大丈夫だから!掃除終わんなくなるよ?」

「分かりました。」


「だだし、用があるときは遠慮なく私たちを呼んでくれ!」


「分かった、遠慮なく呼ぶよ!」


僕は笑顔でそう言った。


ユリーシャとイリアルは僕を振り返りながらリビングを後にして、僕らはそれぞれ作業に取り掛かった。


僕はポケットにユリーシャから掃除前に貰ったハンカチを口に当て(パンパンパン!)と誇りを落としていく。


「ゴホゴホ...」


僕はシャンデリアを叩きながら少しホコリを吸い込んでしまい、むせ返る。


むせ返ると同時に脚立が少し揺れ、僕はバランスを立て直してまたシャンデリアを叩いた。



「よし、ピカピカだ!後は電球を変えれば終わりかな?」


僕はピカピカと光るシャンデリアを見て頷きながらそう言った。


「一旦降りないとな...」


僕は電球を探しに行くために脚立から一旦降りた。


「ユリーシャ、シャンデリア掃除は終わったけど、電球がきれてるみたいなんだ。電球って何処にあるかな?」


僕は、外に出て掃除をするユリーシャを見つけ駆け寄っていき聞く。


「電球ですか?うーん...アルに聞けば分かるかもしれないです。」


ユリーシャは、考えながらそう言う。


「アルに?」


僕は首を傾げながらユリーシャに聞く。


「この掃除道具類、アルが倉庫をたまたま見つけてそこから持ってきたのです。全てアルが持ってきてしまったので倉庫の場所はアルしか知らないのですよ。なので...」


ユリーシャは家具を掃除しながら僕に言った。


僕が二階を見ると丁度、窓際にアルの姿が見えた。


「分かった。ありがとう!アルに聞いてみる。」


僕はそう言うと、ユリーシャの元を後にした。


「ユリーシャ?悠真の声が聞こえたけど...何か用だったのか?」


「電球がきれていた見たいで、倉庫に行けばあると思いまして、倉庫の場所はアルしか知らないので、アルに聞いてはと言ったのです。」


「それなら、シャルに頼んで買い出しを頼めば良かったのではないか?」


「あっ...そうでした。でも、倉庫にあったら勿体ないので倉庫になかったらシャルに頼むとします。」


「それもそうか。」



僕は下から見えた二階の部屋へと向かう。


(トントントン!)


軽快に階段を上がり、下から見えた部屋の前にいき、扉が開いていたので僕は普通に部屋に入っていった。


「アル!倉庫の...場...所を...教...え...」


僕がそう言いながら部屋に入るとそこには、目を瞑り、キスを交わしあうアルとエリの姿があった。


「えっ...」


僕の声に気がついた二人は、僕を見る。


「えっ...んがー...」


僕が叫ぼうとしたときエリが僕の口元を抑え、僕の声が籠もった。


「しー!」


アルが僕に近づき人差し指を口に当てて言う。


「悠真様...どうやって中に入られたのですか?」


アルは驚いた顔で僕を見ながらそう言う。


「ふんがふがふんふんが!」


僕は口元を押さえられているせいできちんとした声が出ない。


「エリ、悠真様の口元から手を退かしてくれる?」


アルがそう言うと


「チェッ!」


と言いエリが僕の口元から手を話した。


「スー...ハー...」


僕は深呼吸をする。


「もう一度聞きます。悠真様、どうやって中に入られたのですか?」


アルが僕を見て言う。


「普通にドアから入ってきたよ。」


僕はアルを見てそう答える。


「嘘をつくな!私の魔法で中には...」


エリが睨むように僕を見て言う。


「うっ...噓じゃないよ?」


僕は戸惑いながらエリに言う。


「うん...エリ!一旦ドアを見に行こう。悠真様も一緒にです。」


アルはそう言うとドアの方へと向かった。


「えっ?噓...」


エリはドアのを調べながらそう言うと固まった。


「エリ?どうかした?」


アルがエリに近づく。


「アル...ごめん!魔法かけてなかったみたい。」


近づいてきたアルにエリは振り返りながら頭を下げる。


「えっ?」


アルは呆然とした表情でエリを見た。


「ごっごめんね!アルと久しぶりに会ったから浮かれちゃってて...」


エリは半泣きになりながらアルに言った。


「大丈夫だよ、エリ。怒ってないから...。」


アルは優しい顔でエリの頭を撫でながらそう言った。


「アル...」


エリはアルを見つめる。


「えっと...じゃあ、僕は行くから」


そう言って僕が部屋から出ようとしたときだった。


「待ちなさいよ!変態&覗き魔!」


エリはギロリと僕を見て言う。


(ギクッ!)


僕は体をビクつかせながらエリの方を見た。


「私たちの関係を知った以上、あんたの記憶からさっきの記憶を消す。」


そう言うとエリはたまたま近くにあった木の棒を手に取り僕に振り上げた。


「エリ!ストップ、ストップ!」


アルはそう言いながら僕とエリの間に入ってきた。


「アル?なんで?その変態から記憶を消さないと...」


エリは戸惑いながらアルに言う。


「エリ...今回のけんは私たちにも落ち度があるんじゃないかな?」


アルはエリにそう言うとクルリと僕の方を向いた。


「悠真様...先ほどはお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ございません...」


そう言い、アルは頭を下げる。


「えっ?アル、どうして謝るの?」


エリは言う。


「悠真様にお願いです!私とエリの関係は他の人には絶対秘密にしては貰えないでしょうか?」


アルは頭を下げたまま僕に言う。


「勝手なことを言っていることは分かっております。ですが、どうか...」


アルは一度頭を上げもう一度頭を下げる。


「えっと...アル?見たときはビックリしたけど、誰かに言いふらそうなんて考えてないから大丈夫だよ?」


僕はアルに言う。


「そこをなんとか...ってえ?」


首を傾げながらアルはそう言う。


「だから、僕は君たちの関係を言いふらしたりはしないよ?」


僕は再度簡単にそう言う。


「本当...ですか?噓...とかじゃない...ですよね?」


アルはゆっくりと僕に言う。


「えっと...本当も嘘も...ね。」


僕は頭をかきながらアルに言う。


「どうして?」


アルの後ろにいたエリが僕を見て言う。


「いや、君たちが内緒にしたいことは十分伝わったよ?理由は分かんないけど...てか、その前から皆に言おうなんて思ってないよ。それはね...驚いたけど...でも、それぞれ色んな形の恋愛はあると思うしね。だから、僕は二人の関係の事は言わないし元から言うつもりもない。」


僕はハッキリとそう言い二人を見た。


「悠真様...なんとお優しい...。」


アルはそう言うと涙ながらに僕を見た。


「私は信用できない!」


僕を見ながらエリが言う。


「どうしても僕が信用できないのなら、痛いだろうけど...その棒で殴っても構わないよ?エリ。でも、良かったら僕を信じてくれないかな?」


僕の言葉にエリは棒を振り上げた。


(やっぱり無理だったかな?)


僕はそう思い目を瞑っり覚悟した。


「...?」


一向に叩かれる気配がなく僕は目を開ける。


「えっ...アル?」


僕の目の前にはアルがいて、アルはエリを抱きしめていた。


「どうして...なんで?」


エルは戸惑いながらアルに言う。


「エリ...。悠真様は嘘はついていないよ?この方は信用に至る人だよ?」


アルは強くエリを抱きしめてそう言った。


「アル...」


エリはそう言うと棒を床に落とした。


「エリ...信じてくれる?」


アルは抱きしめていた腕の力を緩めエリの顔を見る。


「アルがそこまで言うなら...変態を信じる。」


エリはアルを見ながらそう言うと、今度は僕を見た。


「あんたのことを信用したわけじゃないから...アルが言うからアルを信じて今回は何もしない。」


エリはそう言ってアルから離れて部屋から出て行った。


「ふぅー...」


僕はエリが出て行くのを見てから息を吐くとそっと胸を撫で下ろした。


「悠真様...エリが大変失礼致しました。それと、今までの数々のご無礼申し訳ございません。」


後ろからアルが声をかけてきて僕に頭を下げ謝った。


「いや...僕にも少なからず落ち度はあるから...」


僕はアルの方を振り返りそう言った。


「許して下さるのですか?」


アルは僕を見て言う。


「まぁ、さっきはアルに助けられたし、そもそも許すも許さないもないよ?言ったよね?僕にも落ち度はあるって。」


僕は微笑みながらアルに言った。


「ですが!」


(パン!)


「はい、この話は終わり!ところで一つ質問があるんだけど...あれだけ騒いでいたのに誰ひとり部屋に入ってこなかったのはなんで?」


僕は手を叩いて話を逸らすと気になっていた質問をアルにする。


「あー...それは、エルの魔法ですよ?」


アルは僕の質問に答える。


「どんな魔法なの?」


僕はさらにアルに聞く。


「えーと...確か、無音魔法と空間隔離魔法だったと思います。」


アルは口元に手を置きながらそう言った。


「無音魔法と空間隔離魔法?」

「無音魔法とはその名の通り、音を消す魔法です。半径10メートル内にいる人の音を消すことが出来るのです。空間隔離魔法は空間を隔離して外から中に入るのを阻止する魔法ですよ?あっ、あと一つ、遠くの声が聞こえる魔法も、エリの得意魔法の一つです。」


アルはそう言ってエリの得意魔法を僕に教えてくれた。


「へー...そんな魔法があるんだね?」


僕は驚きながらアルに言った。


「ところで悠真様?私に何か用事だったのでは?」


アルは胸に手を当て、首を傾げながら僕を見た。


「あっ...そうだった!アルに倉庫の場所を教えて欲しくて。」


僕は本来の目的を思い出しアルに言う。


「倉庫の場所ですか?何かお探しですか?」


「シャンデリアの電球がきれていて、予備の電球があるかなと思ってね...」


「電球ですか...確かあったような気がします。倉庫の場所お教えしますので着いてきて下さい。」


アルはそう言うと部屋から出た。


僕も部屋から出てアルの後を追いかける。


僕らは一旦外に出て、グルリと屋敷の裏手に回る。


裏手に回ったらすぐに小さい物置小屋があった。


「悠真様、ここですよ?」


そこを指さしながらアルは僕にそう言った。


「結構大きいね。探すのが大変そうだ。」


僕は倉庫を見ながら言った。


「悠真様、私もお手伝い致します!」


「でも、アルは部屋の掃除が...」


「大丈夫です!それに、悠真様もリビングの掃除あるんですよね?一人より二人で探せばその分早く見つかりますので。」


アルはそう言うと倉庫の中に入っていき、僕も後を追うように倉庫に入った。


「アル...良くこの中から掃除道具見つけれたね?」


僕はごちゃごちゃに置いてある倉庫内を見てアルに言った。


「偶然手前の方に置いてあったのですよ?」


アルは倉庫の中をゴソゴソしながら電球を探す。


「アルって幸運の持ち主だったり?」


僕は半笑いしながらアルに言うとゴソゴソしながら電球を探す。


「まさか...。」


アルは笑いながらそう言った。


「...」


僕らは無言で電球を探す。


「さっきのことお聞きにならないのですか?私たちがどのような関係なのか...とか。」


不意にアルが聞いてくる。


「なんで?」


僕は手に捕った物を見ながらそう言う。


「なんでって...悠真様はお気になさらないのですか?」


アルは少し小声になりながら僕に聞く。


「うーん...気にならないと言ったら嘘になるけど...。だけど、二人が言いたくないなら僕は別に二人の関係を聞くつもりはないよ?さっきも言ったけど、それぞれ色んな形の恋愛はあると思うし、その恋愛を僕はどうこう言うつもりもない。」


僕は言う。


「ははっ...悠真様は私とエリが恋仲だと断定しているのですね?」


アルは笑いながら僕に言う。


「えっ...違うの?あれを見たから断定するでしょ?」


僕は驚きアルを振り返る。


(チュッ)


僕が振り返った途端、アルの唇が僕に当たる。


「えっ?」


僕は呆然とアルを見た。


「確かに、悠真様は間違っていません。私とエリは好き合っていて、恋人関係にあります。私はエリが大好きです。」


アルは頬を赤めてそう言う。


「な...んで...僕に..キスを?」


僕は戸惑いながらアルに聞く。


「忠誠の証です。」


アルは微笑みながら僕に言う。


「忠誠の...証?」


「はい!」


僕の言葉にアルは返事をするとニコリと笑った。


「いや...いやいやいや、忠誠の証だったらなにも、唇じゃなくても...」


僕は戸惑いながらアルを見る。


「そうですが、ふふっ...男性の唇も気になったもので...皆さんには内緒ですよ?私が殺されかねますので。」


アルはそう言うと人差し指を口元にあててそう言った。


「アルってそんな性格なの?」


僕は顔を手で隠してそう言った。


「はい!これが、私の素の性格なのですよ。悠真様。」


「は...ははは。」


そう言うアルに僕は苦笑いした。


「あっ!悠真様、それではないですか?」


アルはそう言うと僕の後ろの箱を指さす。


「ん?」


僕は振り返って指を指された箱を見る。


その箱にはシャンデリアの予備電球と薄く書かれていた。


「良く文字が分かったね?」


「私、目はかなり良い方なのですよ?」


「へー!凄いな。」


僕はアルの言葉に感心しながら、その箱を持ち床に置いてゆっくりと開けた。


「うん!間違いないな!」


中にはシャンデリアの電球が綺麗に入っていて僕はそれを見ながら頷き言う。


「見つかって、良かったですね?」


アルはそう微笑むと服の誇りを払い倉庫の外に出る。


僕もシャンデリアの入った箱を持ち倉庫を出た。


「アル、ありがとう!一緒に探してくれて。」


僕はアルに感謝の言葉を言う。


「お礼は無用ですよ?私は悠真様に忠誠を誓ったのですから、当たり前の事をしたまでです。では、私はエリの元に戻りますね?」


アルは僕を見ながらそう言うと自分の担当場所に走って行った。


「恋愛...か。てか、僕も早くリビングに戻って取り付けないと!」


僕はそう言いながら屋敷のリビングに急ぎ足で戻って行った。


毎回、最後までお読み頂く読者の皆様、ありがとうございます。

少し違うジャンルも入れたくなり、百合に挑戦してみました。

あまり得意じゃない方、すみません。

では、まだまだ続く、悠真達のファンタジーラブコメを今後とも、よろしくお願いします。

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