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僕が死んだ日

僕の名前は十六夜いざよい 悠真ゆうま16歳。


昔から、弱気な所があり、中学生の時は、クラス皆から散々、いじられていた。


そして、中学の先生に相談しても


「男なら立ち向かえ!」


の一点張りで話を聞こうともしない。


僕が行っている学校は中高大がエスカレーター式になっている。


あと6年、この学校に、こんないじめっ子達がいる中、暮らしていくのはもう、うんざりした僕は、両親に頼み込み東京の高校を受験した。


そして、見事合格し、東京で独り暮らしをする事になった...。


そう、僕は皆から逃げだしたんだ。弄られるのが嫌になり立ち向かう事も出来ず、尻尾を巻いて逃げたんだ。


だけど、ここで逃げ出したからこそ、新たな場所での出会いがあった。


自分を見つめ直す事が出来た。


そして、何より命をかけて、守りたいと思える人達にも出会えた。


そう...全ての始まりは、5年前にさかのぼる...。


僕は、東京に越してきて、部屋の整理を行っていた。


「ふぅ...こんなもんかな?」


ため息をつきながら、一通り片付け終わった部屋を見る。


「今日から、独り暮らしかー、やっぱり東京は人口密度高いし、ビルもでかいし、僕が住んでいた所と同じ世界だとは思えないな!」


僕は、独り言を言いつつマンションから外を見た。


昔からコツコツと貯め続けたお金もあり、結構良いマンションを借りることが出来た。生活費は月に一度両親が送ってくれる。


「さて、明日の準備も終わった終わった...てか、もうこんな時間か...」


時間が経つのは早いもので、時計を見ると午後7時を回っていた。明るかった外はいつの間にか暗い景色に変わっていて、見ると、ビルの光や車の光がチカチカと眩しいくらいに光っていた。


「お風呂に入ってご飯食べて、早く寝ないとな...」


僕はそう言いって、お風呂とご飯を済ませ、明日の入学式に備えて午後9時に寝ることにした。


翌朝...携帯のアラームが鳴る音と共に僕は起き、目玉焼きを焦がしながら朝ごはんを作り、それを頬張る。


「苦っ!早く上手く出来るようにならないとな...」


朝ごはんを食べ終わった僕は、茶碗を洗い、真新しい制服に腕を通して、昨日準備した鞄を持ち、家を出た。


学校までは、家から約5分の所に駅があり、そこで電車に乗って約30分、駅に着いたらそこから徒歩で約10分程度の場所だ。


事前に行ってみたから間違いないだろう。


僕は家から5分の駅に着き、ホームに向かう、着いたら桜並木を見ながら、ホームの黄色い線の内側に立ち僕は、電車が来るのを待っていた。


5分後、ホームのスピーカーから(プルルルルル)と電車が来るのを知らせる音が鳴り響く。


その日は、何処の学校でも入学式だったためか、僕が来たときよりも、ホームは人で溢れかえっていた。


駅の係員は様々な対応におわれ、忙しくしている。


(プワー)と電車の音が聞こえ線路の奥から電車が見えた。


「押さないでください!怪我や事故のもととなります!」


駅の係員数人が大きな声で叫んでいる。


もう目の前まで、電車が来たときだった。


春一番のような強風が(ブゥオー)と吹き、


桜の花びらが(ブワッ)と舞い上がった。


次の瞬間...(トンッ)と後ろの人が僕にぶつかる。


「えっ?」


僕は、舞い上がった花びらの中に推され、一瞬目を閉じる。次に目を開けると、数センチの所に電車が来ていた。


電車は(プップワー)と音を出している。


こう言う時、周りの風景がゆっくり見えると言うが、確かにそうだな!運転手さんの驚いている顔までハッキリと見える。駅の係員も振り返り表情が青ざめているのも分かる。何人かのお客さんも皆驚きの顔で僕を見ていた。


(死んだ...)


僕がそう思った次の瞬間


(グシャッ)っと生々しい音がし、


(キャー)


と、返り血を浴びた女性の叫び声がホールをシーンとさせた。


シーンとなったホールには、返り血を浴びた女性がまだ、


(キャーキャー)


と崩れ落ちながら叫んでいる声のみ響き渡っていた。

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