決戦日
連休明けの学校、俺たちは宇佐木をレストランへと招待した。
「いらっしゃい」
ランチ営業とディナー営業の合間、誰もいない店内に俺たち三人の他に二人、いつもはいない客がいた。
「おいしいカレーをご馳走してくれるのっ!?」
二人掛けのテーブル席に座っているのは俺たちが呼んだ宇佐木心海、そして宇佐木の友達の女生徒がもう一人。
宇佐木は長い髪を背中へと下ろし、整った顔に満面の笑みを浮かべていた。
それほどまでにカレーが好きなのだろうか。心なしかいつもの清楚な雰囲気が崩れつつあるような気さえする。
「心海……あんたどれだけカレー好きなのよ……」
宇佐木の正面に座っているのは葉月里緒、後ろ髪を頭の後ろで束ねポニーテールのようにしている姿は清楚、というよりも活発で元気な女の子。
カレー好きな友達を優しく見やる笑顔は、宇佐木とはまた違ったジャンルではあるが美人と分類される類だろう。
俺はタクとミトに手伝ってもらいカレーの準備を進める。
出来上がったカレーは「SSC」と名付けられた。
SSCが出来上がるに連れて宇佐木は興奮が抑えられない様子で身を乗り出している。
始めは宇佐木をなだめていた葉月もカレーが出来上がる頃には鼻をすんすんさせどんなカレーなのか楽しみといった表情を浮かべている。
「ヘイお待ち!」
ラーメン屋のようなセリフを言いながらタクがカレーをテーブルへと運ぶ。
「「お…おいしそう…いただきます!」」
二人が同時にスプーンを口に運ぶ。
「おいしい!!!」
二人共驚いた表情を浮かべ、昨日の俺たちのように一心不乱にカレーを口に運ぶ。
俺たち三人はその様子を満足げに見つめていた。
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カレーを食べ終わった二人は幸せそうな表情で惚けている。
「う…宇佐木さん!!」
未だ笑顔を浮かべ「おいしかったなぁ…また食べたいなぁ…」とつぶやいている宇佐木へ、そっとタクが近づく。
「このカレーを作ったのは、あなたですか?」
近づいてきたタクに気づいた宇佐木が聞いた。
「このカレーはっ!俺たち三人で作りました!あ、でも作ったのはハルで、でも俺が野菜を持ってきたりミトがスパイスを作ってくれたり…他にも!あ、ごめんこんなことはどうでもよくて、そ…それで…それで……!」
「それで……?」
テンパったタクに宇佐木が少し戸惑ったような表情を浮かべる。
「それでっ!俺と……俺と、俺と俺と俺と!!」
顔を真っ赤にしたタクの言葉を見て、宇佐木が顔をほころばせる。
「私と、お付き合いしてくれますか?」
「ちょっと心海?あんた…」
「「「え…?は……?」」」
葉月の言葉は男三人も悲鳴とも取れる歓声にかき消された。
「「「やっったぁああああああああああああああああ!!!」」」
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しかし、俺たちが宇佐木の真意に気づいたのは、わずか三日後のことだった。




