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2037/07/07
2037年、今日も地球は相変わらず回り続けている。
少し前まで騒がれていた地球温暖化も、今は少しずつ快方へと向かっているようだ。
昔から何一つ変わらない日々、夜空には綺麗な月がのぼっていた。
夜の街中は、酔ったサラリーマンや水商売の女性で溢れている。
長月悠は、そんな夜道をゆっくりと歩く。
----------あの頃の友達は元気にしているだろうか。
同窓会の日の夜、誰もが思うそんなあたりまえの事を思い出しながら。
案内状に導かれ、辿り着いた居酒屋"呑兵衛"日本古来、古くからの木造建築のような見た目をしたその店の中からは、騒がしい声が聞こえてくる。
声の中には、知った声も。
悠は引き戸をゆっくりと開けると、のれんを押し、中へと入っていく。
店内は居酒屋のはずなのに、誰が注文したのか、カレーの匂いが充満していた。
昔から変わらないあの匂い。
その匂いが、遠い昔の記憶を呼び覚ます。
勉強も、部活も、そして恋も。一直線で全力だった、あの頃の記憶を。