93/102
092⚫️精錬の果て
「えっ?純度をあげるんですか?いや、できますけど。持ち運びは大変になりますよ。いいんですか?」
エイブの工房の中は、金属の焼ける臭いがする。
「構わん。粒子密度を極限まで高めてくれ」
ブリッツの言葉には、一抹の迷いもなかった。
エイブは唇を舐め、手元の地金を見つめる。
「つまり、鉄という器を捨てて、純粋な’厄介モン’の塊に近いものを作る、ということですね。・・・わかりました。精錬を繰り返して不純物を削ぎ落とします。ただ、上手くできるかどうかは、正直、保証はできませんよ。」
「頼んだ。」
短く告げたブリッツは、修理を終えたばかりのナイフを受け取った。
ホルダーに収めると、振り返ることもなく工房を後にする。
エイブは、去っていくその背中を見送りながら、熱を帯びた汗を拭った。
あの男が、高純度の塊で何をするのか。
それは、聞かない方がいい・・・。
自分は自分の仕事をするのだ。




