いい知らせがピンチを救う
「外の空気を吸うのもいいものだな。俺は、どうも出不精でいけない。気分転換に、もっと出歩くことにしようか。」
昭夫は、買い物と持病の内科通院以外、出歩くことなど無いに等しかった。
元同僚で後輩の沼田くんが、訪ねてくれることはあっても、こちらから会いに行くことなどは皆無だ。
昭夫は、几帳面で、毎日の食費の節約のため、食材一つ取っても、一番安いスーパーや店を調べ、計画的に買い物をしていた。
「もうちょっと買い物に時間を割くか。」
昭夫は、スーパーで、好きな食器を眺めたり、ウィンドウショッピングを楽しむ時間を作ることにした。
「桂子ともう少し距離を置いてみよう。」
桂子も、平日は、仕事に出てはいるが、休日はべったりだものな。
だから、喧嘩になるんだ。だけど、俺がいなくなると、あいつ、寂しがるんだよな。まるで赤ん坊だよ、まったく。
それから程なくして、昭夫に、まさかのいい知らせが、舞い込んだ。
自営業の知り合いから、在宅で仕事のお手伝いの依頼があったのだ。外へ仕事に出るのは、もう懲りごりだったが、家でなら、喜ばしいことだ。昭夫は、早速、その仕事についての勉強を始めた。
桂子も、嬉しそうだ。
「昭夫さんが、やっと、昭夫さんらしくなってくれたわ。」桂子のいつもの不安が和らいだようで、昭夫も嬉しかった。
「ねぇ、昭夫さん、昭夫さんも、仕事が決まって、私も、短期だけど、仕事が決まったでしょう。お祝いしない?
あの、去年、行った、上野のレストランは?」
昭夫は、思った。「桂子は、俺が、いつもどれだけ食費を浮かすか、考えに考えて、やりくりしていることを、どう思っているのか。
桂子は、いつも、自分は働いているからと、友だちと高いレストランで食事することにも、俺は、黙っているけど、内心、おもしろくないんだぞ。」
昭夫は、節約家だ。いつも、将来への備えについて、真面目に考え、貯蓄している。
一方、桂子は、最近、とみに消費しているようだ。この前、桂子の口座の残高が減ってきたと嘆いていた。桂子は、財布の紐が緩く、すぐに、付き合いに使ってしまう。また、病的な「プレゼント魔」だと、自分で豪語している。
「ほら、言わんこっちゃない。」




