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破壊的破滅のゆくえ

定年を控え、昭夫は正社員の座を降りて派遣のコールセンターへと場を移した。


システムエンジニアとして培った論理的思考があれば、オペレーターの仕事など容易い。周囲とも良好な関係を築いていた。


――ただ一人、あの「毒」を持つ女を除いては。


その同僚女性は、他者を攻撃することでしか己を保てない怪物だった。正直で嘘のつけない昭夫は、彼女の理不尽な物言いを正面から正そうとした。それが、猛毒のスイッチを押した。


「あの人に、いやらしい目で見られたんです。怖くて、もう仕事ができません!」


彼女の金切り声が、フロアに響き渡る。根も葉もない、しかし破壊力だけは抜群の「濡れ衣」。


派遣会社の担当者は、昭夫の釈明を遮るように、一枚の紙を差し出した。


「言い分は分かりました。ですが、これ以上騒ぎを大きくしたくない。……分かりますね?」


差し出されたのは、自己都合による退職届だった。


長年築き上げてきた「エンジニアとしての誇り」が、たった一枚の紙切れと、女の嘘に踏みつぶされた瞬間だった。




昭夫は、抗う気力さえ失っていた。


何もかもが、馬鹿馬鹿しい。


帰宅しても、妻の桂子は夫の絶望に気づきもしない。


「ねえ聞いてよ、今日職場ですごく嫌なことがあったの。私ばっかり損をして……」


背後で続く、終わりのない愚痴。


昭夫は何も答えず、重い体を引きずって布団に潜り込んだ。


シーツの暗闇だけが、今の彼を優しく包んでくれる唯一の場所だった。


「もういい。もう、何もしたくない」


枕元に置かれた一冊の小説。


現実というシステムからログアウトした昭夫は、活字の海へと沈んでいった。





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