表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

「死の地」の真実。黄金に輝く「古代都市」の基盤と、壊れ始めた公爵家

 王都から一週間。アルトとセレスの目の前には、見渡す限りの荒野と、不気味な紫の霧が立ち込める「辺境領地グラズヘイム」が広がっていた。


「……ここが、アルト様の領地なのですか。空気が重く、大地が死んでいます」


 セレスが剣の柄に手をかけ、警戒を強める。


 だが、アルトの瞳には、全く別の景色が映っていた。



【対象:辺境領地グラズヘイム】

【状態:魔力飽和オーバーフローによる環境汚染】

【診断:死の地ではない。――あまりに純粋な魔力が「出口」を失い、腐敗しているだけだ】

【最適運用:古の石盤を鍵として『魔力循環路パス』を再構成せよ】



「セレス、下がっていてくれ。……今まで、誰もこの土地の『本当の扱い方』を知らなかっただけなんだ」


 アルトが懐から、あのひび割れた石盤を取り出す。

 彼は迷わず、自身の魔力を一点――石盤の亀裂きれつの「中心」へと流し込んだ。



 ガガガッ!



 地響きとともに、大地に刻まれた古の魔法陣が黄金に輝き出す。

 アルトの【最適運用】によって、暴走していた大地の魔力が、かつて設計された通りの「正しい回路」へと誘導されていく。


 一瞬で、紫の霧が晴れた。

 枯れていた木々には青々とした葉が芽吹き、ひび割れた大地からは水晶のように澄んだ水があふれ出す。


「……っ、温かい。大地の呼吸が、聞こえます」


 セレスが驚きに目を見開き、みずみず々しくよみがえった草花に触れる。その指先には、かつて彼女を蝕んでいた呪いとは正反対の、純粋な祝福の魔力が宿っていた。


 目の前に現れたのは、かつて神話に語られた黄金の古代都市。


「よし。これで『家』の準備は整った。次は――」



 その頃、フェルディナンド公爵邸。


「バカな……! なぜだ! なぜ誰も直せんのだ!」

 父公爵が、動かなくなった家宝の魔剣を床に叩きつける。

 

 アルトが去り、屋敷中の魔導具は一斉に「寿命」を迎え、沈黙した。

 

「父上、落ち着いてください。たかがゴミ一人がいなくなった程度で……」


 弟ライオネルが宥めようとするが、その手元にある魔導ランプが、パリンと音を立てて砕け散った。


「黙れ! 鑑定士によれば、我が家の魔力循環は『奇跡的なバランス』で保たれていたという! そのバランスを維持できる唯一の人間を、お前たちはゴミと呼んで追い出したのだぞ!」


 そこへ、青ざめた顔の婚約者エレノアが駆け込んでくる。


「公爵様! お聞きになって!? 私の家の宝物庫も、今日になって半分以上の魔石がただの石ころに変わってしまったのですわ!」


「今さら何を言う! お前とライオネルが略奪婚を計画し、邪魔なアルトを追い出したからこうなったんだろ!」


 かつてアルトを「ゴミ」と笑った者たちが、今や互いをののしりり合っている。

 彼らはまだ気づいていない。

 自分たちが捨てたのは「無能」ではなく、自分たちの贅沢ぜいたくな生活を支えていた唯一の「心臓」であったことに。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 領地到着、そして【聖域化】!

 それにしても、公爵邸のパニックが止まりませんね。


「邪魔なアルトを追い出したからこうなった」という言葉、因果応報とはまさにこのことです。次回も、どうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ