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覚醒の戦女神と脈動する石盤。俺に投げつけられたのは「伝説の地」への鍵だった

 黄金の光柱が夜の闇を裂いた瞬間、路地裏を支配していた不快な脂汗あぶらあせの臭いが、清涼な神気の香りに塗り替えられた。


「な、なんだ!? この光は……っ!」


 ごろつきたちが腕で目を覆い、後退りする。


アルトの腕の中で、少女の身体をむしばんでいた漆黒しっこくの紋章が、眩い純白の回路へと変貌へんぼうしていく。


 詰まっていた巨大な魔力が「最適」な経路を見出し、彼女の細胞一つひとつを再構成アップデートしていく。



【結果:戦女神の末裔(真名:セレス)の覚醒かくせいを確認】

【能力:神速、絶影、対魔力極大】

【忠誠度:測定不能(上限突破)】



 少女――セレスが、ゆっくりと目を開けた。

 濁っていた瞳は、今や澄み渡る蒼天そうてんのような輝きを宿している。


「……身体が、軽い。あんなに熱くて痛かった『呪い』が……こんなに温かいなんて」


 彼女は自分の手を見つめ、それから背後に立つアルトを振り返った。

 その瞳には、救い主に対する狂信的なまでの敬愛が灯っている。


「お、おい! 何をしやがった無能野郎! そのガキをこっちへ渡しやがれ!」


 ごろつきの一人がナイフを突き出し、アルトへ飛びかかる。


 アルトが動くよりも速かった。


 ――キンッ。


 澄んだ金属音。

 気づけば、セレスがアルトの前に立ち、素手でナイフの刃をつかんでいた。

 いや、つかんだのではない。彼女が放つ神気オーラに触れただけで、鉄の刃がひしゃげたのだ。


「……触れるな。ゴミ掃除の時間だ」


 セレスの姿が消えた。

 次の瞬間、路地裏を衝撃波が駆け抜け、ごろつきたちが壁に叩きつけられる。

 彼らは何が起きたのか理解する暇もなく、ただ「戦女神」の威圧感に気絶するしかなかった。


「……すごいな。これが君の本当の力か」


 アルトが感嘆の声を漏らすと、セレスは先ほどの冷徹さが嘘のように、ほほを染めてひざまずいた。


「いいえ。これは主様が与えてくださった命です。……私はあなたの剣となり、盾となります。どこへでも、お供させてください」


「あ、ああ。よろしく、セレス」


 アルトは彼女の手を取り、立ち上がらせる。

 その視界の端で、袋の中にあった「ひび割れた石盤」が激しく脈動しているのが見えた。



【対象:古びた石盤(真名:辺境領地『グラズヘイム』の権利証)】

【状態:封印状態、資産価値ゼロ】

【最適運用:所有者の魔力登録により、眠れる『古代都市』を再起動せよ】



(グラズヘイム……。父上が「死に場所」として俺に投げつけた、あの呪われた未開拓地のことか)


 誰もがガラクタだと笑い、呪いだと忌み嫌うその場所。

 だが、アルトには見えていた。

 そこが、世界で最も「最適」なポテンシャルを秘めた聖域であることを。


「行こう、セレス。俺たちの場所へ」



 一方、その頃。

 フェルディナンド公爵邸。


「どういうことだ! なぜ魔力炉が安定せん!」

 父公爵の怒号が響く。


「わ、わかりません! これまでと同じ数値で管理しているはずなのに、なぜか魔力が逆流して……このままでは、あと一週間で邸内の魔導具がすべて自壊します!」


 彼らはまだ知らない。

 これまで「数値」が安定していたのは、アルトが毎日、目に見えない「魔力のよじれ」を【最適運用】で微調整し続けていたからだということを。


 管理メンテナンスを失った機械がどうなるか。

 公爵家の没落は、すでに止まらないカウントダウンを始めていた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 覚醒したセレスの圧倒的な力、いかがでしたでしょうか。

 そして、アルトが手にした新たな希望「グラズヘイム」。


 次回、呪われた死の地がアルトの手で「最適化」されていきます!

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