「ほほほほほ」
しばらくして。
「それで、殿。これからどうなさるおつもりですか?」
落ち着きを取り戻したお萌が言った。
「とりあえず、四天王を助け出そうと思う」
「そうですか」
「うん。ついでにいまの家康を叩き出す」
「どうやって? 並大抵のことではありませんよ」
「だろうね。でも、こっちにはIKB10がいるし」
「側室十人衆でしたか?」
「ん? 違うよね?」
「ルエル様は?」
「協力するって言ってくれてる」
「では、お萌も参りましょう」
「いや、お萌は立場上まずい。お父さんの半蔵さんに迷惑をかけてしまう」
徳川家に仕える者として、たとえ主君が豊臣側の人間であっても刃向かってはいけないルールのはずだ。
おれが「徳川家をたばかった」にも関わらず、責任を問われなかったことと同じで。
実の娘が徳川家康を追い出す手伝いをしたとなれば、半蔵さんは切腹ものだ。
おれがそう言うと、お萌は口もとに手を当てて笑い出した。
「ほほほほほ」
「え、急になに?」
「私を誰だとお思いですか?」
「ん? お萌だろ?」
「その通りです」
とお萌はうなずき、そしてキメ顔で言った。
「このお萌がお仕えする殿方は、この世にたった一人しかおりません」




