「まさかの全員集合?」
………。
………。
………。
しかしいつまで待ってもロップが攻撃してくることはなかった。
この期に及んでじらしているのか? それってちょっと悪趣味じゃないか?
そう思いながら目を開ける。
ロップはさっきと同じように切り株に座って両足をぷらぷらさせていた。
「うおい!」
思わずおれはツッコむ。
しかしロップはべーっと舌を出し、あろうことか切り株の上に寝そべった。縦線のへそが見える。
ルエルを見ると、同じように呆れた顔でロップを見ている。
と、その時。
どこからか聞き覚えのあるメロディーが流れてきた。
「あれは!」
「ハーメルンだな。デフか」
どうやら甲賀異人衆は他にも来ているようだ。
続いて「ずーん! ずーん!」という地響きをともなわない足音が聞こえてくる。
ふと気付くと周囲には霧が立ちこめていた。
なるほど、アベシも来ている、と。
「うざ」
と近くで声がしたので振り向くと、女子高生バージョンのJKがいた。
「うわ、ビックリした! なんだよ、お前。なにしてんだ?」
「きしょ」
「………」
おれはまた地味に傷つく。
それはさておき、どうやら甲賀異人衆に囲まれてしまったようだ。
あはは、万事休すだな。
ロップ一人でおれの命を奪うには充分なのに、こうしてみんなが集まってきているとなると、これまでの恨みを晴らそうということなのかも知れない。
ルエルだけはなんとか守らなければいけないが……。
「真実を知りたいか?」
今度はそんな声がして、振り向くとそこには……。
てっきり鏡があるのかと思ったが、生身の姿の赤毛美少女ギーがいた。
「よう、ギーじゃないか。今日も可愛いね」
「………」
ギーは髪の毛と同じように顔を赤くする。
周囲の霧は、たちこめ始めた時と同じように、ふと気付くと消え去っていた。
消えたあとのまわりには……。
街道の山道のあちこちに……。
「まさかの全員集合?」
おれは呆然としてつぶやく。
そう、そこには十人の美少女くノ一集団・甲賀異人衆が勢揃いしていたのだった。
ある者は木の枝に座り、ある者は木の幹にもたれ、ある者は木の上からのぞきこみ、ある者は道ばたにしゃがみこみ、ある者は悠然と立っていて……。
「えーと、これはどういうこと?」
と首をかしげるおれにギーが叫んだ。
「すべて、お前のせいだ!」
うええ〜、なんで?




