白雪姫よりきれいで可愛くて
「では最後に、そこの者。真実を知りたくば、私の前に立て」
と鏡が言った。おれを首を振って答える。
「おれはいいよ。知りたい真実なんてないから」
「いや、そう言わず」
「大丈夫大丈夫」
「そそ、それは困る」
「困るって言われてもね」
「だったら頼む」
「頼まれてもなー」
「………」
鏡が黙り込んだので、おれはお萌とルエルに言った。
「じゃ、行こうか」
「ま、待て!」
「なんだよ」
「さ、さっきお前が言っていた者の姿を見たくないか? ほら、白雪姫より美しいとか言ってた」
「ああ、ギーのこと?」
「そ、そんな名前だったかなー、確か」
「白雪姫よりきれいで可愛くて、すごく性格も素直なギーのこと? 遠い異国から日本にやって来て、不安もいっぱいあるのに、仲間たちと力を合わせて頑張っている、健気でひたむきな素敵な女の子、ギーのこと?」
「……そこまでじゃないもん」
「なんて?」
「あーもう分かった! そうだよ、そのギーだよ。どうだ、見たくないか? ギーの真実の姿を!」
女の子をからかい過ぎるのも悪趣味なので、おれはギーの誘いにのることにした。
一連のやりとりから彼女が悪い人間じゃない気もしていた。むしろ好感を抱くほどだ。
「じゃ、見せてもらおうかな」
とおれが前に立つと、鏡がすかさず叫んだ。
「かかったな! 秘術『メイク・ザット・チェンジ』!」




