あなたは1000001人目の転生者です。
高校からの帰り道。トラックどんで吹っ飛ばされて、気づいたら俺は知らない場所にいた。
目の前には、東京都心なんて目じゃないくらいの高層ビル郡が広がる。まるでビルの森。SF映画に出てきそうな卵形船が飛び回っている。
「ここは、いったい」
ぼんやりしていると、若い女性が声をかけてきた。
「あら、その格好は……また転生者? あなたで10000001人目よ。見たところ日本人ね」
「はい?」
モデルすら土下座するレベルの美女に罵られたぞおい。服装は令和日本の渋谷にいそう。
「ここって本当に異世界ですか」
「あなたたちから見たら異世界ね。「ココハドコ、イセカイ?」第一声はみんなそれ。聞きあきたわ。たまには他の事を言ってくれない?」
「辛辣ぅ」
「ちなみにどの家にもインフラ完備テレビも冷蔵庫もネットもあるから、よほどの専門知識を持っている人でないと必要とされないわよ」
高校の成績は中の下です。
「でもほら最近は底辺からの成り上がり小説が流行りですしー、俺ももしかしたら億万長者になれるかなーなんて」
「起きたまま寝言を言うのをやめてほしいわ。異世界転生者はあっちの白いビル200階に専用受付があるからそこで手続きしなさい。それじゃあね。…………タクシー!」
美女が右手を上げると、空を飛び交っていた小型船が下りてきて扉が開いた。
中は無人。座席だけがある。
もしかして無人・自動運転で空飛ぶ車ですか?
美女が乗り込むと自動で扉が閉じて飛んでいった。
うん、この世界でモブ以下の俺が成り上がるのは無理ゲーだわ。