表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第2話:腹にナックルパンチ、あれは痛い!

 腹にパンチを喰らった事のある人なら、多分今回の正成に共感できると思います。

 「・・・つまり、ここは先程のX=3が成り立つから・・・っておい、谷笠、話聞いてるのか?」

 

 「・・・・・」

 

 「谷笠ぁ!!!」

 

 「・・・んあ?」

 

 正成は今、夢の世界から帰還した。

 

 「んあ?じゃない!今お前寝てただろ!」

 

 「・・・・・」

 

 まだ半分寝ぼけている正成。

 

 「谷笠ぁ!!!!」

 

 「・・・多分寝てたと思います」

 

 今は学校、昼休みを挟んだ5時限目、数学の時間だ。

 

 「やる気あるのか?」

 

 数学の教師は長谷部。確かよくキレる事で有名。

 

 「やる気は・・・そこそこです」

 

 正成の机には数学の教科書・・・ではなく、昼休みに食べた弁当箱やペットボトル、マンガ本などが置いてあった。

 

 「谷笠ぁ!!!!!」

 

 長谷部は大激怒、50分の授業時間の約半分を正成の説教にあてた。

 その間、隣の席の凜奈はずーっと笑いを堪えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「どうしてさ、正成はそんなにバカなの?」

 

 プールサイドに一つだけ置いてあるベンチ。

 凜奈はベンチの右端に腰掛けながら聞いた。

 

 「知らねぇ。俺の両親にでも聞いてくれ」

 

 正成はベンチには座らず、凜奈の右隣、プールサイドにそのまま腰を下ろした。

 

 今は部活の休憩時間。

 正成は海パンに青いTシャツ。

 凜奈はいつも通り白いTシャツに今日は黄色の薄い下ジャージ、そしてビーチサンダル。

 

 「・・・正成ってさ、真面目に頑張ろう、とか考えた事ない?」

 

 「あ?なんで?」

 

 「いや、その・・・やっぱりなんでもない」

 

 「は?」

 

 「今言った事は忘れて!!」

 

 「は?意味分かんない?」

 

 「だから何でもないって!!」

 

 「だから意味分からんって言ってるだろ!」

 

 イマイチ話が噛み合っていない二人。

 

 「はっきりしない奴にはお仕置きだ!」

 

 正成はその場から立ち上がり、ベンチに座っている凜奈の前へ。

 

 「え?な、何するの?」 

 凜奈の心配をシカトし、正成は両手で凜奈の両足首を持った。

 

 「は!まさか!」

 

 何かに気が付いた凜奈。しかし、時すでにおそし。

 「ふんっ!」

 

 正成は凜奈の足首を思いっきり引っ張った。

 

 「ちょっ!!!」

 

 勢いよく引っ張られた凜奈は、お尻から思いっきり地面に落ちた。

 

 どんっ!!

 

 「痛いっ!」

 

 「はっきりしないとお仕置きだ!」

 

 正成は笑顔、凜奈は痛みで若干涙目。

 

 「・・・よくも!」

 

 凜奈はすぐさま立ち上がり、笑っている正成の腹目掛けてナックルパンチ!

 

 「ぐはっ・・・」

 

 正成、一撃でノックダウン!!

 脆くも地面に倒れさった。

 

 「ふん、当然の報いよ」 

 凜奈は仁王立ちで正成の前に立った。

 まさに勝者!!!

 

 

 

 

 

 

 「いいかお前ら、明後日は岡田工業高との練習試合だ。気ぃ抜くなよ」

 

 水泳部顧問の鏑木は明後日のスケジュールが書かれたプリントを部員全員に配布した。

 

 「明後日10時にプール入口に集合、ちなみに明日は学校のプールが使用出来ないので、各自市民プールなどで練習してくるように!!」

 

 鏑木は張り切っているが、正成はナックルの痛みでそれどころじゃない。

 

 

 

 部活が終わり、いつも通りのミーティング。

 皆、すでに制服に着替えている。

 

 「いいな、明後日遅刻するなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 いつも通りの帰り道。

 今日は部活が長引いたため、拓海と雄大は先に帰ってしまい、正成は一人で下校。

 

 空はもう薄暗く、人もまばら。

 

 「・・・一人だとつまらん」

 

 正成はポケットから携帯を取り出し、時刻を確認・・・

 

 電車発車まであと5分

 

 「やっべー!!」

 

 正成は急いで携帯をポケットにしまい、一気に走りだした。

 

 その時!

 

 どんっ!

 

 「ぐはっ!!」

 

 正成は何かとぶつかった。

 

 「す、すみません」

 

 正成は何とぶつかったのかを確認する。

 

 今、正成の前にいるのは人間。しかもかなりヤンキーっぽい人。

 

 (うわ〜!この人モヒカンだよ、すげぇ)

 

 正成とぶつかったのは、学ランにモヒカン頭、目つきは悪く、手にはボロボロのかばん。ヤンキームードの男子。

 

 「おいてめぇ!何様じゃこらぁ!!」

 

 お怒りのご様子のヤンキー男子。

 

 「す、すみません」

 

 正成はとりあえずと言った感じで謝る。

 

 「なんだてめぇ!シバいたろか!?」

 

 いきなり正成の胸倉を掴むヤンキー男子。

 相変わらず目つきがこわい。

 

 「ちょっ、暴力とかは無しにしません?人間には会話という超平和的和解方法があるんですし」

 

 正成は愛想笑い。

 

 「てめぇ屁理屈こいてんじゃねぇよ!こっちはな、パチンコで負けてイラついてんだよ!」

 

 (パチンコって、コイツ未成年だろ!?)

 

 正成はまじまじとヤンキー男子の顔を見る。

 

 「・・・っ!てめぇ何人の顔じろじろ見てんだよ!やっぱ殺す!」

 

 ヤンキー男子は左手で正成の胸倉を掴み、右手で正成の顔を殴った。

 

 バンっ!

 

 正成は勢い余って地面に倒れた。

 

 「死ね!」

 

 倒れている正成に向かい蹴りを放つヤンキー。

 しかし・・・

 

 「・・・ったく、人が下手に乗ってたら、調子こぎやがって」

 

 正成はヤンキーの蹴りを片手で受け止めると、一気に起き上がり、ヤンキーが驚いている間にヤンキーの腹目掛けナックルパンチ!!!

 

 どんっ!!

 

 「ぐはっ!」

 

 ヤンキーはパンチをもろに喰らい、地面に倒れた。 

 「けっ!!」

 

 もう電車には間に合わない。

 

 「ったく・・・ん?」

 

 腹を抱え倒れているヤンキーの近くに、一冊の生徒手帳が。

 

 「・・・・・」

 

 正成は無言でそれを拾い、中を確認。

 

 

 

 岡田工業高等学校二年A組、山田誠

 

 

 

 (岡工って、確か明後日の練習校じゃん)

 

 正成は生徒手帳をヤンキー男子・・・誠の近くに投げた。

 

 「じゃあな、誠っちゃん」

 

 正成はそのまま駅に向かい歩きだす。

 

 「くそっ!」

 

 後ろから誠の声が聞こえたが、無視。

 

 

 

 

 

 

 

 

 岡田工業高等学校

 偏差値40の学校で、最近は不良の巣窟と化している学校。

 ヤンキーもいればスケバンもいる、まさに昭和かってツッコミを入れたくなる学校だ。

 制服は男子は学ラン、女子はセーラー。

 

 

 一方、正成達が通っているのは

 征咲高等学校

 偏差値45で、そこそこのバカが多い学校。

 征咲市唯一の高等学校でもある。

 制服は男女共にブレザーだ。

 しかも、男子のブレザーは少し緑っぽく、女子のブレザーは少しピンクっぽい。ズボン、スカートはチェック柄。

 

 中学女子からはカワイイと評判で、毎年入学率は女子の方が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日曜日、今日は征咲VS岡工の練習試合だ。

 

 ルールは簡単、各校代表4人を選抜、4人VS4人のリレー対決だ。

 

 

 

 

 

 

 「あ〜だりぃ〜」

 

 正成は集合時間から10分遅れて校門をくぐった。

 

 「ちょっと、正成!」

 

 「んあ!?」

 

 プールの方からダッシュで駆け寄ってくる女子が一人。

 

 「ちょっと正成、あんた何したの!?」

 

 女子―――凜奈は、見たところすごく焦っている。 

 「んだよ、10分くらいいいじゃん」

 

 「は?違う!正成あんた金曜日何した!?」

 

 「金曜日?」

 

 「あーもう、いいから来て!」

 

 「うわっ、ちょっ!」

 

 凜奈は正成の腕を掴むと、一気にプール目掛け走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 「あれ!」

 

 プールについた凜奈が、プールサイドにいる人を指差した。

 

 「どれ?」

 

 正成は目を細める。

 

 見たところ、一人のモヒカン少年がプールサイドで暴れていた。

 微かだが、

 

 「谷笠を出せぇ!」

 

 と、聞こえる。

 

 「あ、たしかアレは誠っちゃんだ」

 

 興味なさ気に答える正成。

 

 「誠っちゃん?と、とにかくアレを何とかしてよ、みんな怖がって部室から出て来ないの!」

 

 プールサイドには、岡工水泳部と顧問鏑木の姿、そして誠。

 

 征咲高水泳部員は一人もいない。

 

 「・・・ったく、しょーがない、誠っちゃんに挨拶でもしてくるか」

 

 正成は一人プールサイドに向かう。

 

 「待って、あたしも行く」

 

 凜奈は正成の後ろにピッタリとつく。

 

 「女はついてくるな、多分怪我するぞ」

 

 「大丈夫、いざとなったら正成が守ってくれるから」

 

 「俺は助けねぇよ」

 

 二人はプールサイドへ

 

 「よっ!誠っちゃん!元気か?」

 

 正成の登場にさっきまで誠に便乗して騒いでいた岡工水泳部は一斉に静まり返った。

 

 「でたな、あんた谷笠って名前なんだな」

 

 ピンクの海パンと言う、何とも奇抜な感じの誠。

 

 「なんだ、誠っちゃんも水泳部だったんだ」

 

 相変わらず誠をおちょくる正成。

 

 「んだとテメェ!誰が誠っちゃんだオラ!」

 

 「君だよ」

 

 「あ〜!!!!」

 

 怒り狂う誠。

 

 「ちょっと正成、何あいつを刺激してんのよ」

 

 後ろから小さい声で注意をする凜奈。

 

 「いいんだよ」

 

 正成は凜奈を置いて誠の目の前へ。

 

 「誠っちゃん、どうせ蹴り付けたいならさ、水泳で勝負しない?」

 

 「あんだとコラ!」

 

 誠は既にブチ切れ状態、これなら考えが働かず、説得しやすい(多分)

 

 「いいじゃん、どうせ喧嘩なんかやるより、水泳の方が勝ち負けがはっきりしてるし」

 

 「何勝手に話進めとるんじゃ!」

 

 「いいじゃないか、もし誠っちゃんが勝ったら俺を殺していいよ」

 

 辺りがさらに静まり返った。

 

 「なんだったら、凜奈もあげるし」

 

 「なっ・・・!!」

 

 凜奈絶句。

 

 「ああ、いいだろう。俺が勝ったらお前を殺してこの女を貰う」

 

 「え〜!!」

 

 凜奈絶句。

 

 かくして、正成と凜奈の生死を掛けた水泳リレーがはじまろうとしていた。

改めて思う。


モヒカンって、凄いよなぁ〜!!




次回、正成VS誠の水泳ガチリレー対決!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ