普通のサブタイトルだけを書けばいいと考えてるところもあるけど、それだけじゃなんかつまらない気がするからこの書き方をやめない3話(柚子と祭りと告白)
連続投稿はするつもりは無かったけど書けちゃったから投稿したくなったおじさんです。考えるのが好きだけど文を書く事の才能がない人の作品ですが、ゆっくり読んでいってくださいね。
初めて会ったのはあの人の家だった。
「うわっ! ……び、びっくりしたぁ。」
「ふぇ!? あ、あなたはもしかして。」
今考えると本当に偶然で、この偶然をとてもありがたく思えた。
「蓮おにいちゃん。わたしのこと……好き?」
「そうだね。好きだよ柚子ちゃん。」
きっとこの出会いが無ければ私は……誰かに恋することなんて無かったのだから。
今日は湊人が休みだ。
風邪をひいたと言ったらしい……が僕はサボったのでは無いかと思ってる。
ま、人間誰しも休みたくなる日もあるしね。
「やっほー蓮! 調子は大丈夫?」
「んー? 調子って?」
「だって昨日湊人くんと遊んだでしょ? だから風邪がうつって無いかなーってね。」
「あーそゆこと。僕は大丈夫だよ。」
「本当に? 何かあったら遠慮なく言ってね。」
こういう時の桜は別人になったんじゃないかと思うくらい優しい。
少々過保護な気もするけど……
「澪風さーん。ちょっと来てくれますか?」
「あ、はーい。ごめんちょっと行ってくるね。」
「おーしっかりと叱られてこーい。」
「叱られる様なことしてないよーっだ!」
「ねえ……澪風さん? 鳴浜くんは大丈夫そう?」
「蓮はたぶん……厳しいと思います……」
「そう……なのね。でも私も精一杯やってみるから!」
「そうですか…関わらない方がいいとあたしは思いますが、その様子じゃ諦めないみたいですね。」
「もちろん!」
あたしはこの言うことを聞かない担任に少しため息を吐きながら蓮の元へ戻った。
あ、蓮と誰かが話してる。
あの子は……なるほどね。
今まで蓮と話せなかったのはあたしか湊人が必ず居たからって事かもね。
……放課後、僕は珍しく1人で家に帰っている。
桜は先生に頼まれて居残り。
湊人は休みだ。
「…………」
こういった普段は誰かといる道にたった1人だと誰かに見られてる感覚がある。
だから1人で帰るのは苦手だ。
大体の人が感じる事だろうと気にしないように家まで歩く。
家に着くと安心感で見られてるような嫌な感覚も無くなっていた。
「誰か来てる? あぁ……この靴は……」
見覚えのある靴の置いてある玄関を抜けてリビングに向かう。
そこにはやはり知っている顔があった。
「柚子ちゃん久しぶりだね。」
「蓮お兄さん! お、お帰りなさい。」
彼女は薫の友達の柚子ちゃん。
柚子ちゃんと会うのは半年ぶりくらいかな?。
「兄さん! 今日は柚子ちゃんの私の買い物に付き合って貰うからねー!」
「あぁ……なるほどね。まあ、やることも無かったしいいよ。」
「あ、ありがとうございます。蓮お兄さん。」
柚子ちゃんは伸びた髪で見えないはずの目から隠しきれないうれしさを浮かべた。
……両手が全て埋まる程度の手提げ袋を持ちながらショッピングモールに設置されてるベンチに腰をかける。
本当に女性の買い物は長い……
それが楽しみなら長くなるのもわかるけど、待ってる時は普通に暇だ。
「あ、あの蓮お兄さん。」
「柚子ちゃん。買い物終わった?」
「いえ、まだ薫ちゃんが選んでますよ。」
「そっか。じゃあもうちょい待つかな。」
「あの、お兄さん。」
「ん? どうしたの?」
「こ、ここから2人で抜け出しませんか?」
「柚子ちゃんは人混みが少し苦手だったね。忘れててごめん。ここで少し休もうか。」
「あ、ありがとうございます。」
近くの公園のベンチに座り初夏の少し暑さが混ざる風を身体に受ける。
僕は先に買っておいた冷たいお茶を柚子ちゃんに渡し、自分の分を乾いた喉に流し込む。
「蓮お兄さん。あ、あの時の事覚えてますか?初めて2人で出かけた日のこと」
「……うん覚えてるよ。確かにあの時と今の状況、似てるね。」
確かに今、祭りの日に薫が行けなくなって僕と柚子ちゃん2人で行った時に似ている。
「大丈夫?少し人気のない所で休もうか。」
「あ、ありがとうおにいちゃん……」
少し人はいるけど祭り会場の人混みよりかは全然少ない公園に柚子ちゃんを座らせて、自分用に買っておいた飲み物を手渡す。
「これおにいちゃんの……いいの?」
「後でまた買うから大丈夫だよ。ゆっくり飲んでね。」
この頃はまだ幼かったから柚子ちゃんの顔色が少し悪いだけですごく慌てていたな……
それで……ってあれ? この後何があったんだっけ?
「おにいちゃん……私のために……ごめんなさい……」
「祭りより柚子ちゃんの方が大切だよ。」
「ありがとうね…おにいちゃんだい好きだよ。」
「ふふっ……」
「な、なんで笑うの? おにいちゃん…」
「いや、嬉しくてね。」
「あのね…蓮おにいちゃん、私のこと…………
「……さん!蓮お兄さん!」
「ど、どうしたの?柚子ちゃん。」
「何回も呼んでいたんですよ?」
「あ、あぁ……さっき言ってた祭りの時を思い出しててね」
「そうですね。あの時の事は今でも思い出します。」
「僕は最後あたりがちょっと思い出せないんだけどね……」
「そうなんですか?……そ、それじゃああの時の言葉もう一回言わせてください。」
そう言うと柚子ちゃんはベンチから僕の目の前に立って深呼吸をした。
この感じ、覚えがあるけどあの時のかな?
柚子ちゃんは意を決したのか僕に向かってあの時の言葉を言う。
「蓮おにいちゃ…お兄さん。今でも私の事……すk「いたぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」……ふぇぇ!?」
突然の大声に僕はその声を発した『置いていかれた』人を見る。
「か、薫ちゃん?」
「もーっ兄さんも柚子ちゃんも私を置いていかないでよーっ!」
「ど、どうしてここが……?」
「あー僕が公園に行く時にメールを……ね?」
「え、えぇ……」
さっきの柚子ちゃんが言いかけた言葉で思い出しちゃったな……
でもなー子どもの時言った事だし……うーん……
「じゃあ2人も見つけた事だし帰りますか!」
「あ、薫ちょっと先行ってて。」
「ん? わかった〜」
薫がある程度離れた事を確認して、呆然としている柚子ちゃんに向かって『フォロー』をしておく。
「えっと柚子ちゃん。さっきの言葉は僕よりもっと柚子ちゃんに似合う人に言ってあげてね。」
「え?……うぇぇぇ!?」
あ、柚子ちゃんの顔が真っ赤になって頬が膨らんでる。
「うぅぅぅぅぅ…」
って痛い痛い。唸り声出しながら両手で叩かないで。
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
ポカポカ言ってるけどこの擬音意外と痛いんだよ……
「おにいちゃんの……バカァァァァァァァァァァ!!!」
わあ、いつもおどおどして小さい声しか出してない柚子ちゃんの珍しい大声だぁ……
「えっと……ごめんね? 柚子ちゃん……まさかこのタイミングでとは思わなかった……完全に私のミスだわ……」
「いや、大丈夫だよ。わ、私も言わなかったのが悪いし……気にしないでね薫ちゃん。」
「って事があってね。さすがに恋愛的な話はまだ恥ずかしかったのかなぁ。」
「えっと柚子ちゃんって中学生だよね?」
「えー? そうだよ。それがどうしたの?」
「あーダメだこりゃ。完全に妹か娘みたいに見られてるわ。がんばれ柚子ちゃん…….」
そう言いため息を出す桜を見ながら、次の授業の準備をする。
桜とは席が近いけど、湊人は少し遠いから短い休み時間はあまり話さない。
「そういや桜、この前の居残りって何やってたの?」
「えっとねー先生の受け持ってる剣道部のマネージャー代理してた。」
「剣道部って桜、剣道わかるの?」
「いや? 基本的に清掃とか備品の管理とかしてたから大丈夫だった。」
「あ、そうなんだ。」
「でもね〜あの人は遠目から見るだけでもすごい迫力だったよ!」
「あの人って?」
「剣道部部長の………
「菊池さーん。ちょっといいかしら?」
「はい。どうかしましたか、先生。」
「えっとねぇ……この前休んだマネージャーがね?無断で休んでるっぽくて、「退部させましょう」……それはちょっと。」
「さすがに今すぐというわけではないです。……がこの事で他の部員に迷惑がかかるととても迷惑なので退部について考えるべきです。」
「そ、そう……一応その子にも話を聞いてみるわね。」
「わかりました。それでは練習に戻らせていただきます。」
相変わらずねあの子。
沈着冷静、冷酷無比……ってそれだけな人間なんていないのにね……
誰かがあの子を変えてくれないとあの子はきっと……
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の話は本当は柚子ちゃんが蓮くんと初めて会う所を書くつもりでしたが…妄想が暴走でこんな展開になってしまった…。この作品が続いたら最初はどんな設定だったか公開してもいいかもですね。
ちなみに4話は今ちょっと迷走しているのでお時間をいただきます(急に思いついたらすぐ投稿するかも?)