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術者シリーズ

約束の迷宮

作者: 秋月煉

楽しんで頂けたら幸いです。



これは、私こと、斉藤 絵里香えりかが実際に体験した、不思議な出来事の記録である。



◇◇◇◇◇


夕暮時、気づけば私はそこにいた。

昔、子供の頃に遊んだ、懐かしい公園に。中央には大きな大木の桜が堂々と植えられていて、近所に住む子供達からは、お化け桜と呼ばれていた。夕日が枝の隙間から見えて、まるで赤い眼をした人の横顔に見えたからだ。一応、公園という体裁の為の遊具がまばらにある、そんな広いだけの公園だった。

・・・・・あぁ、懐かしい声がする。これは、夢だろうか。

あの日の、懐かしい夢。体の自由もなく、ただ、目の前に流れる映像に、身を任せている。



ーーーーーか~くれんぼする者、この指とーまれ!



いつものように、こう呼ぶと、“あの子”が嬉しそうに駆けて来て、私に笑いかけてくれるのだ。


ーーーーーとーまった!


ずーっと昔の、子供の頃の夢。忘れていたくらい幼い日の、あの日の出来事。

最近は、毎日のように夢で見ている。


ーーーーー絶対に、見付けてね!


そう言って、”あの子“は駆けて行く。此方は勿論、そのつもりで全力で探すのだ。


ーーーーーうん、大丈夫、絶対に見付けるからね。


目を閉じて、数を数えていく。


ーーーーーもういーかい?


ーーーーーもういーよ・・・


探しに行く。でも、広いだけの公園は、隠れる場所は思ったよりも沢山あって、中々見つからない。全部、それらしい場所は見た。でも、居なかった。

何で見つからないのだろう・・・・・?


◇◇◇◇◇



「・・・また、この夢かぁ」


枕元の目覚まし時計は、未だに鳴らず、朝の4時まで少しというところを指していた。


「何かあったけ?」


夢で遊んだあの子は、あれからパタリと来なくなって、母に聞いても知らなかったらしく、結局、今日まで理由は知らないままだ。

ーーーーーでも、何か大切な物を忘れてるような気がして、それがモヤモヤするのだ。


「とにかく、準備だけしちゃうか・・・」


このアパートに住んで、早数年。会社への通勤が楽で選んだのだが、住みやすい場所で気に入っている。夢を見始めたのは、先週から。特に変わらない日々を過ごしていたから、心当たりが全くないのだ。


「何で急に・・・」


何て、ぼんやりしていたら、家を出る時間になっていて、慌てて家を出た。最近はいつも、朝はこんな感じだ。



◇◇◇◇◇



会社に行って、お昼時。いつものように、お昼を仲の良い数人で食べていると、会話が不意に夢の話になった。不自然な気がしたが、誰も気にしていなかったのが、気になった。


「あたしはね、買い物してる夢だったわ! 欲しかったバックを全部、まとめ買いするの(笑) 起きてから悔しかったわよ~」


「私は最近、夢を見ないんだよねー、斉藤ちゃんは?」


私を呼ばれて、ドキリとした。会社では斉藤ちゃん、と呼ばれているから、それに愛想笑いをした。


「・・・・・先週から、同じ夢を見てます、夕暮れ刻に、かくれんぼしてるんですよ」


言うつもりは無かった夢の事が、スルリと溢れた。慌てて、疲れてるんですかねー、と言ったが為に、何だか変な方へ会話が流れていく。


「疲れてるなら、アロマが効くよ~」


「ハーブとかもオススメ!」


取り敢えず、会話の話題は流れたようで、ホッとした。ただ、スルリと出た事が、本当にモヤモヤした。今までは、こんな事、無かったのに・・・。

お昼も終わり、片付けていると、先程のメンバーの一人が、心配そうに近寄ってきた。他のメンバーは、歯を洗いに、席を立ったようだ。


「斉藤ちゃん、もしも、さっきの夢の話が気になっているなら、ここに相談してみて」


そう言って渡されたのは、一枚の名刺。白い無地の、特に変わりがない、普通の名刺。そこには、探偵事務所との表記があり、連絡先が書かれていた。


「これは?」


「私も以前、似たような事で、ここに相談したの、親身になってくれるから、大丈夫よ」


親切な同僚に丁寧にお礼を言って、受け取った。確かに夢とはいえ、何処かに相談できると出来ないでは、心構えが全く違う。親切な同僚には、感謝しかない。


◇◇◇◇◇


その日のうちに、不安を早く解消したくて、貰った名刺に連絡して、次のお休みに伺う予約をした。電話に出たのは、感じのいい男性で、いつの間にか、どんな夢を見ているかまで話していた。本当に、気付いたら話していたのだ。


「では、宜しくお願い致します」


そう言って電話を切ったら、気付けば30分程、時間が経っていた。かなり集中していたらしく、喉が乾いており、冷蔵庫に入れていた作り置きの麦茶を飲む。何だかぼんやりしたような頭がスッキリした。

早く解決して、穏やかな朝を迎えたいものだ・・・。

何て、考えたのが悪いのか、それとも、単に偶然なのか、その日から夢の内容が少し、変わったのだ。


ーーーーーかくれんぼするもの、この指とーまれ!


最初は同じだった。この後は、いつもならば、あの子が来て、宣言するはずなのだが。


ーーーーーとーまった!


ーーーーーとーまった・・・


ーーーーーとーまった・・・・・


いつもと、違う。知らない声が、あの子の次に聞こえた。少し聞き取りにくい声だと思う。


ーーーーー絶対に、一番最初に見つけてね!


また、違う・・・。何で? それに、最初に見つけるの? どうして? 内心、疑問に思いつつも、夢の中の私は、“いつものように”、約束するのだ。


ーーーーーうん、大丈夫、絶対に見つけるからね!


そして、いつものように、皆が隠れていく。数えて行き、探しに行くのだが、・・・・・おかしい。

・・・いつもと、違う。

中を、後ろを、横を、確認しようとするたびに、背筋にゾクリとしたものが這い上がる。本能とも呼べる、何かが言うのだ。

“見てはいけない”と・・・・・。

何故かまでは分からないけれども、ここから先は見てはいけないのだと、体が拒絶する。

それでも、“あの子”を探す為にも、見付けなければいけないから、他を探してみる。

いくつか、当たりをつけてはみたものの、やはり、あの本能から来るゾクリとした感覚があり、私はまた、見付けられなかった・・・。

何で、見つからないの?

そこまで見て、ハッとして、がばりと飛び起きた。まだまだ、暗い自分の部屋に、いくらか安心する。呼吸がやけに早かった。


「・・・・・夢が、変わった?」


唖然と呟いた声が、掠れていた。今までは、こんな事無かったのに。

何か、悪い事が起きそうで、あまりの怖さに、ベットの上で、膝を抱えて小さくなる。更に、毛布を頭から被った。

怖い、言い様のない、明確な恐怖がある・・・。ゾクゾクとした物が、背筋に走るのだ。


「どうなっちゃうの?」


震えた声が、それだけが、現実に感じた。



◇◇◇◇◇



あれから数日経った。

明らかに化粧で隠せない濃い隈に、青白い肌。たった数日で、私は見事にやつれた。余りの酷さに、会社の上司から、数日間の強制休暇命令が出たほどだ・・・。

今日は探偵事務所へ行く日であり、何故か数日分のお泊まりグッズ持参という指示だったのが、疑問だったが。


「こんにちは・・・、あの、予約していた斉藤ですが・・・」


入口に入ると、受付があり、そこの女性に上に行くように指示される。一階は、受付の他、違う部所があるらしく、そちらは多くの人が忙しく働いていた。

指示通り上に行くと、扉が二つあり、片方は資料室とされていたため、特殊課とある部屋に入る。一階は吹き抜けだったので、かなり広いイメージがあったが、ここは仕切られているからか、下よりも狭く感じた。

ノックして、扉を開けると一瞬、強い風を感じた。髪が舞い上がるくらいの風だ。


「え? あれ?」


一瞬、何事かと思ったが、すぐに目的を思い出した。窓でも開いていたんだろう。


「あの、予約していた、斉藤ですが・・・」


「はーい! って、うわぁ!? 大丈夫ですか!?」


慌てたように現れたのは、頭を爆発したようなパーマにした、中年くらいの男性で、ヨレヨレのスーツにネクタイという、哀愁が似合う姿だった。


「斉藤さんですよね? いやー、すいません、まだ担当者が来てないんで、お待ち頂けますか?」


「はい、大丈夫です・・・」


すぐにソファーに案内され、コーヒーを用意してもらい、担当者が来るまでの間に、書類の記入をしていた。彼は、ここの所長さんで、田原さんというらしい。


「いやぁー、今、ちょうど書類仕事してたんですけどね? ちょっと、お札を間違えちゃったんですよねー、ちょうどそこに、斉藤さんが来たんで慌てちゃいましたよー」


その話に、ふと、思ってしまった。それはつまり、だ。先程の私はかなり危険だったのでは・・・・・? ここ最近、すっかり馴染んだ、背筋にヒヤリとしたものが走った。


「・・・・・所長? 今のお話、じっくり、詳しく、知りたいですわぁ」


更に、知らない声がして、慌ててそちらを見た私は、全力で後悔した。

般若だ、般若がいた!

明るい茶髪をストレートに伸ばし、一目でブランド物と分かるパンツスーツをビシッと着こなした、仕事が出来ますな、キリッとした美人だ。だが、なまじ美人な為に、怒った顔は怖い。

・・・・・自分はとんでもない場所に依頼をしてしまったのではと、またしても、背筋にヒヤリとしたものが走る。


「あら、此方が依頼人さんですね? わたくし、此方で探偵をしております、榊原 真由合と申します、少々、お時間を頂きますので、もう少しお待ちくださいね」


そう言うなり、彼女は有無を言わさず、所長さんと今入って来たばかりの扉から出ていった・・・。大丈夫だろうか?

と、先程には気付かなかったが、人が居た事に気付いた。


「あ、すいません、お騒がせしまして・・・、こちらで探偵をしております、神戸 美鈴と申します」


ペコリと頭を下げたのは、まだ年若い少女で、学生さんだと思う。長い髪を三つ編みにしており、服装も動きやすいものだが、可愛らしい印象だ。眼鏡をかけているが、中々の美少女である。

そして、もう一人。


「竜前寺 雅です、宜しくお願いします」


こちらも、ペコリと頭を下げたのだが、これには違和感を感じた。全体的に暗い服装だが、美少年くんには似合っている。とはいえ、明らかに小学生に見えた。


「あ、大丈夫です、家業を手伝っているだけですから」


冷静な説明は、既に何度かあったらしく、かなりスマートであった。

と、いきなりビルが揺れた。かなり大きく・・・。


「やだっ、地震!?」


慌ててドアから出ようとして、ふと、妙に冷静な二人に違和感を抱いた。


「いつもの事ですから、落ち着いてください、直ぐに治まりますから」


神戸さんに言われて、改めて冷静になれば、確かに揺れは治まっていた。一体全体、何がどうなっているのやら、訳が分からなかった。

その時、ドアが開き、妙に素敵な笑顔の榊原と名乗った女性が入って来た。遅れて、先程よりも更に頭が凄い事になっている、田原さんの姿があった。


「お待たせ致しました、さぁ、お仕事にしましょう、斉藤さん、お話を伺っても?」


「は、はい!」


瞬時に、この人には逆らわない道を選んだ。促されるままに、ソファーに座り、そこに入れ直された暖かいコーヒーが香った。香りから、かなり良いものだと気付く。仕事場でも、よくコーヒーを飲むので、ちょっと落ち着いた。


「・・・・・なるほど、夢が変わった、ですか」


私のしどろもどろの話を聞き終わった、榊原さんの最初の発言がこれだった。他の皆さんも、険しい顔をしている。


「恐らく、その少女が鍵なんでしょうけど・・・・・約束が気になりますね」


これは、神戸さん。


「知らない声が増えたって、不味いよね?」


とは、竜前寺くん。それには、榊原さんが肯定をした。


「そうですね、恐らくですが、彼女が暴走を始めているのかもしれません、それに周りの霊が反応してるのかもしれません」


・・・・・暴走? あの子に変わりは無かったのに。日に日に増えてきた、知らない声。ゾクリとした感覚が、背筋に走る。もう、何度目か・・・・・。


「取り敢えず、こちらをお持ち下さいな」


そう言って渡されたのは、一枚のお札だった。こう、映画とかで見た、不思議な模様が書かれたものだ。


「護符ですわ、悪いモノから身を守ってくれます、とはいえ、これは一時しのぎでしかありません、原因を探さないと」


原因に思い当たる事がないのだ。何度も考えたけれど、原因と呼べる物は無かった。


「電話で母にも聞いたんですけど、思い当たる事がないそうで・・・・・」


元々、母はあの子を知らないため、思い出してもらうことから始める羽目になり、かなりの長電話になった。


「やはり、記憶の場所へ行く方がいいかもしれませんね」


◇◇◇◇◇


お泊まりグッズの意味を、私はようやく理解した。何故ならば、私は今、担当三人と新幹線にいるからだ。何故、こうなったのか。


「片道三時間ですか、うわぁ、久しぶりなんで楽しみです!」


神戸さんはワクワクした感じで、榊原さんは飽きれ顔。竜前寺くんは、何やら本を読んでいた。自由な方々だ。


「ねぇ、真由合さん・・・着いたらどうするの?」


「まずは、レンタカーを借りてから、公園に行ってみましょう、あの霊と斉藤さんは、子供の頃に出会っているみたいですから」


「そうですね! お化け桜なんて本当にあるんでしょうか?」


神戸さんは、明らかに旅行気分な気がするが、本当に大丈夫なのか、この時の私は疑問に感じた。だが、彼らにすがるしかないのだ。心配だけど・・・。

それから、約3時間後。時刻はお昼過ぎ。

無事に目的地である、私の出身地へ到着した。田舎の地方都市だけあって、彼女達は珍しいのか、辺りを色々見ていた。皆さんがタイプの違う美男美女だけあって、結構目立つ。最後に私を見て、残念な顔をするのは、切実に止めていただきたい。しかし、新幹線内で少し寝れたので、頭はすっきりしていた。夢も見なかった。


「まずは、お昼にしましょう、次にレンタカーで斉藤さんの夢で見た公園へ行きましょう、資料部には連絡してあるから、関連情報を寄越してくれるはずよ、出来れば、実家にも行って、当時の話も聞きたいわ」


そこからは、早かった。お昼が終わると、直ぐにレンタカーで、思い出のある公園へ向かう。私は助手席、榊原さんが運転席、後ろには神戸さんに竜前寺くん。ちょこんと座った姿が、二人ともに何とも可愛らしい。現場を調べに行くはずが、和んでしまった。


「あ、あそこです」


車で10分程の所に、そこは変わらない姿であった。残念ながら、お化け桜は無く、代わりに若い桜の木が同じ場所に植えられていた。前よりも更に、桜が増えた印象である。遊具は、当時よりも新しいものが、以前と変わらない場所へ設置されており、大切にされているようだ。今も、複数の子供達が遊んでいた。


「懐かしいわ、この辺りには遊具付の公園は、ここしかないので、隣の学区からもよく遊びにくるんです」


車を近くのコインパーキングに止め、懐かしさを覚えながら、公園へ入った。三人もキョロキョロと見ているが、特に変わりはないらしく、残念そうな顔をしていた。


「特に変わりはないよね?」


「えぇ、わたくしも特には・・・美鈴は?」


榊原さんに問われた神戸さんが、何故か今まで付けていた眼鏡を外した。


「わぁ・・・、これはどうなんでしょう? 沢山いらっしゃるので、誰が誰やら・・・」


えっ? 沢山いらっしゃる? 神戸さんは一体、何を視ているのか・・・。今、公園には、子供が数人と、ベンチに中年の男性がいるだけだ。沢山と言われる程ではないのだ。


「こうなると、やはり、ご実家に行って、当時の話を聞くべきかしら?」


「待ってください!」


榊原さんの止める勢いで、神戸さんはベンチの男性の元へ向かって行く。


「どうしたの? 美鈴、何か気付いたの?」


何か言おうとした榊原さんを、竜前寺くんが腕を上げて止める。


「あの人のところへ行きましょう、斉藤さんのところで見えた子が、あの男性の近くに居るんです」


「成る程、関係者ね、あの人」


榊原さんは、それで直ぐに気付いたらしい。もしかしたら、何かの手がかりになるかもしれない。


「すいません、この辺りの方でしょうか?」


代表して、榊原さんが声をかけた。近付いてみて、男性が喪服を着ている事に気付いた。近付くと、彼からお線香の香りがした。


「え? えぇ、隣の学区に暮らしていますが、何か?」


私を除く、三人が顔を見合わせて、頷き合っている。


「実は、彼女が幼い頃に、この公園で遊んでいた少女を探していまして、近くの方でしたら、ご協力をお願い出来ませんか」


「はぁ・・・、構いませんが、私は隣の学区ですから、詳しくはありませんよ」


怪訝そうな男性に、それでもと、私は賭けた。彼女達の反応を見るに、彼は関係者なんだと、この時の私は自然と思えたから。


「小さい子どもでしたから、今から16、7年前だと思うんです、私は、その子を、“まりちゃん”と呼んでいました」


緊張したが、とにかく伝わりやすいようにと、ゆっくり言うと、男性は何故か驚いた顔をしていた。


「・・・・・もしかして、君は、“えりちゃん”かい?」


今度は私が驚く番だった。何で、まりちゃんだけが呼ぶ、私だけのあだ名を、彼が知っているのだろうか。


「やはり、そうか・・・、あの子が、会わせてくれたのかもな・・・」


そう言って、涙ぐむ男性に、我々は戸惑うしかなかった。まだ、肝心な事を、何も話してはいなかったからだ。


「私は木村と申します、あの子は、茉莉花まりかは私の娘です、17年前の帰宅途中、ひき逃げに合い、亡くなりました・・・・もうすぐ、あの子の十七回忌なんですよ」


「え・・・?」


内心、考えないようにしていたはずの考えが、現実に成ったことで、私は唖然とするしかなく、探偵の三人は検討違いな場所を見ていた。気を使ってくれたのだろうか?


「あの子がよく、話してくれたんですよ、この公園で友達が出来たって・・・、えりちゃんと言って、かくれんぼを良くするとね」


あぁ、あの子は、“まりちゃん”は、私との事を親に話すくらい嬉しかったんだ。なのに、私は、まりちゃんが死んだ事も、何も知らないまま、忘れてた・・・・・。

内心、自己嫌悪に陥っていた私は、次の木村さんの言葉には、目を見開くしかなかった。


「ありがとう、君と会えて良かったよ、あの子の友達と会えるなんて・・・・・本当に・・・、これで犯人が見つかればね」


「まだ、見つかっていないんですか?」


神戸さんに問われた木村さんは、穏やかな顔から一変、険しい顔になる。


「あぁ、もう、時効も過ぎてしまったよ・・・・・あの子を覚えている人も、もう少なくなったしね」


あぁ、この人は、まだ納得できていないのだ。大切な娘を失った事を、犯人が未だに捕まらない事も、ーーーーー全部。


「いいえ、ひき逃げ犯は、逃げ切ったと思っているかもしれませんが、そんなはずありません、必ず、自分が行った事は、巡り廻って帰ってきます、良いことは良いままに、悪い事は悪いままに・・・世界は廻っているんですから」


榊原さんの言葉には、慰めとも取れるが、それでも何か重さがあった。審理を知るような、一瞬の覇気。それに圧されて、誰もが美しい彼女から視線を反らさない。


「今が十七回忌ならば、危険運転致死傷害でしたら、時効はまだですから、期待できるかもしれませんね」


何故か、神戸さんからは違うようなフォローが入る。彼女、法大生なのだろうか?


「前に従兄から教えられました」


・・・・・彼女の親戚が法の関係者だったようだ。


「ははっ、そうか・・・せっかく会えたんだ、もう少し期待してみるよ」


彼は夕暮れ時が近いからと、帰って行った。背中が小さく見えた。


「さてと、どうやら彼は約束を知らないようでしたし、本人に聞くしかないわね」


はて、榊原さんの発言に、頭からハテナを飛ばしていた矢先、三人が急に身構えた。突然の事に、目を白黒させていると、辺りが急に静かになった。

ーーーーーおかしい、先程までは確かに子供の遊ぶ声や、車の音、生活の音が聞こえていた。それに、まだ早いのに、綺麗な夕日があって、”そこにはないはずのお化け桜“に、夕日が重なり、人の横顔に見えた。


「・・・・・気付くのが遅れたわ」


悔しそうな榊原さんは、どこからか大量のお札を取り出し、手に構えていた。


「雅さま、美鈴、貴方達は斉藤さんから離れないように」


声が険しかった。それに、何か嫌な感じがする。あの夢と、同じなんだ、ここ・・・。


『えーりーちゃん、あそーぼ!』


あぁ、懐かしい声だ。これは、まりちゃんの声。そして、今だからこそ分かる。まりちゃんはあの日の約束の為に、ここに残ってしまったんだって・・・。私が忘れてしまった約束を、彼女は守るためにいるんだ。

夕日に照らされたお化け桜の前に、あの日と同じ、まりちゃんがいる。嬉しそうに笑う、まりちゃんと、顔が見えない、何人かの子供達。


「斉藤さん、夢と同じように行動してくれますか?」


竜前寺くんの言葉に、戸惑いながらも素直に頷いた。多分、これが必要なんだって、私も分かったから。恥ずかしいという気持ちに蓋をして、昔のように、記憶にある通りに声を出した。


「かくれんぼするもの、この指とーまれ!」


恥ずかしい・・・。けれど、お願い、まりちゃん。夢と同じように行動して・・・。


『とーまった!』


顔が見えない子達は、いつの間にか居なくなっていた。お札を構えた榊原さんが、得意そうにしていたのが気になったけど、深く考えるのは止めた。今は、まりちゃんを探すのが、私のやることだ。


「何処だろ?」


何時ものように、公園の入り口付近から、一つ一つ探していく。いつもは子供目線だからか、何だか違和感が付きまとうが。探偵の三人は、自然と私の後ろにいる形になる。


「あんまり、隠れる場所は無いですよね?」


「公園内で隠れるのが、ここでのルールでしたから、間違いなくこの中にいるはずです」


三人は手出しをするつもりはないらしく、辺りをキョロキョロと見ているだけだ。


「いつも、探さない場所ってあります?」


神戸さんに聞かれて、考えてみる。いつも探さない場所・・・。

と、急に視界が歪んだ。グニャリと曲がる世界に、体がバランスを崩す。


「・・・・・・時間オーバーね」


榊原さんがポツリと呟いた。気づけば、公園に立っていた。場所はあのベンチの側で、辺りは真っ暗な闇になっていて、既に街灯が点っている。


「夕暮れ時にだけ、繋がるのかもしれませんね」


神戸さんの言葉に、ふと、先程の疑問を思い出す。


「探していない場所・・・お化け桜だけです、探していないのは」


◇◇◇◇◇


あれから、直ぐにコインパーキングへ行き、車に乗った後、とあるホテル・・・いや、旅館?だろうか。明らかに、高級な旅館へ入っていく。皆さんは慣れているのか、特に何も言わなかったが、私は違う。てっきり、安いホテルだとばかり思っていたので、老舗の高級ホテルを前に、ポカーンとしていたのは、仕方ない事だと思う。


「明日は、資料室からひき逃げに関する資料とかが来るわ、地方に関する伝承とかも来るから、夕方近くまでは、対策を練る感じね」


ロビーでウェルカムドリンクをそれぞれ飲みながら、今後の対策を練っているはずなのに、おかしい。違和感が有りすぎる。仕事のはずなのに、まるでバカンスに来てる感じがするのだ。


「斉藤さん? どうしました?」


「あら、早くウェルカムドリンク飲まないと、冷めちゃうわよ?」


神戸さんと榊原さんの言葉に、ようやく自分が固まっていたと気づく。が、やはり、おかしい。


「・・・仕事ですよね? こ、こんなに、お高い旅館に泊まって大丈夫なんですか? 私のお給料じゃ、無理かも・・・」


いくら何でも、一泊がうん万円の高級ホテルに連泊など出来ない。


「あら、そんな心配してたの?」


クスクスと楽しそうに、上品に笑う榊原さんに、呆気に取られた。おかしい事、を話していたはずだ。何だか自分がおかしい気がしてくる。


「安心して下さい、ここは僕の親戚がやっている旅館ですから、来るのは初めてですけど」


どうやら、竜前寺くんの親戚だったらしい。大人びた彼の発言に、先程までの自分の姿が滑稽に見えて、急に恥ずかしくなった。


「そうですか・・・」


多分、自分とは違う感覚なんだと、私はこの件に関しては、流す事に決めた。


◇◇◇◇◇


次の日。おっかなびっくりの初高級ホテル宿泊に、案外図太かったらしい私は、すっかり開き直り、ゆったり休む事が出来た。不思議な事に、夢は見なかった。お札のお陰なのかもしれない。朝食はバイキングで、美しい盛り付けに朝からテンションが上がった。隈も取れて、体調も久しぶりに良かった。


「あ、来たわね」


朝8時に榊原さんの部屋に集合だったため、向かったら既に、皆さんが集合していた。その手元には、沢山の紙、そして、古い地図があった。


「遅れてすいませんっ、あの、これは?」


「これは、この辺りの歴史や言い伝えとかの資料よ、これは昔の地図」


榊原さんの説明に私も混ぜてもらい、資料を見ていく。とはいえ、半分くらいは古文書のコピーらしく、残念ながら、読めなかったが。


「あのお化け桜、挿し木で増やしたみたいだね、今、公園にあるのは、それみたいだし」


竜前寺くんは、コピーを見ながら、答えていく。確かそれは、古文書のはず。スラスラ読んでいるらしく、私は目が点になるしかなかった。


「あそこは特殊な場になっていましたし、もしかしたらあの桜が鍵なのかもしれません」


神戸さんは、真剣に考えていたみたいで、時折、資料を見ては、首を傾げていました。


「そうよねー・・・、でも、あたしじゃ、異界を消すのは無理だし、やっぱり、例の子を見つけないといけないわね」


榊原さんは資料を手にしつつ、地図を見ていた。中には、公園の見取り図があり、かなり詳しく遊具の種類まで書かれていた。


「そういえば、まだ探していないのは、お化け桜だけって言ってましたね、斉藤さん」


神戸さんに聞かれて、素直に頷いた。確かに、あと探していないのは、あそこだけなんだけれど。


「でも、あそこは・・・隠れる場所なんて、ないはずなんです・・・」


そう、いくら大木の桜とは言え、小学生低学年の子供が隠れるくらいの場所が、あそこにはないはずなのだ。


「・・・でも、実際には隠れてたんでしょ?」


竜前寺くんが真っ直ぐに、こちらを見ていた。彼の目は、まるで何かを見通してしまいそうな、不思議な静けさがある。


「多分・・・、あそこ以外は、夢の中で探してますし・・・」


だから、お化け桜だけなのは分かるのだが。あそこには隠れる場所なんてなかったはずなのだ。


「案外、意外な場所に隠れていたりして」


神戸さんの言葉が、妙に引っ掛かった。とはいえ、夕方まではまだ時間がある。


「あの・・・良ければ、まりちゃんのお墓参りにいきたいんですが・・・」


知らなかったとはいえ、命日が近いと聞いたのもあり、気になっていたのだ。


「そうね、墓参りは必要かしらね」


「大切にされていても、あの世には行けない・・・本当に大切な約束だったんですね」


榊原さんと神戸さんの言葉だが、特に神戸さんの言葉が、この時の私には突き刺さった。亡くなっても、叶えたいと思う約束があるのだ。その原因は、私なのに、肝心の自分は約束を覚えていないのだ。


「・・・私、最低ですね、約束を忘れてるんだから」


私の自虐的な発言は、ゆっくり出来たからだと思う。精神的にも、肉体的にも、限界だったからこそ、ゆっくり出来て、心に余裕が出来たから、ようやく出せた本音だった。


「あら、17年も経ってるのよ? 忘れてるわ、普通」


だけれども、榊原さんにはあっけらかんと一蹴されてしまった。


「深く考え過ぎですよ? 今は早くあの世に、茉莉花さんを送ってあげましょう」


穏やかで優しい神戸さんの言葉に、私も素直に頷いた。そうだ、後悔よりも、安らかな旅立ちを祈るべきなんだ。


「そうですね、今度こそ・・・」


この時の私は、とても穏やかな気持ちで、純粋に祈る事が出来た。


◇◇◇◇◇


車で向かったお墓は、かなり古いお寺にあり、きちんと手入れをされた庭の先、比較的新しいお墓の区画に、茉莉花ちゃんのお墓はあった。

既にご家族が来たからか、お花が飾られ、線香の燃えかすがあった。綺麗にされているお墓に、ご家族がどれだけ茉莉花ちゃんを大切にしていたのかを感じられるようだった。

そこに、来る途中で買った、お花とお線香をあげる。


ーーー茉莉花ちゃん、ごめんね、約束、守れなくて・・・ずっと会いに来なくて、ごめんねーーー


手を合わせると、自然とそう思った。知らないとは、何と罪深いことか。でも、夢の中で次に会う時は、必ず見つけるから。だから、だから・・・。


ーーーーーえりちゃん、待ってるね・・・


不意に、茉莉花ちゃんの声がした。夢で聞いてるから、間違いない。茉莉花ちゃんの声だ。


「・・・今、そこに」


神戸さんが離れたところを見ていた。きっと茉莉花ちゃんは、あの公園で待っているのだ。あの懐かしい、夕暮れの公園に。

私との約束を守る為にーーーーー。


◇◇◇◇◇


また、公園へとやってきたが、時間は夕方には早かった。やはり、小綺麗な広いだけの公園だ。


「待ってると言ったんですよね?」


神戸さんに確認され、私は素直に頷いた。間違いないと、この時の私は確信していた。茉莉花ちゃんは、約束を破るような子じゃないから。


「来ます、きっと」


「必ずあの子を見つけないとね、命日は今日だったわ、今回を過ぎると、ちょっと不味いかもしれないわ」


「・・・どういう事ですか?」


思わず、不穏な発言に、聞き返した。榊原さんは嘘は言ってないんだろう。他の二人は、反論してないんだから。


「今回は17回忌なのよ、次までに時間がかかりすぎるわ・・・、既に暴走が見えている以上、今回を逃したら、あの世には送れなくなるわ」


考えたくもない、嫌な予想が立つ。今回が無事に送る、最後のチャンスなのだ。そして、失敗すれば、それは・・・。そこまで考えて、頭を振る。


「大丈夫です、斉藤さん、その為の僕らだから」


不思議な静けさを秘めた、竜前寺くんの瞳。妙に冷静な頭で、私は唇を噛み締める。もとはといえば、私が子供の頃にした約束が始まりだった。終わらせるのは、私の役目だ。


「はい、宜しくお願いします」


まるで、私の決心を待っていたかのように、一瞬で景色が変わる。あの、夕暮れの公園へと。


ーーーえーりーちゃん! あそーぼ!


懐かしい茉莉ちゃんの声だ。私は自然と夢と同じように、人差し指を立てて、いつものように言った。


「かくれんぼするもの、この指とーまれ!」


恥ずかしい気持ちなんて、何処かへと行ってしまい、あるのは、約束のこと。今度こそ、見つけてみせる!


ーーーとーまった!


茉莉ちゃんが隠れにいく。ちゃんと数を数えて、もういいかいと聞けば、茉莉ちゃんの声で、もういいよと聞こえた。


「お化け桜へと行きましょう、恐らく、我々が気付かない何かがあるんです」


神戸さんに先導されて、向かったそこは、大人でも圧倒される、巨大な桜の大木。とはいえ、子供が隠れる場所なんて、検討もつかない。お化け桜には、見たところ、穴なんて空いてるようには、見えなかったのだ。

茉莉ちゃんとの、約束。絶対に見つけると、私は約束した。


「え?」


お化け桜には、夕日に照らされると、目のように見える場所があった。そこに、何か見えた気がして、私は慌てて、桜に近寄った。近付くにつれて、桜の幹がボコボコしていて、意外に登れそうな場所がある事に気付く。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと慎重に登る。木登りなんて、子供の頃に少しやっただけだ。


「やっぱり・・・」


桜の目の下の部分に見える枝、その枝と幹のところに、見えにくいけど、確かに子供が入れるくらいの穴があったのだ。そしてそこには、目を丸くして、此方を見ている茉莉ちゃんの姿があった。


「まりちゃん、みーつけた・・・」


17年も、約束を守る為に、待っていてくれたんだ。だから、ちゃんと言わないと。


「待たせちゃって、ごめんね、まりちゃん」


困ったような顔になっている私を見て、茉莉ちゃんはゆっくり首を振ると、ニッコリ笑ってくれた。


『見つかっちゃった・・・えりちゃん、見付けてくれて、ありがとう』


嬉しそうに笑う茉莉花ちゃんは、穴から出ると、ゆっくりと宙に浮いて、下へ降りていく。残念ながら、私は自分で追いかけて、慌てて降りたが。


「茉莉ちゃん、ごめんね、長く待たせちゃって・・・知らなくて、ごめん」


慌てて降りた私は、茉莉花ちゃんの前に行くと、流れそうになる涙を堪えるしかなかった。泣いたら、茉莉花ちゃんを見れないから。

ーーーーーお別れが、近付いていたのを感じた。


『えりちゃん、素敵な大人になったんだね、そっか、もうそんなに経ったんだ、・・・・・約束は守れたし、私はもう行くね』


嬉しそうに、美しく笑う茉莉ちゃんを、私は涙をみっともなく流しながら、それでも笑顔を見せたつもりだ。


『また会おうね、えりちゃん! そっちの人もありがとう!』


茉莉花ちゃんは、三人にも手を振ると、キラキラとした光になって、消えていったのだった。私は涙を止められなくて、しばらく泣いていた。


「お疲れ様でした、斉藤さん」


神戸さんからハンカチを借り受け、私は慌てて辺りを見た。既に夜、更に言えば、今の公園にいたのだから。冷静になれば、かなり変な人のはずなのに、三人は待っていてくれた。


「ありがとうございました・・・」


「いいえ、これで終わりましたね」


「流石にもう遅いし、そろそろ帰りましょうか」


帰りの車で、どうして急に夢を見るようになったのか、そして、彼らが何をしていたのか、を教えて貰った。夢は、きっかけがあったのだろうとの事だった。確かに、17回忌に近かったこと、それに、私にはきっかけに覚えがあった。

あの日、アルバムを見ていたのだ。その時、アルバムには居ない友達が居た事も思い出していた。多分だけど、だからこそ、夢の出来事を直ぐに、まりちゃんと結びつける事が出来たんだろう。

そして、あの時。彼らがしていたのは、あの世へと道を繋ぐ事だったらしい。茉莉花ちゃんを無事に送るには、あの世への道を本人に自分の意思で向かってもらう必要があるそうだ。だが、茉莉花ちゃんは、長く留まっていた為に、道が見えていなかったらしい。約束を果たして、ようやく道を見る事が出来たそうだ。


「良かった・・・」


まりちゃん、安らかにーーーーー。

ただ、この時。何故か神戸さんが、憂いの顔をしていたのを、私だけが気づいていなかった。


◇◇◇◇◇


我々が茉莉ちゃんを見送った命日であるこの日、茉莉花ちゃんがひき逃げされた現場で、またしても、事故が起きた。犯人は逃げようとしたが、現場を見ていた複数の人達と、たまたま来ていた茉莉花ちゃんのお父さんにより取り押さえられた。駆けつけた警察の検査により、呼気からアルコールが出た事、そして、犯人の異常な怯えと、17年前のひき逃げを自白したことから、現行犯逮捕された。犯人は、飲酒運転の常習者であり、免停されていた。17年前のひき逃げも、飲酒運転をしていた事も自白したため、両件の事件で検挙された。

こうして、本当に茉莉花ちゃんを廻る怪異は、終わりを告げた。



悪意は廻るのだ、必ずーーーーー。

翌日の新聞の一面には、ひき逃げ事件の犯人が取り上げられており、私は今はいない茉莉ちゃんに思いをはせた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 当人と、彼女の心残りが「夢」という形で現れたのでしょう・・・
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