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8月31日が来たら。  作者: 真岳仁緒
最終日、8月31日
5/9

vs『破滅派』其の壱

戦闘における決着は、互いの実力が離れるほど早くなる。

それは強い方が戦闘だと意識した時

のみだけど。



浮く体を無理やり27階の階段の縁をつかみ、上昇をやめ、27階と共に下に落ちる。落ちていく27階は、黒い塊に飲み込まれた8階を潰し、黒い塊ごと潰し、更に下降する。

なんとか体勢を保ち、体を持ち上げ、足を階段の上に置く。

下降は止まらず、更に勢いは上昇し、そのまま、地面に衝突した。

「…………………」

何も動かず、何も音を立てなくなった。

黒い塊は、もう、追っては来なかった。

「…………………気分が悪い」

体の一部分をえぐられたみたいに痛い。

体はなんとも、なっていないのに。

「……………行くか」

疲労感のました体を立ち上がらせる。

「………バンダナ……?」

足元に、青色のバンダナが落ちていた。

「……………」

なんとなく、それを左腕に巻く。

そして、階段を再び、登り始める。

登り始めて……27階に、着いた。



声が聞こえる。

「…………だぞ!こ___!」

階段を上る。

誰かが、いるようだ。

曲がって、後半分。階段の先は、明るく、眩しく光っている。

「それは、どう…かな?なんて___ね。あ…………!」

辿り着く。27階。

現在時刻、午後11時8分。



その部屋は、今までの部屋と比べて比較的綺麗だった。

壁は崩れておらず、鉄骨もむき出しになっていない。

ただ、今までの部屋とは風貌が全く違った。

丸いはずのフロアは直方体になっていて、一直線に。上に上がるエレベーターやエスカレーターはなく、一番奥に28階へと進む幅が広い階段が見える。

その階段は壇上の上にあり、こことの高さの差は大体5メートルくらい。ただし、そこにたどり着けないわけじゃなく、左右に一つずつ、階段がある。

通常ただまっすぐ歩いて上に行けばいいのだが、あいにくそうはいかなかった。

人間が、3人。

壇上下の左側にいる男。

つなぎのような服が上半身だけビリビリに破れ、タンクトップの姿に、赤いスポーツ用のサングラスをかけ、裸足で立っている。サングラスは上げていて、その虹色の目は壇上の方をじっと、まるで睨み殺さんばかりに凝視している。

壇上下の右側にいる女。

膝まであった真っ黒なTシャツは腰あたりまでなくなっていて、その青い目はやはり、壇上を見ている。

『絶滅派』鎌刃真終焉。

そして同じく

『絶滅派』枯腐物事。

「暴力」と「防御」が嫌いな個人の武力最強レベルの二人。

御魂豊作からすれば、最悪の対戦カードとなるこの二人が、すでにどちらも傷だらけで、今にも倒れそうなくらいな程だった。

対する壇上の上の女。

こちらは顔以外は全くわからない。

全身が黒い靄のようなものに包まれて浮いている。足も黒い靄で囲まれていて、両手は靄から上半身と同じくらいあるだろう大きな手と鋭い爪が付いている。頭には黒と金で包まれた王冠。

目の色は、どす黒い灰色。ただし、その瞳には鎖のような文様がついていた。

身長はそこまで高くなく、寧ろかなり低い方だが、幼いというイメージは湧かない。むしろ、醜悪。

身体中に、真っ黒な小さい立方体を纏わせている。

『破滅派』亡骸つくり。

余分なスペースが嫌いな少女。

彼女がそうだろう。

『破滅派』は、ある意味『絶滅派』よりもタチが悪い。

『絶滅派』は、選ばれた10人すべてを、自らも含めてこの世から無くすために組まれた派閥だが、『破滅派』の思想は、選ばれた10人は、別に倒さなくてもいい。むしろ、懐柔して味方に加えるというのが、このタワーでの目的。もちろん、懐柔が効かないとわかった相手には容赦がない。

彼等の目的は、簡単に言えば、世界の侵略だ。

めちゃくちゃにぶち壊す。

これのみに生きる派閥。

そして、気がかりなのが、その構成員だ。月並素人を筆頭として、なんとメンバーはたったの二人。そこにいる亡骸つくりを含めてフルメンバーだ。その筈だが………

『絶滅派』御魂豊作との関係性を含めると、単純に二人というのはおかしいような気がする。そもそもそれをこの二人は知っているのか……それとも知らないのか。

御魂豊作の件からして、懐柔する方法を持っていると考えた方が妥当なのか?………わからない。

とにかく、そんな異様な空間に、遂に一歩、踏み出した。



「新客?なんですか?こんなタイミングで来るなんて、実に空気が読めない者ですね。何者なんですか?」

始めに気づいたのは、もちろん俺が出てくる所が常に見えているだろう亡骸だった。

遅れて下にいた二人も気がつく。

「てめぇ……誰だ……」

話したのは鎌刃真の方だった。事情はわからないが、どうやら、ここで、何かがあったらしい。かなり怒っているようだ。

「….…………………」

もう一人の男も、こちらを向くが、どうやら亡骸に対しても牽制しているようで、何も言わない。

「何者だって聞いてんだよ!あぁん!」

「怖っ!やめてよ鎌刃真ちゃん。新しいお客様にそんな事言っちゃダメでしょ?」

「てめぇは黙ってろ……すぐに殺してやる」

「おお、怖い怖い」

そう言って亡骸は手のような物で目を覆った。

おかしい。いくらなんでも、おかしすぎる。

何者だって?それは、知ってなきゃおかしいだろ?

だって俺はお前と、一度会っているんだから。

違和感。

目の色。

挙動。

なにもかも。

さっきとは違う。

「俺に……始めて会った………?」

「何ごちゃごちゃ言って…………」

そこで、声が途切れた。

なんだ?何があったんだ?

「お前………それ………そのバンダナ……!」

今度は枯腐も、こっちを見た。

驚いたように目を見開いている。

「な………いや、いい。いい!おいお前!」

俺の事か?

「いや、なんでもいい!とにかくお前、今すぐそのバンダナ!上にいる翔人………いや、お前と同じくらいの歳の男に渡せ!頼む!」

???どういう事だ?

「とにかく、頼む!俺ら二人が今からこいつを止めるから、その間になんとか、このフロアを抜けろ!」

「いや、何話進めてるの?鎌刃真ちゃん。通さないよ。それに君、今来たそこの男の子………私の結界、破ったでしょ。だったら、ここで必ず……止める!」

いきなり、浮いていた黒い物体のうち一つがこちらに飛んでくる。

すると、鎌刃真が俺の前に飛んできて、その黒い物体を蹴り、俺を突き放した。

黒い物体なそのまま床に当たった後、全く勢いは止まらず、床を永遠に貫いていった。

なんて、破壊力。

「行け!来た奴は俺が全部止める!だから頼む!抜けてくれ!」

「邪魔するなよ!ちび!お前もろとも………ここで止まれ!」

一個であの破壊力だった黒い物体は、無数に、いや、無限に飛んでくる。

これは……まずい。

「行け!小僧!」

そこで、初めて枯腐の声を聞いた。

「あいつはこの部屋からは出られねぇ!ここさえ抜ければ終わりなんだ!とっとと………行け!」

流石に、この状態では、頼らざるを得ないのだろう。

それに、丁度いい。

「わかった」

バンダナを腕から外し、ポケットの中に入れる。

「俺もその男に用がある」

壇上に向かって走り出す。



『¥々(^56(%』



無数に放たれるそれは、勢いよく、こちらに飛んでくる。瞬きした一瞬後にはもう目の前にいたりする。

それを

「ふん」

それ以上の勢いで近づき、蹴り飛ばす。

二人の最強。

俺が走り出したかと思うと、亡骸はいきなりこの部屋とよく似た形の空間のミニサイズを手のひらに出現させ、それを手で伸ばし、その瞬間、一気に壇上と、壇上に上る階段ごと、かなり遠くに離されてしまった。

現在、無数にあちこちを飛び回る黒いそれを俺を挟むようにして、二人が弾き、壇上へと走る。

「いいか!てめぇは前だけ見とけ!余計な動きはせずに、とにかく走れ!」

そんな事を言いながら、まとめて飛んできた五つを片手で弾き、さらに来たものをなんと全身で受け止めたが、何事もないようにそれは弾き返され、壁や床に叩きつけられる。

枯腐はというと、ただ目線を向けただけで、それに手を添えると、それが粉々になった。

現実として受け止め難い光景。

どうやら、俺の持っているこのバンダナが余程大事らしい。偶然拾ってよかった。

「聞いてんのか!おい!」

「わかってる」

とにかく、援助してもらえるならラッキーだ。俺には全く動きが見えない。

「ああ!もうもういやいや!さっさと止まって!厄介な二人も!そこの君も!」

そういうと、飛んでいたものが俺たちの頭上に集まり、一枚の巨大な板になる。

「これ以上……逆らわないで!」

音速を超えるような速さで迫るそれは、あっさりと俺らを潰す。

「そんな感じで、俺ごと狙って貰った方が、扱いやすいぜ」

鎌刃真はそれを手も触れずに止め、逆に亡骸にそれ以上のスピードで返球する。

「な!……そういうことね!終焉ちゃん、君、『暴力』でしょ!」

迫り来る、その板が来ているにも関わらず、そう言う。しかし、

「けど、関係ないね!」

その黒い塊はあっさりと亡骸の体をすり抜ける。

本体にはどうやら効かないらしい。

「ちっ」

走るスピードは以前、変わらない。

それにしても、亡骸は今初めて鎌刃真の能力を知ったらしい。

鎌刃真終焉。

『暴力が嫌い』その能力の中身は簡単に言うと、自分に向けられた害意や悪意のあるものは、全て操ることができる。たとえそれが銃弾であろうと、打った本人に害意はあるため、当たらない。

すなわち、『戦えない人』

単体で戦う分には必ず負けることはない。そのため最強。

「ちがう……こう言う時こそ冷静にって……月並くんも言ってた。冷静に、冷静に、一人ずつ………消す」

と、攻撃がいきなり止んだ。

今まで四方八方に飛び回っていたそれはただ、浮遊している。

「なんだ?いきなりやめたぞ?罠か?」

枯腐が言う。

「いや、構わねー。どうやっても俺には効かねー。構わず走るぞ」

さらにスピードが上がる。

俺の意見はどうでもいいらしい。

「鎌刃真ちゃんの対策も考えないとね………枯腐くんは、もう勝っているようなものだし……さてどうしようかな………」

何か亡骸が話しているように聞こえる。

独り言か?

なんだかいきなり冷静になった気がする。

「なるべくなら………殺したくは……ないから……ね」

なんだ?上手く聞き取れなかった。

「あと、ちょっとだぞ!走れ!」

もうほとんど距離は無い。ざっと200メートルくらい。

「………よし、決めた。これでいこう。これならどっちにも対応できる……はず」

と、そんな声が聞こえたと同時に、再びそれが動き出す。

「………?どういうことだ?」

しかし、動くのは立ったの数十個。しかもかなりランダムで、まったく見当違いに飛んでいくものがほとんどだった。今度も、俺だけを狙ってくる。

「なんだ?悪足掻きか?だが、これで終わりだよ!これが終わったら、てめぇは俺が殺してやる!」

と、そこで、たまたま、一つのそれが、俺に向かってきた。

迫ってくるそれを、鎌刃真は軽く弾いて、「なんだ?これで終わりか!」などとは言えなかった。

当たった黒いそれは、鎌刃真が弾くために使う右手を吸い込んで…なくなった。

「は?」

後ろで、グチャっと、何かが潰れた音がした。

血。血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血

「がッっ!?!」

鎌刃真が、声を上げる。

「止まって!」

「止まるかよぉ!」

「じゃあ………しょうがないね」

「5♪^々($2☆€…,7¥3(→2(9%」

次の瞬間。数十個だったそれは、分裂する。一つ一つは、ほとんどビー玉よりも小さい。

「一応聞いておくが、俺がお前らにバンダナを渡すという方法は取れないのか?」

「無理だ。そうできないようになっている」

と、鎌刃真。

まあ、ダメ元で聞いてみただけだ。

「つべこべ言わずに行くぞ!これは俺でもそこのチビでもこれは防げねぇ!さっさと壇上まで上がって倒すぞ!」

枯腐はそう言って走り出す。

「言われなくてもわかって……っ!」

再び、鎌刃真に直撃した。

肌が、えぐれる。

「大丈夫か?鎌刃

「いい……からっ!走るぞ!」

先ほどよりも小さい分、肌がえぐれるくらいまでに収まったが、それでも、脅威は終わらない。むしろ、数が加わった事で、その分あたりやすくなっている。本当に大丈夫なのか?

「てめぇは気にすんな!俺らがなんとかするから!」

「なんとかって、それ、ただ受けてるだけだ…………っ!!!!」

鎌刃真に言い返した、その瞬間。

右足に激痛が走る。

「…………っ!!」

コンナモノを喰らっているのか?

「………!しまった!すまん!」

バランスが崩れかけたが、枯腐に持ち上げられ、なんとか元に戻るが、

「………………ゲホッ!」

今度は枯腐に、まとめて、五つ、しかも肺あたりに、貫通する。

「あ…………………」

足元がおぼつき、血が溢れ出す。

「けっ、俺は……ここまで……だな…くそ……わるぃな…姉貴……」

おい、それは、ないだろう?

こんな簡単に死ぬわけない。

どしゃと、体が崩れる。仰向けに、倒れ、血が流れる。

「枯腐、まだ」

「チャンスを無駄にすんじゃねぇ!」

体を別方向に引っ張られる。

いつのまにか、壇上まできていた。

敵との距離はほぼない。

「黙って倒れればいいものを__」

亡骸の手に、集まる。100個?200個?いや、何千個?

「いいか。今からてめえをこっから投げる。ちんたら階段なんて登るなんて真似はできねぇ。てめぇは、多分、俺らと同じなんだろ?だったら一人くらいなんとかしろ。いくぞ。」

小声だが、しかし、迫力のある声。

「ちょっと待て、それじゃお前は

「すぐお前があいつを倒せば問題ないだろ。それに、お前が俺を使って飛んだ時の反発を使って俺もすぐそっちに行く。だから、最低でもそこまで耐えろ」

頷く。

「何を企んでるのか知らないけど、これでおしまいだよ」

階段に、無数のそれが集まる。

だが、関係ない。このまま上がる。

「行くぞ!」

それは、俺の不覚。

やられた。俺が悪かった。

いや、誰が悪いとかはわからない。それは、誰のせいでもないから。

壇上の階段が、全て、それに、変わる、なんて、思いも、しなかっ、た。

血が溢れる。あっけなく足はなくなり、後ろで現われて、飛んでいく。

立つことすらできない。血が、さっきからずっと流れていた血が。止まらない。さらに、溢れる。

痛い。痛い。痛すぎて、痛くない。

そんな感じ。

そんなの、わからないのに。

それが、鎌刃真を上から見た時の様子だった。

「……………っ………!!……」

声すら出ない。その目が、行くなと。

俺には勝てないと。死ぬなと。言っている。

「ごめん、なさい」

掠れた声で、誰かがそんなことを言ったのが聞こえたのかもしれない。

わからない。

「ほら、だからこうなるんだよ。万策尽きたね。終焉ちゃんも、枯腐くんもいない君は、ここで終わりだ」

空中に浮く俺を見つめる亡骸。

手には、あれほどランダムに動いていたそれが集まる。さっきの階段で、完全にコントロールが出来るようになったらしい。それが、どうした。もう遅い。

「これにて一件落着」

その黒いそれは、俺の体に余す事なくぶつかり、ぶつかって、粉々にされる。こんな巡り会いなんてなければ、バンダナを拾わなければ、この二人じゃなければ。俺が足に食らってなかったら。階段を使っていたら。

巡り合わせ。今この結果になったのも、数々のそんな巡り合わせがあったから。

はぁ、だから、

「だから巡り合わせは嫌いだ」

そんなに悪いものでもなかった。



枯腐物事。

『防御が嫌い』その能力は、簡単に言うと、物体だろうが人だろうが自分だろうがなんだろうが、たとえそれが空間であっても、防御をする意志や、防御力があれば、発動する。曰く、防御を操作する。自分の防御力を上げたり、他人の防御力を上げたり、下げたり、失くしたり。

そして、この能力が本当に恐ろしいと思うのは、ここからである。

効果範囲が、一度でも視界に入ったものだったりする。



「え…………?」

とんと、その少女、亡骸つくりの背中に誰かの手が触れられた。

慌てて振り向くが、気づいた時にはもう遅かった。

「終わりだ」

そこには、手を亡骸の背中に突き出す俺がいた。

「な………なんで!君は今、跡形もなく消えたはずじゃあ!」

「質問に答える義理はない」

「なん、いや、忘れたの?私には、これがあるのよ?」

黒い、鎌刃真を襲ったそれが、亡骸の背中を覆う。

「これで____

「じゃあな」

それは、もう、関係なかった。

守ってしまうのは、自分の体を守るのは当たり前のことで、だが、それが敗因だった。それはつまり、防御するという意味なのだから。もし、攻撃していれば…いや、結果は同じか。わからないけど。

「どう………して?」

亡骸つくりはそのまま、この部屋の壁に激突し…………そのまま意識を失った。



「おい、大丈夫か?」

「んなわけねぇだろ。見たらわからないのか?」

「そうだな。その通りだ」

「俺ももうじきお終いってやつだ。驚いたよ。まさか本当に倒しちまうなんてな」

「あんなのただの偶然だ。偶々俺の巡り合わせが良かっただけだろ?」

「お前のその運命力みたいなものは厄介そうだな。敵に回さなくて本当に良かったよ」

「いや、お前を敵に回した方が、俺としては厄介なんだが」

「わかってるよ。そんな事は」

瞼が、下がる。

「それよりお前、あいつにもお礼の一つくらい言っとけよ。最後はあいつのおかげだろ?」

「もう言った」

ただ、小さく笑った。それだけ。

「ちゃっかりしてんなぁ、お前」

「すまんが、俺はそろそろ行く。余裕はそんなにない」

「ふぅん。ま、頑張れや」

「ああ」

「はは」

「そうだ」

「ん?死にかけにこれ以上何をしたいんだ?」

「答えたくないなら、別に良いんだが、聞いておきたい事がある」

「なんだ?」

「このバンダナは、結局なんなんだ?」

なんのために、命を賭けた?

自分を捨てられた?

「………………答えづらい事言うじゃねぇか」

「無理する必要はない」

はは、と、口元が動いた気がした。

「そうだな………さしずめ、人間である事の証明みたいなものだよ」

「………………それは

「わかってるよ。言わないでくれ。それは俺らの死が無意味になる」

「そうか、悪い」

「謝る必要はねぇよ」

「そうなのか?」

わからない。

「はは、わからないって事は、別に悪いわけじゃねーよ」

「……………そうか」

「ああ」

「………………お前は………」


瞼は、とっくに閉じていた。


……………。

この続きはいつか、誰かに聞くとしよう。

俺だけが前に進んだ。



鎌刃真終焉『絶滅派』&

枯腐物事『絶滅派』vs

亡骸つくり『破滅派』

戦闘結果:全員敗北

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