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異世界を中国拳法でぶん殴る!  作者: 犬童 貞之助
第三章 波乱の道中
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3-4 空手と大陸拳法

 リーヨン公国南東部にある草原地帯、畜産(ちくさん)が盛んな地方。


 獰猛(どうもう)な野生動物こそ数多くいるものの、この地方には魔獣や魔物の姿は極端に少ない。


 借りた部屋に置いてあった本によれば、この土地に存在する魔力──マナが少ないが故に、生物がマナによって変質して生まれる魔物もまた、少なくなる傾向があるのだという。


 馬車をかっ飛ばして相当な距離を移動したにもかかわらず精霊の姿を見なかったのは、ひょっとするとこのマナが少ないということが原因だったのかもしれない。


 世界に満ちるマナが意志を持った存在、精霊。


 アイラやフュンには直接見せてもらったことが無いし、出来れば野良の精霊というものを見てみたかったが……残念だ。


「──ハッ!」


 そんな地方においても、己に課す鍛錬というものは変わらない。


 未明の草原に一人立ち、大陸拳法の套路(とうろ)を行い身体に動きを覚え込ませ、魔力による身体強化を魔力が漏れ出ぬような範囲で発動し続ける。


 最初は魔力が漏れ出ぬようにするのも神経を使ったが、今では意識せずとも身体の内に留めおけるようになった。日ごろの修練の賜物(たまもの)、魔力操作技術が上達した証であろう。


「──䠞啊(せいあ)ッ!」


 中段突きが空を切り裂き、前蹴りが草を巻き上げる。

 左足踏み込みが土を吹き飛ばし、右震脚が大地に圧痕(あっこん)を残す。


「──……ふぅ。アイシャさんに見られるのって何気に初めてでしたね」


「……バレてました? 素晴らしいお手前でした」


 陳式太極拳小架砲捶(しょうかほうすい)の套路を終えたところで声を掛けると、他より少し背の高い草むらから金のポニーテールがひょっこりと顔を出す。


 出てきたのは使用人のアイシャだ。鍛錬を見られる分には構わないけど、夜間見回りは良いのだろうか。


「あ、今はフュンが見回りをしている時間なので、ご心配には及びませんよ!」

「そうでしたか。ということは、俺の姿が無いことでご迷惑をおかけしましたか?」

「いえいえ、事前に連絡を頂いていましたし、迷惑だなんてとんでもないです。ロウ様のことを見ていたのは、私個人の興味といいますか……」


 あらやだ! あたしったら美人なお姉さんに興味持たれちゃったかしら!


「ロウ様って時々妙な行動をなされますよね」


 一人身をよじっているとジト目の碧眼(へきがん)で射貫かれた。


 恥かしさを誤魔化すための行動で余計に恥ずかしい思いをしてしまったか。人生とはままならぬものである。曲刀たちを置いてきたため茶化すことができず、恥ずかしさも倍増だ。


 身の安全を考えると曲刀も連れてきた方が良かったが、セルケトが彼らに話があったようで、それならと現在彼女に渡している。俺は魔神だし、丸腰でも問題あるまい。


「そういえば、アイシャさんも近接戦闘術には一家言あるんでしたね。アルデスさんの体術とは全く異なるものなんだとか」

「はい。とはいえ、ロウ様の技量を拝見した後ではお恥ずかしい限りですが……。今回私がお嬢様の従者として名乗りを上げたのは、お嬢様の傍にお仕えするというのも当然ですが、実はロウ様に一手ご指導いただけたらとの思いもあったからなのです」

「指導、ですか?」


 アルデスの言葉を思い出し、誤魔化すついでに話を変えてみると、意外な方向へと話が進む。


 詳しく話を聞いてみれば、アイシャの武術は代々受け継がれる一子相伝(いっしそうでん)の戦闘術なのだという。


 幼少期より(ずい)まで武術を叩き込まれた彼女は、その高い戦闘能力により一時期有頂天となっていた。しかしある時熟達(じゅくたつ)の壮年の男性に叩きのめされ、増長しひん曲がっていた性根を叩き直されたそうな。


「──ですが、私が成長しその男性も年老いてしまったことで、私の相手が務まるものが居なくなってしまったのです。ここ数年は自己鍛錬に励んでいますが、どうしても強者との戦いに飢えてしまっていて……」


「ははあ。そういうことなら、冒険者の方に指導を願ったり依頼を出したりはしなかったんですか? 荒事に身を置く人たちですし、中には格闘術に精通した方もいるような」

「実は何度か依頼を出したのですが……私の身分が商店の女性店員であるからなのか、実力ある方には引き受けてもらえず、大した経験にはなりませんでした」


 確かに、商店勤めの女性店員が「一手ご指導願いまする!」なんて言っても、悪戯にしか見えないか。面白半分で受ける様な者しかいなかったのだろう。


「俺自身の武術は、とても極めたという水準には無いですからねー……。身体能力に物を言わせているだけなので、あまりアイシャさんの参考にはならないかもしれませんよ?」


「そのようなことはございません! 先ほどのロウ様の鍛錬を見ていて、それはもう心が沸き立ち血が(たぎ)ったものです。この方と戦うことができれば、どれだけ素晴らしい時間を過ごすことが出来るのだろうかと」

「アイシャさんって結構頭のネジ外れてたんですね……」


 目を輝かせながら戦闘狂的な発言をぶち上げるアイシャさん。


 ちょっとショタコンのケがあるだけの常識人かと思っていたら、バトルジャンキー属性持ちだったでござる。一皮剥けば何が出るか分からないのが人間というものなのだろうか。


「と、いうわけで如何でしょうか? どうかご指導いただけないでしょうか」

「こちらとしても対人戦闘には常に飢えているので、願ったりかなったりですよ」

「ありがとうございます! ふふ、何のかんのといいつつ、ロウ様も私と同じではないですか」


 んなこたーない。……無いはずだ。


 少し過去を(かえり)みると思い出されるのは戦闘ばかりのような気がするが、きっと気のせいである。


 そんなこんなで、アイシャと模擬戦を行うこととなったのだった。


◇◆◇◆


 両足を肩幅より大きくに広げて開脚。

 そこから半身となって右腕を突き出し、ほんのり前傾となって構える。


 足底の小指側へ体重を掛け足指を自由にしているこの構えは、足裏から力を伝えやすい。


 更には上半身に抜群の安定をもたらし、足指を使い素早い体重移動も可能となる。


 半弓半馬歩(はんきゅうはんまほ)と呼ばれているこれは、大陸拳法において基本的なものの一つ。


 半身となり頭部(とうぶ)胸部(きょうぶ)股間(こかん)の急所三点を守る、防御的な意味合いも持つ構えでもある。


「……」


 対するアイシャは柔らかく握った右拳をやや前に出し左腕を腰に添え、両足を肩幅程度に開いている。足はつま先あたりに重心があり、いかにも素早いステップを刻んできそうだ。


「ふふ、その構えだけでも、ただならぬ気配を感じますよ」

「ご期待に沿えるよう頑張ります。開始の合図は……コソコソ見ているエスリウ様にでもしてもらいますか」

「「!?」」


 俺の言葉にガサリと草むらが揺れる。


 にょきっと生えるは象牙色の美少女と若葉色の美女の頭部。言わずもがな、エスリウとマルトである。


「覗き見るようなはしたない真似をしてしまい、申し訳ありません」

「見られて減る様なものでもないですから、いくらでも見ていってください。あ、アイシャさんは見られて不味い技術ってあります?」


「ふふ、エスリウ様やマルト様に見られることで困るような技術はありませんよ。……お二方、それにロウ様。(つたな)い技術で恐縮ですが、もしよろしければ、私の動きの中で改善すべき点があれば、後ほどご指摘いただけないでしょうか?」

「はい。ワタクシでよければ喜んで」「お任せください」


 アイシャもギャラリーOKだということで、ルールを再確認して集中力を高める。


 確認した内容は、寸止め無しだが翌日の行動に支障が出ない程度に留める、というものだ。


 もっとも、お互いに身体強化を施せば肉体強度は十分なものとなる。加減を意識して、本来の動きができなくなるということはないだろう。


 こちらの身体強化度合いは、彼女の能力と同程度になるように調整している。勝敗を付けることが目的ではなく、あくまで互いの技術をぶつけ合い、高め合うことが主題だからだ。


「それでは……始めてください」


 緊張が高まり互いの額に汗がにじみ出したその時──エスリウの美声により、戦いの幕が切って落とされた。


「──ふっ!」


 開幕の合図と共に、金のポニーテールが煌めき踊る。


 彗星(すいせい)のダストテイルを彷彿とさせる金毛を(なび)かせて、飛ぶように間合いを走破するアイシャ。


 エスリウの言葉が切れる前に距離を詰め終えた彼女が繰り出すは、踏み込みの勢いと引手を利用した鋭い左の中段突き。


 狙いは我が顔面!


「!」


 こちらも突き出していた腕を閃かせ、拳を外へと捌いて応じるが──追撃、間髪入れずの右拳正拳突きぃッ!?


「せいっ!」

「つぅッ!?」


 門外漢(もんがいかん)でもそれとわかる、独特の所作でねじ込むように放たれる中段正拳突き。


 防御ごと打ち抜く熟達(じゅくたつ)の技で、視界揺れて目が(かす)む。


 当然、アイシャはこんな程度で攻勢を緩めない。


 正拳突きから流水のように連続させる逆手の追い突きに、流れを切らさぬ締めの膝蹴り!


「やあっ!」

「ふッ!」


 迫る追い突きを手の平で受け流し、流しざまに引手で肘打ち。


 踏み込んだ勢いを利用した強烈な膝蹴りを、正拳突きでぶっ飛ばされていた肘で受け止める!


 されども、体勢不十分且つ痺れが残る左腕では防御が成立せず。こちらの身体が宙へ吹き飛ばされてしまった。


「──そういえば、コルクにもこんな感じでぶっ飛ばされたっけなー」


 つい最近同じように膝蹴りで宙を舞ったことを思い出しながら、吹き飛ばされたことでクリアになった意識で姿勢制御を行い、四点着地。


「!」「せい、やっ!」


 直後、着地の硬直を狙ったアイシャが放つ顔面への前蹴り──四足獣のような横っ飛びで回避!


 勢いそのまま空中で縦回転、左足着地の右震脚ッ!


「っ!」


 震脚の反力を乗せた爆発的な踏み込みで一気に加速。神速をもって彼我(ひが)の間合いを詰めるッ!


「そろそろこっちからも、いきますよ!」

「望む、ところです!」


 詰めさせるかとねじ込むような拳を撃ちだすアイシャ。


 それに対し、諸手(もろて)で上から相手の腕を押し付けるような掌打──八極拳金剛八式・伏虎(ふっこ)を合わせ、攻撃を叩き潰す!


()ッ!」

「くうっ」


 右腕を大きく下へと逸らされ体勢を崩す彼女だったが、見事に即応。


「とおりゃあっ!」


 前へ倒れ込む勢いを利用して身体を縦に捻り、カウンターへの返しとなる胴回し回転蹴り。


 戦斧の如き(かかと)落としが脳天めがけて振り下ろされ、大地を砕く!


「うっ!?」


 ──そう、彼女の胴回し回転蹴りは、俺の転身により空を切っている。


 回し蹴りは全身の捻れを使って放つため破壊力が大きいが……外したときの隙もまた大きい。


 つまりは好機。


 くらえ、カウンター返し返しッ!


(ふん)ッ!」


 伏虎で下がっていた上体を一気に引き戻し、しなっていた枝が反動で戻るかのような弾性運動でもって、裏拳──八極拳八大架式(はちだいかしき)纏絲崩捶(てんしほうすい)を、守りの上から叩き込むッ!


「──ぐっ」


 腹に響くような鈍い衝突音を響かせて、アイシャは宙へと打ちあがる。


 ものの見事に決まったが、あくまで守りの上での出来事。勝負を決めるほどのものではない。


 ならば追撃だと草原を駆け抜け落下地点へ疾走。勢いそのまま中段突きを打ち込む──が。


「ッ!?」

「──れいやあっ!」


 俺の接近前に着地していた彼女は、こちらの間合いに入れさせんと遠間から蹴り技を連発。


 懐に入る前に肩を蹴られ太腿を蹴られ、間合い外へ押し出されてしまった。


「下着、見えまくってますよ!」

「何も、問題ありませんっ!」


 こちらが動揺を引き出すために投げた言葉への返答は、前蹴りと飛び前蹴り、からの後ろ回し蹴り。


 使用人服のロングスカートがはためくも、深奥を覗く間を与えぬほどに連撃が続く。


 着地後も息をつかせず巨木を薙ぎ倒すような中段回し蹴りを見舞ったかと思えば、こちらの膝裏を巧みに引っ掛け構えを崩すような下段回し蹴り。


 竜巻な旋風脚(せんぷうきゃく)もかくやというという鋭い蹴り技の嵐で、彼女はこちらが接近することすら許さない。


「ふふっ! まだまだ、こんなものじゃありませんよ!」

「……」


 ──蹴りの間合いは広く、拳の間合いは狭い。


 更には、己の身は子供であり、四肢は大人のそれより一層短い。


 ましてや、俺の動きの根幹をなす大陸拳法は、肘打ちや体当たりといった超々至近距離での戦闘に特化したもの。間合いの不利は道理といえる。


 このまま相手のペースに嵌っていては彼女の腕の痺れは回復してしまい、こちらの優位が消失してしまうことだろう。元の木阿弥(もくあみ)である。


 であれば、如何にしてこの巧みな技を攻略するのか?


 答え: 力を一点に集約し発する(けい)をもって受けを成し、力ずくで隙を作り出す。


 相手が多彩な技で流れを作り出すのなら、それを断つは対極にある、突き詰めた一芸であろう。


 俺が決意を秘めると同時。アイシャが上段回し蹴りを放ちながら飛び上がる。


 その動きに次ぐのは、強烈無比なる後ろ回し蹴り。


 それにこちらがかち合わせるのは、呼吸を溜め震脚の反力を乗せた、陳式太極拳小架式・金剛搗碓(こんごうとうたい)ッ!


「──()ッ!」

「──づっ!?」


 己の右拳を左掌に打ち落とす、座禅を組む時の作法にも似た独特の所作。


 発勁(はっけい)と震脚を伴って行われたそれは、我が身を剛体へと変化させ、胸部に打ち込まれた蹴りを容易く弾き返す。


 まさか蹴りを真正面から受け、あまつさえ弾き返すなどと誰が想像できようか?


 さしものアイシャも隙を曝し、どころか苦痛に顔を(ゆが)ませる。


 蹴り脚を痛めたのだろうか? これは勝負ありだぜガハハ。


「隙、有りッ!」


 蹴り脚を弾き返された衝撃で痺れ、突き出されたままとなっていた彼女の右足を引っ掴み、軸足を蹴り払って押し倒し。


 更には肘を落とすようにがら空きの水月へと肘打ちを叩き込む。


 八極拳大八極・巧倒銀瓶(こうとうぎんぺい)、ここに炸裂!


「っ……はっ……」


 鳩尾(みぞおち)に肘が直撃し、声にならない悲鳴を上げるアイシャ。


 まともに決まれば悶絶どころか内臓破裂のエルボードロップであるがため、通常全くと言っていいほど使う機会のない技だ。


 たとえ加減していても、こういう相手でもないと──。


「──ロウさん!? やり過ぎですよ!?」


 エスリウの必死な様子の制止が耳へ届く。


 ……こういう相手でも使ったらマズい技だった。


 やっぱり大陸拳法って危険ですわー。


◇◆◇◆


 鳩尾を強打されたことで横隔膜(おうかくまく)の動きが止まり、一時呼吸困難となったアイシャ。


 しかし常日頃から鍛えていたこと、そしてこちらも身体強化を抑えていたことが幸いし、明日に支障が出るような事態は避けられた。やれやれだぜ。


「君ってやっぱり、興が乗ると暴走するきらいがあるよね」

「うぐッ……そうだな。アイシャさん、申し訳ありません。最後は押し倒した時点で終わらせるべきでした」


「ふふ……ロウ様が身体強化を加減して下さっていたことで、私の怪我の程度も軽いものです。それに、元より私が指導を願い出たことなので、どうかお気になさらないで下さい」


 俺の膝枕真っ只中のアイシャへと謝罪すると、優しい言葉が返ってくる。


 調子に乗った俺に対してこの反応である。聖母様ですか?


「アイシャさんの戦いを見るのは、今回が初めてでしたが……ワタクシの『眼』から見ても、とても完成された体術であるように見受けられました。正直なところ助言を差し上げるのは難しいですね。申し訳ありません」


 模擬戦開始前の言葉を思い出したのか、エスリウが戦闘模様を振り返る。が、高度な内容だったため、専門外の彼女では指摘すべき点が見つからなかったようだ。


 ぶっちゃけ空手? だしなあ。


 連綿(れんめん)と続いてきた歴史ある武術だし、彼女がその技術を余すことなく叩き込まれているのなら、そりゃ完成されているだろう。


 一体どういった経緯でこの世界に技術が流れてきたのやら。


「お嬢様と同じく、私もアイシャさんの動きに何かアドバイスをすることは出来かねます。……強いて言うなら、あの最後の蹴りを胸部でなく顔面を狙うべきだった、というくらいでしょうか」


「いやいや、それは甘いぞマルト。頭部なんて的が小さいうえに人の部位で一番硬いところだぞ? そんなところを狙いを定めづらい後ろ回し蹴りで狙ったなら十中八九外れるし、仮に当たったとしてもまず自分の足を痛める。まあ、当たれば一撃必殺ではあるだろうけど、それじゃあ明日に支障が出るからな。胸部を狙うのは妥当だよ」

「……そうなんだ。でも、胸部を狙ってもアイシャさんは足を痛めた……よね?」


 マルトは決着前の攻防に思い返す様に話し、どこか自信が無さそうに問いを発する。彼女の目から見ても、万全だったはずの蹴りが何故弾き返されたのかが分からなかったのだろう。


「蹴った私も、あの時何が起こったのかよく分かりませんでした。ただ、まるで巨大な金属球を蹴りつけたような異様な手応えだった、そのことだけは理解できたのですが。ロウ様が身体強化度合いを高めたような気配もありませんでしたし……」


「あれはアイシャさんの蹴りに合わせてこちらも身を固めた、簡単に言えばそんな感じですよ」

「「「……」」」


 解説が簡単すぎない? と六つの目で覗かれるが、大陸拳法における発勁なんて人に説明できるほど深く理解していないし、これ以上の説明は無理なのだ。俺は感覚派なんですよ。


 その後、アイシャの状態が回復するまで模擬戦の感想や各々の体術について語り合い、彼女が十分に動けるようになったところで宿へと帰還する。


 宿への帰路でアイシャから「もしよろしければ明日もご指導いただけないでしょうか?」と頼み込まれ、俺たちは三人揃って目を丸くした。


 結局断り切れず、明日の旅程消化具合や彼女の状態次第ということでお茶を濁すこととなる。元気過ぎだろうこの人!

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