2-37 対人魔法実験
ロウがボルドーに到着してから七日目。衝撃的な邂逅の翌日。
(ククッ。娘っこたちの指導が休みになって良かったな?)
「笑い事じゃねーぞ。下手打てば敵対してた可能性もあったし、気が気じゃなかったんだからな」
(全てはロウ自身の行いに端を発していたようですけどね)
「ぐッ……ぐうの音も出ないとはこのことか」
時刻は未明。異空間で鍛錬を終えたロウは、曲刀たちと昨日の出来事の情報共有を行っていた。
昨日、冒険者組合でヴィクターたちとの訓練を終えた少年は、重い足を引きずりアイラを迎えにとムスターファの屋敷へ戻った。しかし談話室へ通された彼の前には、楽しそうに談笑する四人の姿があった。
エスリウは公爵家の令嬢という貴族の身でありながら、相手が平民であっても高慢な態度をとることなく、むしろ恐縮するアイラやカルラに歩み寄り親し気に話しかけてさえいた。
これは、彼女が人外──魔神の娘であり、圧倒的な力を内包するがため、人族たちの矮小な考えに囚われない故である。が、そんなことを知らない少女たちには、懐の広く好ましい人物にしか見えない。距離が近づくのも当然である。
そういった経緯で仲の良くなった四人は、更に親交を深めようとアーリア商店に買い物へ行くことを計画する。
着の身着のままですっ飛んできたエスリウはもちろん、自身の持ち物など一切なかったカルラの服も見繕うためである。
現在カルラはムスターファ家の使用人の服を借りているが、亜人用の服は多くない為、買い足す必要があったのだ。
こうして急遽決まった親睦会のため、ヤームルの訓練は休講となった。のだが──。
「──マルトのやつが俺と差し向かいで話をしたいとはな。あ゛~逃げたい」
ロウは深々と溜息をつきながら嘆く。
アルデスから訓練の予定を聞き、アイラを連れた少年がさあ屋敷を出るぞという時に、そっと近寄ってきたマルトに明日二人で話がしたいと耳打ちされたのだ。
その光景を目撃した周囲からは黄色い声が上がったが、当人はそれどころではない。
(あの女の実力の底がどれほどかは分からないが、お前さんを上回ることは到底なさそうだし、そこまで頭を痛める問題でもないように思えるが?)
「そりゃ力関係じゃあ俺の方が上だろうさ。ただ、関係性がややこしいんだよ。俺はあいつの主人であるエスリウ誘拐の実行犯だし、俺はエスリウの友人であるヤームルと関係は築いているけど、深いものじゃないし」
(ヤームルやムスターファ氏の窮地を救ったということは、恐らく彼女も彼女の主人も知らぬことでしょう。それを伝えれば敵対まで行くことは無さそうなのです)
「なるほど。ムスターファさんが伝えてなさそうだから勝手に言うのは憚られるけど、そうも言ってられないしな。その線で行くか……それはそれとして、備えはするけどな」
約束の時間は昼。既に数時間の睡眠をとり万全な状態となっていた少年は、対マルトを想定した魔法の開発を行うべく行動を開始した。
◇◆◇◆
(一口に対人用魔法と言ったってよく分からん。どんな魔法なんだ?)
「広範囲に効果が及んだり破壊力に傾倒したようなものじゃなくて、迅さを追求して人体の要所を効果的に攻撃できるような魔法かな? 大雑把な魔法で一網打尽! ってやると確実に騒ぎになるから論外だ」
(人間族の社会は面倒なしがらみが多いようですからね。魔族ならば野次馬が集まれど邪魔をするものなどいないというのに)
「……すげーな魔族」
黒刀の話す魔族談に驚愕しながらも、ロウは魔力を開放し全力で操作できる状態に移行する。
異空間の門は曲刀たちにチェックしてもらっているため、自身は魔法の開発へと集中できる。被害を気にすることなく研究に打ち込める異空間は、少年にとってお誂えであった。
(さて。迅さを重視する魔法となれば風か光か雷か。とりあえず一通り試そう)
脳内で独り言ちたロウは魔力操作を始め、実験へと没入していく。
まずは的からだと、少年は手始めに水魔法を行使する。
「今回はスライムじゃなくて人型でいくか。相手があのフードだし、マリンよりも強めに創ってみよう」
少年にとって最も慣れ親しんだ水魔法で創られたのは、自由意志を持つ眷属。成人男性とそう変わらない長身は、マルトと同程度の背丈を想定していた。
ムスターファ邸で創生した眷属マリン以上に魔力を込められた、強力な水人形──シアン(仮)に“回避指令”を下し、ロウは実験を開始する。
[──!]
創造主からの指令を受けると同時に水の滴るような音を奏で、シアンは姿をくらませる。
それは観戦している曲刀たちや石像竜の感知では見失ってしまうほどの俊足。人の身を持ちながら人ならざるシアンにのみ許された、人体の運動と弾性運動の融合した高速移動である。
(迅ッ!? 自分で創り出しておいてなんだが、すげえな!)
シアンの動きに驚愕しつつも辛うじて視界に収めたロウは、練り上げた魔力で対人魔法の第一波を解放する!
「まずはこいつだ──!?」
雷光一閃!
正に迅雷というべき速度で少年の掌から放たれた電撃は、遠間にいるシアンを正確に捉え──ることはなく、その遥か手前で枝分かれ。大気をつんざく爆音と共に、あらぬ方へと突き刺さった。
[──っ!?]
一方、雷撃を発したロウはといえば、雷の衝撃波によって吹き飛ばされ無様に転がっている。発動者が自爆するとはこれ如何に。
「──あ゛~……うるせえし痛え。しかも当たらん。まあ、雷って操作が難しいらしいもんな。不用意に放って命中するはずもないか」
ロウは雷の原理など漠然としか理解していないが、莫大なエネルギーをもって放たれた雷は空気中の気体分子と衝突し、分子を電離させ電子と陽イオンを弾き飛ばす。弾き飛ばされた陽イオンは更に別の分子に衝突し、玉突き事故の様に電子・陽イオンが動くのだ。これが落雷・放電現象となる。
つまりは、パチンコ台の上から落ちるパチンコ玉のように、予測が難しい軌道を取るのが雷と言える。
予め進路上に電離済みの陽イオン発生させ雷の道を創っておけばこの限りではないが……残念ながら少年の知識には存在しない部分である。
ロウが雷魔法の分析を進める一方、突如目の前で枝分かれしていった雷に驚き動きを止めていたシアン。我に返った彼女は回避運動を再開し、目にもとまらぬ速度で異空間を駆け回る。
「ッと! やるな」
[っ!]
まずは足を止めねばと土魔法を構築するロウは、城壁並みの岩壁を幾重に張り巡らせる。が、水の眷属は腕部を剣状へ変形・硬質化させてこれらを一刀両断。
空を舞う石くれに、水の飛沫でかかる虹。岩壁を一瞬で切り崩すシアンの剣技は、高位冒険者の上を行く。
しかし少年はほくそ笑む。彼の真なる狙いは、動きを妨げることよりも意識を逸らすこと。逸らしてしまえば隠形法にて接近するなど造作もない。
隠れ忍んだロウは相手の死角より急襲し、再度雷魔法を思い描く──一度外れたのに何故?
「──当たらないのならば、当たる距離で放てばよいのだッ!」
[っ!?]
轟雷一閃!
意識外からの痛烈な電撃に貫かれたシアンは、今度こそ雷撃で吹き飛んだ。
水魔法で創られた彼女は電撃により体の一部が蒸発。帯電して身動きも取れない状態となる。
シアンを貫いた雷撃はといえば、そのまま近くの岩壁へと吸い込まれ、雷鳴を響かせながら岩を破砕。これは主に雷が空気を熱することで生じる衝撃波によるものだが、副次的なものにもかかわらず十二分な破壊力を有していた。
「かぁ~。耳がッ。加減してこの大音量なら、全力で放つと鼓膜が致命傷だぞこれ。威力は十分ありそうだし、至近距離で放つにしても出力を絞らないとなあ」
ぶるぶると痙攣する眷属に自身の魔力を分け与えて回復させつつ、ロウは岩の破壊痕を見やり雷魔法の問題点を考えていく。
威力、速度の面では実に優秀な雷魔法だが、発動の際には隠密性のかけらもない大音量の雷鳴である。
大暴投したかの如き命中率、意図せざる周囲への被害。更には自身への衝撃波と熱の被害等々……様々な課題が残る代物だ。
「意外と使えねーな雷魔法!」
いつぞやはヤームルが華麗に雷魔術を使いこなしていたが、調整が大雑把なきらいがある自身には余り使いこなせそうにないと、ロウはサクッと打ち捨てる。
人間、切り替えが大事である。彼は魔神ではあるが。
「──あ。でも空に雷雲があれば本物の雷を誘導できるか? 相手じゃなくて自分のところに落ちてくるけど」
使えないという烙印を押した直後に前言撤回。仮に落雷を誘導できるなら、自身の放つ雷撃の数十倍は下らないエネルギーとなるだろうと考えたのだ。
本来、大地から雷を誘導する先行放電は落雷が落ちる寸前に発生するものだが、ロウのように強力な雷撃を放てるとなると、落雷の発生前に誘導することも可能となる。
生前に見た科学番組の中で説明されていた、先行放電の記憶から連想しただけの単なる思い付きだったが、少年の考えはあながち的外れというものでもなかった。
創造主が雷魔法の別視点からの利用法を考えている一方、その眷属はというと。
[……]
魔力充填により回復していたが、死角から電撃に貫かれ吹き飛ばされた恐怖に身を震わせていた。
「悪い悪い。次は風魔法だから雷ほどひどくはならないと思うし、安心しろって。……折角だし、今度は回避だけじゃなくて攻撃もありにするか」
そんな彼女に次は風魔法だから大丈夫だと無理やり納得させ、今度は回避指令ではなく攻撃指令を命じるロウ。
指令には逆らえないのか、あるいは開き直ったのか。迷いを感じさせない動きで駆けるシアンに、少年も妨害の岩壁ではなく攻撃の石槍を創り上げる!
「せいやッ!──む、やりおる」
魔神の魔力で次々と白い地面より突き出る石槍を悉く躱し、斬り飛ばすシアン。彼女が石林に応じている隙に、少年は距離を詰めようとするが──。
[──]
「ッ!?」
ここで行動変化。かつて自身と同じ眷属マリンが見せたひずみの運動を利用して、水人形は連続跳躍を開始する!
切り立つ石柱に向かい、豪速球の移動。
そこを足場に再び跳ね飛びロウの視線を切るように移動、着地、また跳躍。
繰り返される神速移動に、ついにロウの感知と視覚がシアンを見失った。
「マジか!?──がはッ!?」
相手を見失うという危機を打破すべく、ロウが魔力を練り上げた直後──側面から蹴撃強襲!
石柱を砕きながら吹き飛ばされた少年は体勢を立て直そうとするも、そうはさせじと間合いを詰める水人形。二人は瞬く間に接近戦へともつれ込む。
[──っ!]
「──上等ッ!」
吹き飛ばされたロウは反動を利用して後方転回。着地後身体を一気に反り上げ、勢いそのまま上段回し蹴りッ!
「えりゃあッ!」
崩れた体勢さえも利用した強烈な蹴りが、距離を詰めていたシアンの頭部を直撃──する前に、シアンは両腕を巧みに操り下方向から蹴り脚を逸らす。
手の平を外側へと回転させる動き──順纏を伴うそれは、相手の攻撃いなして捌いて崩す技。陳式太極拳の基本動作、雲手であった。
「はあ!? 太極拳かッ!?」
[っ!]
意表を突く柔の技から一転、水の眷属は剛の踏み込み。
がら空きとなった少年の脇腹へ向けて、震脚と共に両腕を左右に突き出す掌底──八極拳大八極・馬歩雙撐を打ち込む!
「ぐっはあ……」
強烈な踏み込みを見たロウは瞬時に肘を畳んで守りを固めたが──豪快な一撃は片足で踏ん張り切れず、掌底によって吹き飛ばされてしまう。
「やりやがる。燃えてきたぜ」
宙を舞って石柱に叩きつけられた少年だったが、身を起こすとその金眼にギラリと獰猛な光を宿し、口元に好戦的な笑みを浮かべていた。もはや、彼の頭に魔法実験のことが残っているか定かではない。
それを知ってか知らずか、立ち上がった創造主に矢の如く迫るシアン。そのまま速度を乗せての豪速中段突き!
どっこい、ロウはこれを払い落として速攻肉薄。お返しだといわんばかりの掌打をチョップのように叩き落す!
「ッ!」
[!]
迫る打ち技を腕で受けた水の眷属は、逆手の肘打ちによるカウンターを選択。
身を起こす勢いと共に創造主の頭部へ打ち込まん、としたが──。
「哼ッ!」
[っ!?]
──発勁と共に重みの激増したロウの腕に、防御ごと捻り潰されることとなる。
「是烎啊ッ!」
叩き潰す様な打ち下ろしで体勢が大きく崩れたシアンに対し、少年は異空間を揺るがす震脚ッ!
その反力を用いた、下から掬い上げる様な裏拳打ち──八極拳大八極・崩歩捶でもって相手を打ち上げ、空へと吹き飛ばす!
「吹っ飛べッ!」
打ち上げられて致命的な隙を晒した相手へ、これで止めだと魔力を解放、烈風召喚。渦を巻く豪風がシアンを捉え遥か上空まで吹き飛ばし──撃破完了。
墜落した水人形は風船の如く弾け、白い地面に水溜りができた。
「……ふぅ。風は一点に集束させるのが難しいな。面制圧には向くけど、個人に向けて放つには大味かなあ。命中はしやすいだろうけど、周囲への被害がなー……あ。圧縮した空気を爆弾代わりに使うのもいいか? これなら放つよりは被害を軽減できるかも」
[──……]
地面に叩きつけられ、べちゃりと平たくなったシアンに魔力の再充填を行いながら、風魔法の用途を考えていくロウ。
意志ある眷属は内心「雷魔法より酷いじゃん」と不満たらたらだが、伝える術がジェスチャーしかないため、不貞腐れ気味に不定形となっている。
そんなシアンの態度など目もくれず、少年は圧縮空気球を無造作に生成して風魔法の実験を繰り返していく。
「圧縮した空気を飛ばしたりぶつけたりするより、爆弾として炸裂させる方がずっと当てやすいけど……いかんせん威力がな。至近距離じゃないと大したことないし、意表を突いたり体勢を崩したりって感じか? それならぶん殴ったり蹴っ飛ばしたりする方が早い気も……。まあ風魔法は放置だな。おーい、シアン? やさぐれてないで次の実験やるぞ」
[……]
一人で結論付けたロウは残る実験を消化すべくシアンに声をかけ、ライトノベルのやれやれ系主人公のように肩をすくめる眷属を人型に戻す。
互いが所定位置に着いたところで、彼はシアンに回避指令を出して実験を開始する。攻撃指令にしなかったのは、眷属から抗議されたからかもしれない。
命令が下ると即座に動くシアン。先ほどロウが創り出した石柱を利用し、連続跳躍を行うことでロウの狙いを外す作戦である。攻撃不要のため、その速度は増しに増している。
「柱を土魔法で変形させて対抗しても良いけど……折角だし光魔法で挑んでみるか」
脳裏に光球を思い浮かべたロウは、魔力で現実へと出力する。
十数個の光球を創ったところでばら撒き、柏手一発。乾いた音が反響すると同時に光球が輝き、強烈な閃光が異空間を満たす。
[──っ!?]
光で視界を潰されたシアンはあえなく石柱に衝突。
そこを逃さぬ少年は直ちに追撃。今度は攻撃用の光魔法を照射する!
「そいやー!」
溢れる少年心と共に出力したのは大口径の紅き閃光。
それは白い空間を紅で満たすような高出力での照射だったが──。
[っ……?]
「あんれぇー?」
光魔法が直撃貫通しているにもかかわらず、シアンの体に変化は見られない。ロウは思わず照射を取りやめ首を傾げた。
──これは彼が構築した光魔法が、複数の電磁波が集まった複合光ではなく、赤色単体の単色光だったことに起因している。
実際には、彼が放った赤色光でシアンの体温は僅かばかり上昇していたが……可視光──450THzの単波長光では、シアンの肉体温度を1度上げるのが精一杯だったのだ。
原因は先も述べた通り照射光が単波長光だったこと、それに加えて光魔法の照射口径が大きかったことである。
幾ら膨大な魔力を光に変換しても、可視光という物体に熱へと変換され難い電磁波では発熱効果が薄い。そのうえ集束もされずに拡散されようものならば、僅であっても温度が上がっただけ上出来だったのだ。
「う~ん。目潰しには良さそうだけど、焼いたり熱したりするのは難しいのか? 攻撃面だと太陽光を集光した方がよほど良さそうだな」
太陽光の利用には思い至っても、太陽光の主な熱エネルギーである赤外線による加熱という発想は思い浮かばないロウ。人の目では目視出来ない電磁波であるため、仕方が無いのかもしれない。
一方、赤色光を照射されたシアンはしばし呆然としていたが、創造主の言葉の中で聞き流せないものを見つけ、猛然と抗議した。
[っ! っ!]
「ん? 何? 焼くつもりだったのかって? 当たり前だろうが!」
[……]
しかし、創造主は極悪非道である。
ロウの逆切れに力なく項垂れたシアンは、再び的としての使命を全うするため、哀愁を漂わせながら距離を取っていった。
その後もシアン相手に光魔法の実験を重ねた少年は、口径を一センチメートルほどまで絞ることで出力を増幅させることに成功する。
それは乾燥した木材ならば一秒で発火点を迎え、水をたちまち沸騰させるエネルギー密度ではあったが──。
「かなり集中しないと火力が出ないか。とても咄嗟に出せるような魔法じゃない。狙撃には使えないこともない、か?」
──光を絞り集束させるためには精密な魔力操作が要求されるため、肝心の対人用途では使えそうもなかったのだ。
更に、可視光域にある光は総じて物体に吸収され難いという特性もある。照射箇所が水分を多く含むような部位でなければ、殆どが反射されて熱することすら出来ないこともあるのだ。
シアンのような水人形であれば効果的に熱する事が可能だが、衣服を纏う人であればそうはいかない。光魔法といえば万能なイメージを持っていたロウだが、この魔法は極めて用途が限られる代物だったのだ。
「魔力操作が上達しないと実践に耐えうるものじゃないか。レーザーじゃなくて無差別目潰しの方は使えそうだし、良しとしよう。──シアン! 最終調整をするぞ。何でもありの立ち合いだ」
ようやく役目が終わったと球形態でのんびり寛いでいたシアンに、ロウは無慈悲な指令を下す。
渋る水人形を宥め賺してやる気にさせたロウは、夜が明けるまで対策を練り続け、対マルトの備えに万全を期すのだった。