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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第三章 主なき番人と世界の守護者
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頂を目指して

 ――三十二階。


 このダンジョンは、思ったよりもハードだ。


 いや、ダンジョンだなんて言葉を使うべきではないかもしれない。これはもう、この世界の列記とした建造物。フェガリの遺産なのだから。


「なにバテてんのよ! そっちからも来るよ!」


 キャルルは部屋の天井が高いのをいいことに、右へ左へ飛び回るだけでまるで戦闘に加わろうとしない。


「せいっ!」


 久々に振るうこの大剣も、心なしか重く感じられる。だいぶ腕が鈍っているようだ。


「はあ、はあ・・・」


「ちょっとー、もう疲れちゃったの? 早すぎない?」


「すみません、少し、休憩しませんか?」


「しょーがないなぁ・・・」


 今しがた倒した魔物たちが光の粒子となって宙に消えていく。


 この魔物たちは、フェガリが残した大魔法によって輪廻転生する定めにある。ゆえに、決して数が減ることはない。


 かつては人の、それも冒険者だけの専売特許だった生き返りを応用し、世界に無理やり組み込んだのが彼だった。


 今では、その冒険者の生き返りでさえ、機能しなくなってきている。世界の構造が変わりつつあるのだ。


 エラーを放置すれば確実に影響が出ることは、周知の事実だった。


 そこでフェガリは、歪に形を変え始めたシステムを更に利用したのだ。


 クウィストから力の一部を継承し、持ち合わせていた消去(デリート)の能力を組みあせたフェガリは、エラーの都合の悪い部分を消して使いやすいように改良した。


 今思えば、彼は天才だった。


 それに引き換え、私ときたら――。


「ねえ、ほんとにやる気あんの?」


 キャルルが顔を覗き込んでくる。


「やる気がないように見えますか?」


「どうだろねー」


 そう言いながら周囲を物色し始めるキャルルに、グランは嫌悪感を覚えた。


 その気になれば、あの女は私の意思に関係なくことを起こせる。


 常に自分が優位に立った気でいるのだ。


 今の自分に、逆らう選択肢など与えられていない。


「休憩は終わりです。先に進みましょう」


 グランは剣を持ち上げて言った。


 ――最上階に行けば、きっと自分が探している答えが見つかるはず。


 そう自分に言い聞かせて。

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