こちらを視る者
近頃、ヘイトは奇妙な感覚に襲われていた。
クーパーを倒してからしばらくというもの、何者かの視線を感じるようになったのだ。
それがクーパーを倒した影響かどうかはわからないが、確かに誰かに監視されている。
しかし、その正体は掴めないままでいた。
「どうかしたのですか?」
妙にそわそわして落ち着かないヘイトの様子に気が付いたのか、シルバが声をかけてきた。
「いや、なんでもない」
「なんでもない…って雰囲気でもなさそうですけど…」
さすがはシルバだ。
かれこれ数カ月、彼女とは片時も離れず一緒にいるので、こちらのちょっとした変化もわかってしまうのだろう。
「…誰かに見張られているような気がしないか?」
少し悩んだ末、ヘイトはそう切り出した。
「見張られている、ですか…?」
シルバが疑問に感じるということは、本当にただの気のせいなのかもしれない。
これでも彼女は、自身の能力を生存するために特化させた種族の魔物だ。当然、危険を感知する能力も他の種族の数倍は長けている。
そのシルバでさえ何も感じないというのだから、本当に何もいないか、あるいは敵意を完全に殺しているかのどちらかか――。
「いや、気にしないでくれ」
そうは言ったものの、内心、この胸のざわつきが気になって仕方がなかった。
そんな状態が数日続いたある日、ヘイトはついに気配の正体と遭遇した。




