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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第三章 主なき番人と世界の守護者
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グランの決意

 久々に地上に出たグランは、背中に感じる重みを確かめながら草原を歩いていた。


 目標物がなければ、きっと彼女のことをきらびやかな装飾を身に付けた人間の女性だと思うだろう。


 あるいは、どこかの王族か、神に仕える神官と見間違うかもしれない。


 ただ、決定的に、彼女には普通の人間とかけ離れた特徴がある。


 その身の丈である。


 彼女の身長は、優に2メートルを超えている。あわよくばヘイトのそれさえ超えようかという高さを誇っているのだ。


 そして、もう一つ、彼女の特異な部分がある。


 背中に背負った巨大な剣だ。


 自身の身長を凌駕するほどの大剣。世に名高い、聖剣グラントである。


 伝説の鍛冶師だったグラントが鍛えたとされる聖剣は、名の違う影打ちを合わせてこの世に四本存在する。


 内二本は、行方不明の冒険者グラウス・クーパーが所持している。もう一つの聖剣グラントと、妖花月光刀だ。


 そして一本は、ヘイトの手の中にある。邪剣ケラプディスである。


 残る真打ちこそが、彼女が背中に携えている大剣。聖剣グラント。


 剣によって名前が違うのは、鍛冶師グラント自身がそれぞれを鍛えた後、それらの特徴になぞらえて命名したのであって、もとは最高の一振りを生み出すというコンセプトのもと作られた、いわば兄弟だ。


 影打ちのグラントは、あらゆる壁を打ち払う力があるとされている。


 妖花月光刀は、見えざる刀の異名をとり、それを振るう者に力を与えるといわれている。


 邪剣ケラプディスはというと、性質こそグラントとそう大差ないが、持つ者を選ぶとされ、長らくフェガリの手元にあったものだ。


 そして、真打ちのグラントは――。言わずもがな、影打ちであるグラントを凌ぐ力を有していると目されているが、これも持つ者を選ぶ一振り――つまり、使用者によって能力を左右されるとされている。


 グラン自身、この剣を本気で使ったことは未だかつてない。


 使わなかったというよりも、使うような局面がなかったというべきだろう。


 が、しかし、自分が表舞台に立ってしまった以上、これを使うことを余儀なくされる場面があるやもしれぬということだ。


 彼女が背中に感じている重みは、大剣の重量以上のものだった。


 自分こそが、調停者の頂点に立つ者。


 最高責任者であり、最後の砦である。


 グランは遥か彼方に見える超高層の建造物を見据え、決意を新たにした。


「私が、止めなければ…」


 彼女は進む。草原の只中を。

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