グリテッド侵攻1
グリテッド近郊での戦闘から二日後、ヘイト率いる魔神軍はグリテッドを囲む城壁を突破するのに難儀していた。
そびえ立つ石の壁と堅牢な門は如何なる攻撃も通用せず、さらに近づこうものなら壁の上から無数の矢が降り注いでくる。
魔物の中には空を飛べるものも少なからずいるが、城内の敵を相手取らなければならないことを考えると、少数で乗り込むのは無謀にも思えた。
軍勢を率いるというのは難しいものだ。
ヘイトはそれをつくづく実感していた。
自分ひとりでならばどうにでもなるものを、仲間に被害を出さぬためには何か手立てを講じなければならない。
問題はもう一つあった。
水と食料が底をつきそうなのだ。
道中は持ってきた備蓄と狩猟でどうにか間に合っていたものの、ここは砂漠のど真ん中だ。食べ物がそう簡単に手に入る環境ではない。
先の戦で死んだ人間を食って生きていけるものもいたが、魔物とて誰しもが人を食べるわけでもない。
「敵はこれを見越して、打って出てこないのか…」
ヘイトは呟いた。
「なるほど、賢いですね」
ヘイトから状況を聞いていた傍らのシルバが感心して言う。
「早いところ行動に出なければ、このままでは少しずつ消耗していくだけだな…」
「どうしますか…?」
てっきり、魔物の勢いに気圧されて出て来られなくなっただけかと思っていたが、敵もさるものというわけか。
だったら――。
シルバに聞かれる前から、ヘイトの腹は決まっていた。
「単騎でいくのみだ」




