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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第二章 この世に神のいるうちは…
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調停者会議…?

 ――とある薄暗い部屋の中。




「そ・れ・でェ、()()は結局どうなったんですかァ?」


 やけに挑発的な口調で話す女。パルミィ・ジュリアート。


 その話し方にはいつも苛立たせられるが、彼女は実力が相応であるがゆえに、余計に腹立たしい。


「ジュリアート、もう少し冷静に話してくれ。そのしゃべり方はイライラする」


 僕の気持ちを代弁してくれた紳士。ワーズ・ハミルトン。


 いつでも冷静沈着。それでいて、大胆不敵。選択を間違うことのない男。


「だってェ、気になるじゃん」


「同感ね。調停者として、見過ごすことのできない案件だもの」


 大人びた雰囲気に穏やかな喋り方が耳をくすぐる大人の女性。サラ・ブランシェット。


 キツイ物言いで知られる彼女は、実は身内にはすごく優しい。甘い香りや妖艶な仕草一つ一つは、いつも僕の脳みそをとろけさせる。スタイルもいいし、言うことなし。文句なしの百点満点。いや、それ以上だ。こっちをそうやって見るその視線もまさに僕の――。


「おい、変態、聞いてるのか?」


「え、あ、はい! 聞いていますとも」


 ワーズに注意されて背筋が伸びた男。僕。マイク・ティコリス。


 みんなの人気者。ムードメーカー的存在で、チームには欠かせないエース。変態っていうのは、ワーズが言ってるだけ。


「またサラ姉見てエロいこと考えてたんでしょォ? この変態ィ!」


 あと、パルミィも。


「そうなの? ティコちゃん」


「ち、違うよサラ姉! そんなこと考えてなんて…!」


「別にいいけど、あんまり妄想して暴走しないようにね…?」


「サ、サラ姉…」


 サラ姉にまでそう言われてしまっては、さすがの僕もへこむ。


「ゴホン、話を戻すぞ」


 そうそう。このままじゃワーズの怒りが爆発しちゃう。


「はァい」


「ええ」


「はい」


 一同が気を取り直したところで、ワーズが話を整理する。


「先日、ケプランでゾンビが大量発生する事案が起きた。それによって町は魔物で埋め尽くされ、もはや手が付けられない状況だ。元凶はすでに判明している。魔法の痕跡から出た結論から、犯人はソールシュルツ・アンクランとのことだ」


「アンクラン…」


 ぼそっと呟いたのはサラ姉だ。


 もしかして、あの死霊術師と面識があるのか? 僕もあったことは数えるほどしかないけど、どう見ても、まともじゃなかった。なんというか、人格が破綻してる感じ。うまく言えないけど、正気じゃないように見えた。


「アンクランは以前から死霊術に詳しかった。情報は正しいと思っていいだろう。動機についてだが、それはまだわかっていない。あの男は少しばかり狂っている節があるが、町を活気づけるために一生懸命なやつだった。それがなぜ、今回のような凶行にでたのか…」


 まあ、ギルドのマスターを任されるくらいなんだから、冒険者からも相応の信頼があったんだとは思う。本来なら町を守る立場の人間が、逆に町を襲ったんだから、それは謎だよね。


「関係があるのかわからないが、さっきジュリアートが聞いてきた件――『紫眼の巨人』についても、話しておこうと思う」


 これは最近巷を騒がせている()の話だ。


「この『紫眼の巨人』とやらは、突如現れ、情報によればレヌシアの森深くにある村を一つ破壊したらしい」


「暴れん坊だねェ」


「その後、ケプランから調査の部隊が派遣されたものの成果はなく、ケプランもさっき話した通りの有り様と化した」


「つまり…何もわかっていないのね?」


「――いや、実は、ついさっき、ある女から情報が入った」


 ――女? ワーズに話を通せる人間なのだろうから、信頼できる人物だとは思うけど…。


「エメネ・ベウィだ。知っているか?」


 …エメネ・ベウィ? 聞いたことないな。


「知ってるよォ? あの変人さんでしょォ?」


 パルミィは知ってるのか。


「私も、名前だけなら」


 サラ姉も!?


 知らなかったのは僕だけなのか…。


「エメネ・ベウィは我々と同じ調停者だ。その昔、アンクランと組んでいたこともあると聞く。ケプラン崩壊のとき、まさに町にいたらしい」


「「「ええっ!?」」」


 三重奏が響く。


 そりゃあ、そんなことを聞いたら誰だって驚くだろう。


「ちょっとォ、そいつは何してたわけェ? 仮にも調停者なんでしょォ? 町が一つ潰されるってのがどういうことを意味するのかァ、ちゃんと理解してたのォ?」


 パルミィの言うことはもっともだ。もっともなんだけど…。


「パルミィ・ジュリアート!!」


 あー、ワーズがキレちゃった。


「その煩わしい喋り方、いい加減に何とかならないのか!」


「だってェ、これがウチの素だしィ」


「だから! やめろと言ってるだろ! お前はそれを無意識のうちにやってるんだ。その無意識が周りを苛立たせているのだから、改めるべきだとは思わないのか!」


「んなこと言ったってェ、どうすりゃいいのかわかんないもん」


「人の体に習慣づいた癖というのはなぁ…、意識しなきゃ治らないんだよ!!」


「ええェ~」


 さすがはパルミィ。怒り心頭のワーズなんぞ、気にも留めてない様子だ。


「ティコちゃん、私たちは少しあっちに行ってましょうか」


 おっと、これは新展開の予感…?


「そうですね。ラブラブな二人はほっといて、僕たちも向こうで仲良くしましょうか」


「え~、ティコちゃん、なんか期待してないかしら?」


「え、ええ? 何の話ですかね~あは、あははははは」




 その後、僕とサラ姉はフツーにお茶会をした。

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