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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第二章 この世に神のいるうちは…
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魔神親衛隊

 階下に降りると、クザンたちが駆け寄ってきた。


「へ、ヘイト様! 先ほど、フェガリ様がこちらに…!」


 皆、動揺しているようだ。


 ヘイトはなだめた。


「落ち着け。別に家出をしたわけじゃない。フェガリ様自ら打って出られたんだ」


 だが、そのセリフは彼らにとってかえって逆効果だったようだ。


「そ、そんな! であれば、我らも総力を挙げてお守りせねば!」


 取り巻きの連中が賛同の意を示すべく雄叫びを上げる。


「ちょっと待て。そんなことをしたら、誰がこの塔の留守を預かるんだ? フェガリ様が帰ってきたときに、塔が占拠されてたんじゃ目も当てられないだろ」


「た、たしかに…」


 ヘイトの一言で魔物たちは静まった。


「まあ、いくらフェガリ様が強いとはいえ、たった一人というのは心許ない。いくらかは俺たちも援軍に出るべきだろうな」


 思い返せば、ヘイトにすら対抗し得る力を持ち得た人間もいるのだ。絶対的な力を誇る魔神フェガリといえど、一瞬の油断が命取りになりかねない。たとえ蛇足となろうとも、護衛にはつくべきだと思われた。


「よし。クザン。いくらか信の置ける仲間を見繕って、隊を編成してくれないか? これから魔神フェガリの護衛隊を組織する」


「おお! 承りました! しばし、お待ちくだされ」


 クザンは目を輝かせてそう言うと、足早に階下へと下りていった。


「シルバ。俺たちもその護衛隊に同行しよう。フェガリ様とともに、町へ攻め入るんだ」


「それはいいですね! そうしましょう!」


 シルバは何の疑問も持たずに賛成してくれたが、ヘイトにはフェガリの護衛の他に、護衛隊に入る理由があった。


 それは、自分に残された力だ。


 どれくらいの力が残されているのか、見極める必要がある。もし、個人プレーができないともなれば、今後も彼らと行動を共にすることも視野に入れていかなければならない。


 クザンの組織した護衛隊は、クリスタルタワー入口の開けた場所に集まった。


 なるほど、屈強そうな面々である。


 主に武者風の魔物で構成されているが、中には獣や異形のものも混ざっている。差し詰め、混成魔神親衛隊とでもいったところか。


「クザン。お前には俺も一目置いている。この部隊の指揮を、頼まれてはくれないか?」


 ヘイトが言うと、クザンは驚きの表情を浮かべたのち、地面に這いつくばった。


「ヘイト様、何卒、それだけはおやめください! ヘイト様というお方があらせられながら、私のような若輩者が長になるなど…!」


 ヘイトはクザンのあまりの剣幕に気圧された。


「わ、わかったわかった。この部隊は俺が指揮を執る。形だけでもな。ただ、俺の補佐はしてくれるな?」


「も、もちろんでございます! 私のような者の頼みを聞いて下さり、ありがとうございます。このクザン、全力を持って任に当たらせていただきます」


 いつでも少し大げさなクザンだが、そこが憎めない点でもある。


 ヘイトは頭を垂れるクザンの肩に手を置いて、部隊の先頭に立った。


「出発だ!」


 ヘイトの号令で、魔物の群衆は雄叫びを上げた。


「ウオォォォッッ!!」


 魔将軍ヘイト率いる混成魔神親衛隊の旅が、こうして幕を上げた。

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