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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第二章 この世に神のいるうちは…
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やるべきこと

「ヘイト様! ヘイト様!」


 しきりに自分を呼ぶ声で、ヘイトは目を覚ました。


「ああ、よかった、ヘイト様…」


 目の前には、涙ぐんでこちらを覗き込むシルバの姿があった。


 意識がはっきりとしてくると同時に、フェガリのことを思い出す。


「フェガリ様は…?」


「ヘイト様が上がられてからしばらくして、下りてこられました。わたしや、クザンさんたちに礼を告げて…」


「そうか…」


 俺から力を取り返して、行く先はおおよそ見当がつく。俺がやったことの肩代わりをしようというのだろう。


 フェガリの気が済むのならそれでもいいのかもしれない。


 では、俺の気持ちはどうか。


 力を吸い取られたことによって、かつてのような感情は失われているように感じる。あの湧き上がるような憎悪の感情も。


 ただ、それは正確には、完全になくなったわけではなかった。かといって薄くなったわけでもない。


「どういうことだ…」


 顔をしかめるヘイトに対して、シルバが心配そうな表情を浮かべる。


「どうかしましたか?」


「いや、なんでもない」


 体を起こそうとすると、案外普通に起き上がれた。


 むしろ、前より気分がいいようにも感じる。


「シルバ、俺に何か変わったところはないか?」


 問いかけると、シルバはジロジロとヘイトの体を見たあとできっぱりと言った。


「ないです」


「そうか…」


「やっぱり、どこか体調が悪いのですか?」


「わからない」


 それが率直な答えだった。


 シルバが、俺とフェガリの間に何かあったのか問わないのは、気を遣ってのことだろう。


「心配かけたな」


 ヘイトが言うと、シルバはにっこりと笑った。


「いえ、ヘイト様が大丈夫なら、よかったです!」


 さて、これからどうするか。


 選択肢はそれほど多くない。


 フェガリを追うか、それとも次の人間の町に向かうか。


 どちらにしろ、行き着く先は同じになりそうだが。


 ふと、フェガリの去り際のことを思い出した。


 あの口元は、確かに何か言っていた動きだった。


 何を言っていたのか…。


 どうしてもっとよく見ておかなかったのかと、過去の自分が悔やまれる。


 ともあれ、やることは決まったようなものだ。


「シルバ」


 剣をもたげて立ち上がったヘイトを、シルバは見上げた。


「はい」


「次の町へ行くぞ」


「はい!」

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