フェガリの回想3
ある日、私たちは古い戦場跡を通りかかった。今は所在もわからない、どこかの豪族たちが争った跡地だ。
そこには、無残にも戦いで散った者たちが魔力を得て甦った、グールと呼ばれる魔物が多数生息していた。
見た目こそ醜いが、グールは一般的に、人を襲う魔物ではない。主食とするのは生き物の死骸で、場合によっては知能が高く、話せる個体もいる。
私たちはグールを不用意に刺激しないよう、静かにそこを通り抜けようとしていた。
そこに現れたのだ。王国の派遣した、魔物討伐の部隊が。
辺りは再び、戦場と化した。
魔物の中でも頭のいいグール相手に、兵士たちは多少苦戦を強いられていたようだが、それでも武装した集団にはさすがのグールも敵わなかった。
次々と殺されていくグールを見て、私は胸が痛んだ。
そのとき、彼が言ったのだ。「加勢しよう」と。
私も昔から、今のように力があったわけではない。それでも、彼が言うのだからと、武器を取ることを決意した。
私たちの旅は基本的に、何かと戦闘をすることはなかった。だから、彼の実力など到底知る由もなく、見たときは驚いた。
人を相手取る戦闘は初めてで、何度も死にかけた私を、彼はその度に救ってくれた。
味方を庇いながら複数人を相手に戦っても互角以上の強さだった。
ただ彼は、不覚を取った。
敵と味方の判別がつかないグールの一匹が、不意に攻撃してきたのだ。
彼は倒れた。
幸い、部隊に深刻な被害を受けた討伐隊は引き返したが、男は重傷を負い、立ち上がることすらできない状態だった。
「これも自然の摂理なれば――」駆け寄った私に、彼は言った。
「私は、君に力を託そう。私が生涯をかけて探し求めた、この世界の構成要素の一つだ…」
あの時と同じ光が、彼の手の中にあった。
私は光に包まれ、彼は息絶えた。




