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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第一章 最凶の魔物
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異心同体

 目を開けると、そこは変わらず町の空き地だった。


「シルバ…」


「ヘイト様!?」


 名を呼ぶとすぐに反応が返ってきた。


「どこにいるんだ…?」


「すみません、ヘイト様…、咄嗟のことで、その、どうしたらいいのか分からなくて…」


 声はするのだが、視界に彼女の姿はない。


「シルバ…?」


「あまり大声を出すと感づかれます。あのヒトたち、ヘイト様を運ぶ算段を考えているようです」


 声を潜めるシルバ。


「どこだ、シルバ…?」


「ここです」


 辺りを見る。仰向けに寝転んでいるので左右しか確認できないが、そこにシルバの影はない。


 少し離れたところでアンクランをはじめとする三人が話し込んでいるのが見える。


 …あの聖剣を持った剣士はどこだ?


「…?」


 左腕に違和感がある。妙に温かい。


 上体を起こすと、その訳を確認できた。


 シルバだ。


 彼女は腕の傷口を体で包み込んでいた。血を止めようとしてくれていたようだ。


 胸元の傷も同様で、矢は抜かれ、代わりに銀色の流体がカサブタみたいに覆いかぶさっていた。


「ああ、よかった…」


 シルバが安堵の声をもらす。


 いつものような人間の上半身を思わせる形を成してはいないが、たしかに彼女だ。


「心配かけたな、すまない」


「いえ、ヘイト様が謝られる必要などありません…。私こそ、何もできずに…」


 シルバの声はそこで途切れる。よほど責任を感じているのだろう。


 しかし、彼女の実力であの人間たちに立ち向かうほうが無理というものだ。


「もう、大丈夫だ。ありがとう」


 起き上がろうとして、ハッとした。


 傷を受けたとき、俺の体は魔力を消費して無意識のうちに治療を始めていた。だが、腕一本を形成できるほどの魔力がなかったために、気を失ってしまった。


 それがなぜか、今は普通に動ける。むしろ、戦う以前よりも体内を循環している魔力が多いように感じる。


「――!?」


 原因はすぐに分かった。


 シルバだ。


 左腕から流れ込んでくる大量の魔力。まるで第二の心臓でも得たかのような勢いで、絶えず魔力が送り込まれてくる。


 不思議なのは、その魔力はシルバから送られてきているはずなのに、妙に体に馴染んでいくことだ。他者の魔力を借りることも不可能ではないが、自分が生み出したものでなければ最高のパフォーマンスを発揮できない。魔力にも質に違いがあるからだ。


「お前、大丈夫なのか…?」


 恐る恐る声をかける。


「えっと、何がでしょうか…?」


 シルバ自身に疲労やそれに準ずる症状は出ていないようだ。


 ――本当に、彼女は不思議な存在だ。いつも救われている。


「もう、大丈夫だ。これだけの魔力があれば、左腕の再生もできるだろう」


「本当ですか、よかった…」


 シルバが腕から離れようとするのを見て、ヘイトは左腕に魔力を集中させた。


 体の一部が欠損した場合の再生には少しコツがいる。元の形を創造しなければならないからだ。


「…あれ?」


 目を閉じて左腕の原型を思い浮かべていたヘイトは、シルバの声で目を開いた。


「お、おい…」


 腕はもとの形に戻っていた。


 …が、色が変だった。


「銀色…」


「ヘイト様、これはどういうことでしょう…?」


 しかも、シルバの声で喋った…。


 というか、これはシルバなのか…?


 ヘイトは、シルバと合体してしまっていた。

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