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クリスタルタワーの魔将軍 ~最凶の魔物の復讐劇~  作者: 鹿竜天世
第三章 主なき番人と世界の守護者
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双璧の激突

 グランの刺突で体を貫かれたのは、シルバだった。


「かっ・・・」


 掠れた声を上げるシルバ。


「ヘイト様、しっかりしてください・・・」


 剣は確かにシルバの体を貫通している。


 しかし、その刃はヘイトに届く前に止まっていた。


「シルバ・・・」


 無情にも引き抜かれる剣。


 シルバは左腕から分離し、そのまま床に広がった。


「シルバ・・・?」


 呼びかけても返事はない。


「キャハハハ!! やったやった! あのキモいのを倒した!」


 歓喜するキャルル。


「さあ、あとはお前だ、身の程知らず! 絶対にぶっ殺してやるからな!」


 その時、自分の意思とは関係なくヘイトの体は動いた。


 瞳に魔力が集まり、赤い光線が視線の先に発射される。


「ギャアアアァァァ!!!」


 的になったキャルルは右の翼を貫かれて絶叫した。


「なにすんだよ、この野郎!!」


 それでもまだ魔法か何かで宙に浮くキャルル。


「グラン! 手加減すんな! 殺しちまえ!」


 呼びかけに呼応するかのように、グランが動き出す。


 対するヘイトも、悠然と向かっていく。


 大剣と大剣がぶつかり合い、金属の連続音が鳴り響いた。


 衝撃で空気が振動し、頬にビリビリと伝わってくるほどだ。


 お互いに一歩も譲らない攻防が繰り広げられる。


 両腕で武器を振るうグラン相手に、隻腕のヘイトは互角かそれ以上にわたり合った。


 次第に両者の剣が対照的なオーラを放ち始めたとき、ひときわ大きな衝突が起こった。


 光と闇の激突によって巻き起こった衝撃波が 家具はおろか床や壁、天井までもを破壊していく。


 崩壊の最中に距離を取るヘイトとグラン。


 吹き抜けた天井から、暗雲垂れ込める空が顔を覗かせる。


「いつまでチャンバラやってんだよ!」


 怒号を上げるキャルルをヘイトは見据えた。


 まばゆい光を放つ聖剣グラントを掲げたグランと、禍々しいばかりのオーラを発する邪剣ケラプディスをもたげるヘイトは再度相対した。


 次の激突で勝敗が決する。


 ヘイトはそう察した。


 両者の足が動き出す。


 その速度は加速度的に上がっていき、瓦礫の真ん中で衝突した。


 グランの薙ぎ払いを屈んで避けたヘイトは、そのままの体勢で回転し、相手の足元を同様に薙ぎ払う。


 常識外れの跳躍力で飛び上がったグランは、落下の勢いとともに剣を振り下ろす。


 ヘイトは前転してそれを回避すると、振り向きざまに敵の背後目掛けて剣の先端から魔力による弾丸を複数放った。


 咄嗟に身を翻したグランは迫りくる弾丸の一つを一刀両断した。


 精度に欠けた残りの弾丸は彼女に当たることなく逸れていく。


 大股で歩み寄ってくるグラン。


 だが、ヘイトは動じなかった。


 一切の容赦なく、冷酷無比に振り下ろされた聖剣がヘイトに届こうかというとき、異変が起きた。

グランの動きが止まったのだ。


 それとほぼ時を同じくして、叫び声をあげた者がいた。


「ギャアァァッ!」


 キャルルだった。

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