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57話 セカの町3

目を覚まし、シリカに着替えの手伝いをしてもらう。


「か、可愛いですっ……神子様」


「ありがと……出来ればかっこいいって言ってもらったほうが嬉しいけどね……」


どうやら、シリカにとって僕は可愛い生き物にカテゴライズされているのか、一度もかっこいいと言ってくれない。今も僕を見詰めて、目をキラキラさせている。


確かに、ベロニカ様の服は豪華でありながら悪趣味にならない上品な雰囲気を醸し出しているから、何度着ても気持ちが引き締まる。


僕もこの服装に見合う貫禄を早く身に付けたいものだ。


……出来れば、可愛いではなく、かっこいい方で。


僕は着替えを終えると、みんなを部屋に招き入れた。星騎士ステラー勢揃いだ。


今日は忙しいので、卵に魔力を込めつつ、みんなに向き直る。


「おはようございます。お綺麗です主様」


「おはようございます。素敵です神子様」


スーニャとライオット様が競い合うように褒めてくる。本当に君たちは……。やっぱりかっこいいとは言われない。


「おはよ。……ん、かっこいい」


「ドロシー! うんうん! おはよー!」


思わず、ハイテンションで挨拶してしまった。


やっぱり持つべきは、ドロシーだよ。


「なっ……そちらが正解でしか……」


スーニャが悔しそうにドロシーを見やる。心なしかドロシーがドヤってる雰囲気を感じる。


他の面々も挨拶と褒め言葉を述べてくる。これではまるで僕がナルシストみたいじゃないか。


カルスとキントの二人には既に、今回の件を他の面々が説明済みだ。


「出来ることなら、今日中にネーティ司祭を捕縛する証拠が欲しいところだね。滞在日時は明日の朝までだから」


「その場合だと、現行犯が確実ですね……」


ライオット様が渋い顔をする。現行犯ということは、シスターの誰か、もしくは複数人がまだ辛い思いをするということだからだ。清廉潔白な騎士として生きてきたライオット様だからこそ、渋くもなる。


「主様が望めば滞在を伸ばすことも出来るでしょう……ですが、その場合は、相手が慎重になる可能性もありますね」


「うん。一度、街を出た後に、近場で待機するのも考えたけど、予定通りに次の村に着かなかったら、それで問題があるし」


いっその事、ユリア姉さんに連絡して、代わりに罰して貰うにしても、時間が掛かるし、逃げられる可能性もある。


「文字通り短期決戦っすね!」


「自国でこのようなことが起きるなど……くっ。なんという愚か者だ」


気合い十分なキントと、責任感が強いカルスが苦い顔をする。


魔力を込め終えた卵を荷物の中に隠して、ドロシーに指示を出す。


「ドロシー。無理しないでね」


「……分かった。がんばる」


一瞬でその場から消えるドロシーの無事を祈りながら、部屋を出る。






「本日はよろしくお願い致します」


「はい。よろしくお願いします」


ここまでか……案内人すらシスターとは、本当に僕達が何も気付いていないと思っているのか?


彼女も例に漏れず、身体がボロボロだ。回復魔法で治せるだろうに、それすらも許されていないのだろうか? それとも、この町には、回復魔法に長けた者が居ないのか? いや、居ても彼女達は頼れないか。シスターの身で、司祭に犯されていることは誰にも言えることではないな。


ドロシーの報告次第だけど、恐らく、神殿で居る者たちのほとんどはこの件に関与していると思う。町の雰囲気も悪くないことから、あの司祭は表、善良な司祭として振舞っているのだろう。


……何故これほどの振舞いができて、このような事をするのか。


シスターに案内されて、ガラスの工芸品を作る工房に入る。


大陸随一の職人ということで、非常に職人気質の強い人だった。


息を吹き込む筒の先に熱したガラスをくっ付けて、息を吹き込むと風船みたいに膨らむ。


テレビで見た事あるけど、異世界でも作り方はほぼ同じか。違いがあるのなら、工程に魔法を使うかどうかだ。


その後は、出来たガラスの瓶に細かい柄などを筆でなぞり、そして冷やす。


出来上がったものは、美しい瓶だったけど、これがオシッコする瓶だと教えられなかったら、もっと素直に感動出来ただろうに。


その間も、ロイドさんにアイコンタクトするも、本人は首を横に振る。どうやら、接触は無しみたいだ。


その後も、ガラス工房に近い、工房を幾つも回って、楽しむことは出来た。ネーティ司祭の件が無ければ、心の底から楽しめただろう。職人の人達には悪い事をした。





夕方、神殿に戻り部屋に戻ると、ドロシーが姿を現した。


「おかえり。無事で良かったよ。……それで、どうだった?」


「接触は無し……だけど、今夜楽しむって独り言を言ってた」


「それはまだ……今夜はアイツと合う予定は無いから、深く考えなければシスター達が呼ばれるということになるのかな?」


「おそらく」


「そっか。なら、申し訳ないけど、夜はアイツを見張ってもらっていい? こちらは、ロイドさんにシスターと司祭が接触したら知らせてもらって、そこに向かう準備をするよ。ドロシーはアイツがシスターに何か法に触れることをしたら真っ先に戻ってきて欲しい」


「……了解。いく」


「うん。気を付けて」


影のように消えるドロシーを見送り、風呂などに向かい、その時を待つ。


もうこれ以上、シスター達を玩具のようにはさせないぞ。覚悟しろ。

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