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4話 初めての魔法

年月は残酷に流れていく。


僕が転生という名の新たな生を授かってから、4年。


小心者ベイビーは小心者ショタにジョブチェンジ。


身も心も成長しました。


あんなに苦労した二足歩行もなんのその。


ショタボイスにも滑らかさが備わり、まさに世界に適応したと言っても過言じゃない。


両親は相も変わらず、この小心者にご執心。


僕に遠慮してるのか、はたまた別の要因なのか、第二子が産まれない。


兄弟が欲しいです。


前世では末っ子だったゆえ、長男ムーブをしとうございます。


もうしょうがないなあと言って世話焼きたい。オムツ替えてあげる。ほら痛いの痛いの飛んでけやおらあ!とかしてみたかった。


今度、そことなく尋ねてみよう。


ねえねえ、赤ちゃんはどうやって産まれるん?


パパとママが夜にやってるプロレスごっこと関係あるん?


両親のあたふたする姿が容易に想像できる。


魔力に対しても新着がありました。


今現在、小心者ショタの体には魔力がとめどなく循環しております。


毎日の修行の成果でございます。


最初の頃は1分も持たなかったのに、今は上限がありません。


魔力量が増えたってよりも、体に魔力を留めることに慣れた感じ。


魔力量はどうだろう。


久々にマナちゃんに会いに行こう。


最近は両親の畑仕事にも参加して、ニート脱却の1歩を歩みだしました。


といっても、職業欄には、家の家事手伝いと記載することになるでしょう。


ニュアンス的にニートと遜色ない。


はやく真っ当な仕事に就きたい4歳児でございます。


何度も足を運んだ…………なんだっけ?この世界にも名前を付けた気がするけど。


まあ、いっか。


『僕とマナちゃんと魔力とそれから』とかそんな感じでいいや。


相も変わらず庭園にてお紅茶を啜る美少女。


服装はこの数年でバリエーションが2桁に及んでおります。


今のマナちゃんは、巫女さんです。


下着は付けないという都市伝説がある、巫女服です。


そういえば、この世界にはケモ耳を搭載した種族は居るのだろうか。


ケモ耳巫女見てみたい。


やはり狐耳だろうか。


コンコンと鳴くのだろうか。


今から世界に冒険しに行くのが楽しみでなりません。


前世で冒険に行くは、現実逃避と捉えられていたからね。


巫女服のマナちゃんに近づく。


「久しぶり元気してた?」


まるで長い付き合いの友人に接するような態度である。


リアルではですますの敬語以外を使わず定型文をなぞるようなコミ障らしかぬイケイケっぷりである。


相手が存在しない空想の存在だからなせる技である。


前世でも女友達という響きに心躍ったとのだ。


ついには女友達どころか、男友達すらできなんだ。


僕の傷心した心を察したのだろう。


マナちゃんがニコって微笑む。


「久しぶりね。貴方が元気にしてるのなら、私も当然元気よ」


人によっては勘違いしそうな言葉である。


僕から生み出されたマナちゃんは、僕と一心同体。


そりゃあ僕が元気にやってるのなら、彼女も当然元気だよね。


椅子に座りマナちゃんに入れてもらったお紅茶を啜る。


祝福のひと時。


飽きないようにマナちゃんワールドには、間隔をあけて来てるからね。


存分に美少女とのお茶会を堪能すれば、本題に移ろう。


「ばあさんや」


「なにかしら、おじいさん」


「わしはもう若くない」


「そうね。保険金はしっかり受け取っておきます。私がおじいさんの分まで生きるわ」


まさか保険に入っていたとは。


そしてマナちゃん1人で生きようとしてる。


酷い!鬼畜!薄情者!美少女!


「…………貴方が始めた茶番なのだけれど」


「サーセンした!」


今回は今までとは違う手応えを感じているからこその、おふざけである。


「マナちゃん」


「ええ」


「魔法使える?」


「そうね」


どっちとも捉えられる物言いである。


だが僕もマナちゃんもニヤニヤしている。


確信しております。


「今なら回復魔法を使えるよね」


「ええ。その通りよ。よく頑張ったわね、ご主人様」


うるっとした。


マナちゃんに褒められた。


嬉しゅうございます。


僕は席を立つ。


そしてマナちゃんに背中を向けて歩き出す。


「もう。行くのかしら?」


「うん。少しばかし、非現実ってやつを味わってくるよ」


尋ねる美少女に答える小心者。


いざ参らん!


ようやく魔法が使える。やっほーい!







現実世界に戻った僕は、瞑想する。


体に流れる魔力を均一にならす。


「よし!」


やることはした。


最善を尽くした。


努力は裏切らないと信じたい。


手をかざして、脳裏に浮かぶは、脳みそSSDに保存した数百枚の魔法陣。


緑色してたな。


緑色の光をイメージする。


円形してたな。


光を薄っぺらいディスクの形に変える。


意味不明な言語が刻まれてたな。


ディスクの中側を型抜きのように、穴を開けていく。


魔法陣の中に文字が浮かび上がる。


その形、色を何度も消しては、浮かべてを繰り返す。


狙うは1発成功。


人事を尽くして天命を待つ。


さあ。いくぞ!


「…………『小回復(ライトヒール)』!」


…………何も起こらない?


と思った瞬間。

体から魔力が抜ける。


血が引いていく感じに近い。


途端に手のひらから、光が。


緑色の光。


浮かび上がる幾何学模様の魔法陣。


おおおお!


かっけぇ!


魔法!今、わたくしは魔法を使っております!


胸が達成感と興奮に占拠される。


だが、次の瞬間には魔法陣が消える。


「ああっ!」


諏訪失敗か!と思ったけど、よくよく考えたら、回復魔法なんだから対象が居ないと意味ないじゃん。


でも魔力がごっそり減ってる。


ねむたい。


程よい睡魔と疲労感から、ベッドに横たわり意識を手放す。


ああ、いい夢が見れそうだ。







初めての魔法を使ってから1晩が経ち、場所はマナちゃんのいる庭園。


マナちゃんと喜びを分かち合いたかった。


「やったよ!マナちゃん!」


「ええ。よくやったわ。おめでとう」


普段澄まし顔のマナちゃんも嬉しそうだ。


「でも慢心してはいけないわ」


だが、マナちゃんはすぐにキリッ!と表情を改めて僕に向き直る。


興奮を抑えて僕は彼女の正面の椅子に腰掛ける。


「貴方は1度の魔法行使で魔力が枯渇しかけた。それは理解してるわね?」


「うん。アレックのおじ様が何ともなかったのに、僕はごっそり魔力を持っていかれたよ」


理解度の問題だろうか。


効率の問題だろうか。


純粋に魔力量の差か。


でも達成出来ると分かれば、どんな障害も障害にならない。


「だから貴方にはこれから毎日『小回復(ライトヒール)』を使って魔力を枯渇寸前にしてもらうわ」


ベイビーの頃に決めた方針である、魔力を消費して上限を底上げする。


これがようやく実行出来る。


恐れはない。不安もない。


何故なら目の前の彼女が自信に満ち溢れているから。


それはつまり、僕自身が結果を確信してるから。


この方法で魔力量は必ず増える。


この4年間での経験が物語っている。


まあ、いざ予測が外れたのならば、アレックのおじ様に教えて貰おう。


身近にいる魔法使い最高。





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