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139話 新大陸23

「と、言っても時間がある程度余っているから、少しご飯に行こうか?」


約束の時間まで一時間以上ある。


「ご主人様」


シャルルからの無言の圧力。


「分かってるよ〜シャルルの食べたい物を食べに行こう」

「かしこまりました!」

「ちょっと待ってくれ、ボス」

「どうしたの?」

「シャー!」


トムさんが止める。シャルルが威嚇する。


こらこらやめなさい。


「流石に奴隷を主人と同じテーブルで食わせてくれる店は無いと思うぞ」

「…………あ。みんなが奴隷だって忘れてた〜あはは」


普通に立ち上げる会社の社員みたいなノリだった。


「オーナーらしいわねぇ」


トワさんは僕をオーナーと呼ぶことにしたみたい。


でも、困った。


僕は彼らを下に見るつもりなんか無いのに。


『いっそのこと幻影(ミラージュ)で首輪を見えなくすればいいんじゃないかしら?』

(なるほど! その手があったか……って、法律に違反してたり)


聞いてみよう。


「トムさん。首輪って隠したりしたらダメ?」

「そんなことは無いぜ。奴隷は人に危害を加えることを禁じられているから、安全なんだ。主人が許可しない限り。まあ、その時は許可して人を害した場合は主人に責任が及ぶけどな」

「なら奴隷という身分は明かさなくてもいいの?」

「ああ。主人が知ってればいい。大抵の奴隷は首元をスカーフとかで隠しているけど、分かるやつには奴隷だって分かるからな」


そりゃあ、スカーフを付けてたら首元に何かあるのかと睨まれるよね。


スカーフの風評被害が凄いけど。


「それじゃあちょっと待って」

(マナさんやーい。いい感じの魔法をお願いします)

『もう、ある程度完成しているから少し待って』

(仕事が早すぎるぜ!)


傍からは僕が腕を組んでうんうん唸っているように見えるだろうなぁ。


『出来たわ。幻影(ミラージュ)と一日一回のリフレッシュとそれらの魔法を維持する為の魔力蓄積回路と魔力収集回路を付与する複合魔法が出来たわよ』

(てんこ盛りだね!?)


ものの数分で作ったものとは思えないよ。


さすがは魔力の精霊!


「みんなじっとしててね……付与(エンチャント)

「うお! 首輪が見えなくなったぞ?」

「触れるのに不思議だねぇ〜」


これはミゥには見えないんだ。


「それはね、僕の魔法で見えなくしました。あと、一日に一回綺麗にしてくれる魔法も付いてるから首周りは清潔になるよ」

「そんな魔法をあっさり使ってしまうなんて……お前、本当に何もんなの?」

「神のみぞ知る……なんちゃって」

「ねぇ、オーナー。そんな魔法を発動するには魔力が必要よね? どうやって供給しているのかしら? わたしの体からは別に魔力を吸われている気がしないのだけれど。魔石を使っているなら分かるのだけど」

「ああ。それなら魔力を直接周囲から吸収してそれを貯められる魔法回路を使ったんだよ」

「なによそれ!? 世紀の発明じゃないの!?」

「気にしない気にしなーい」


説明とかめんどくさいのでパスです!


そもそも、この蓄積回路は副産物で本命が他にあったんだ。それに収集回路はマナにしか組めない魔法回路だし。秘密が多いのです。


「……改めてオーナーの規格外さを身に感じたわ。わたしより貴方の方が発明家じゃないの」


僕は魔法特化だし、そもそもマナたちの力を借りているからね。


「それじゃお昼を食べに行こうか!」


ついでにみんなの服を買いにも行く。



お昼を済ませて、みんなの服も買って来ました。


ヒュースさんは執事服こと燕尾服。イケメンは何を着てもイケメンでした。


アルシアさんはメイド服ことエプロンドレス。目つきの悪さと口の悪さに目を瞑れば美少女メイドさんだ。


トムさんは黒一色のポケットだらけの服。その上に分厚いコート。裏仕事に関わってること隠せるの? むしろアピールしてない?


トワさんはドレス服に白衣を羽織るスタイル。男性なのに素足がすごい綺麗なんだけど、やっぱり生まれてくる性別間違えてない? 今度メガネを贈ってみようかな?


ミゥはゴスロリ。僕の趣味だって? あはは……。クマのぬいぐるみも買ってあげたよ! ぎゅっと抱き締めてニコニコしていて可愛すぎるぜ!


シャルルは総括ですからと、上品そうなブラウスとロングスカートです。お嬢様みたいで少し見蕩れましたけど絶対に言いません。


奴隷だと知られてないからか、みんな注目の的でヒュースは女の子たちに話しかけられ、アルシアさんは男共に。渋いトムさんはマダムたちに。トワさんは色気が半端なくて男性も女性も見惚れる。シャルルやミゥはロリコン共が近付こうとしたから、威嚇しといたよ! シャー!




それから二週間は目まぐるしい日々でした。


ヘンリーさんが連れてきた三十人余りの奴隷さんに加えて、エバン君からのお金で更に手当り次第に奴隷さんを買い漁る。


お陰で百人を超えました。


僕はこの人たちを養う義務があるわけです。


取り敢えず沢山の魔石をヘンリーさんに渡しておいた。いずれは僕の方も店舗を構えて商品を売っていくからそれまで頑張って欲しい!


奴隷の人達は要望通り、老若男女問わずで赤ちゃんから老人までいる。


大半は村の食い扶持を減らすための村民だけど、中には借金で奴隷落ちや、騙されて奴隷にされたりと本当に色んな理由から奴隷になった人ばかり。


赤ちゃんはお母さんに背負われ一緒に奉仕部に。老人さんは同じく奉仕部だけど、こちらは庭師。


なんと、元商人の女性も居るので彼女には商会の運営を任せたい! 何でも商品の仕入れで雇っていた人に商品と金を持ち逃げされて、そのせいで借金を作り返せなくて、奴隷になってしまったと。酷い話だ! 是非ここでその商才を発揮してください。それまでは開発部預かりでお願いします。


そして元冒険者の女性。なんと仲間に騙されて罪を擦り付けられたと。彼女は関与してなかったらしいけど、仲間たちがやばい仕事に手を出して、失敗。その結果、損害賠償の保証人に勝手にされて逃亡。結果は奴隷落ち。さっぱりした性格なのか爽やかに教えてくれたけど、そんな笑顔で語ることじゃないよ!

彼女には警備部の副隊長としてミゥのフォローをして欲しい。というより変わりに警備部の管理任せた! ミゥは癒し担当兼ラスボス担当です。


あ、元娼婦の人。僕を誘惑しないで掃除を頑張ってください。えっ……下のお世話ですかだって? うんなわけねぇーだろ! 普通の掃除してこい痴女が! って、言っても性奴隷として売られていたみたいだから、しょうがないのかなぁ。ここでは普通の女性として生きて良いんだよ。病気を持っていて誰も買ってくれなかった。買ってくれてありがとうと泣かれながら言われたっけ。直ぐに病気を治してあげたら痴女化したから少し後悔してます。


他にも掃除の代行をしていた人や、門番経験のある人などなど。個性豊かな人達が僕の元に来てくださいました。


そして、商会の名前が決まったよ。


ヘンリーさんの協力もあって、正式に商人組合に登録。


メシア商会。ちょっと宗教チックな名前だ。


みんなに笑顔の花を! だからスマイルフラワー商会とかどうよ? と提案したら幼稚園児か! とマナたちにツッコミをいれられたので、無難に。


後見人はヘンリーさんが担ってくれるからすんなり登録出来た。ヘンリーさん様々です。


魔石はこれまで通りヘンリック商会に卸します。


メシア商会はみんなが楽しめるものや生活が豊かになるような物を作っていく所存。


裏メニューみたいなもので、浮浪児たちに貧民街の人達から入手した情報を売買したりします。


これからも継続的にお金を渡すので浮浪児のボスが彼らをまとめて欲しい。言わば雇われの諜報員 (仮)みたいなポジション。


トムさん曰く、情報を売る手段はいくらでもあるから、軌道に乗れば定期的な稼ぎになるとのこと。


現在、奉仕部は毎日仕事があるので絶賛活動中。ここには元主婦や下女や下男経験のある人たちが屋敷の掃除や洗濯をしたり、買い出しから料理まで多岐にわたりやることが盛りだくさん。アルシアさんやヒュースさんも他の人達の仕事を見ながらやれることを増やしている。まあ、アルシアさんはたまにサボってるけど。


諜報部はトムさんが素質ありそうな人達を育成中。それと同時に既に裏社会を知っている人達が居るので、彼らには王都を歩き回って情報を売る情報屋として名を売ってくる仕事を与えているようだ。


開発部は商会の運営も込みになるので、徐々に忙しくなる予定。トワさんは魔石を使わないような物を作って誰でも手に入るような便利グッズを作成中。手先が器用な人達が完成品を増産するべく頑張っている。一段落したら僕が教えたボードゲームの制作に乗り出してくれるそうで楽しみだ。


警備部は少数精鋭。というよりまだメンバーが少ない。大抵は奉仕部か開発部に持っていかれるし、腕に覚えのある人はトムさんが持っていく。その為、脳筋さんが少しづつ増えていっている感じ。それを副隊長の元冒険者の女性がまとめて巡回や訓練など細かい流れを決めていく。


ならミゥは? と言えば僕のアドバイスを元に召喚されたお友達改め、召喚獣のバリエーションを増やしている。やはりイメージ力が大事みたいで、今はぬいぐるみそっくりな召喚獣が多い。可愛い見た目なのに凶暴なのは変わらないけどね。


そしてミゥにアドバイスしながら、僕はマナたちと一緒に御屋敷の魔改造に全力を尽くした。結果! 御屋敷とその庭。つまり敷地全てが亜空間化しました!


元々広かったけど、見た目以上に広げられます! 門から一歩でも敷地に踏み込めばそこには広大な庭と外じゃ見えなかった複数の建造物の数々。


実は新魔法による産物です。詳しいことはいずれ。


開発部により大量生産を見越して簡易的な建物を沢山作っておきました。


諜報部の為に少し離れた森から木々をごっそりパクってきて植えて、プチ森林によるサバイバル。


警備部の為の訓練所と詰所を複数。あとミゥ専用の練習所。そこはミゥと限られた人だけが立ち入っていい。理由はミゥの召喚獣の性能テストしてて危ないからね。


奉仕部の管轄での元農夫や牧場経営者達の為の農地や牧場。果てには池まで完備! 目標は自給自足とメシア商会のブランド商品!


澪の要望でより高度な建造物を作りたい! と言うことなので建築関連の奴隷を沢山欲しいとヘンリーさんにお願いします。


雛の要望により、花園を作る予定です。優先順位は低めだけど、みんなの憩いの場を作りたいとのこと。うちの妹がいい子過ぎだ。


ライアの要望により、料理本を複数取り揃え、料理人たちに本を読める程度の勉強会を実施し、日々の料理のレベルの向上。そして、子供達にも読み書きの勉強会を開いて立派なメイドと執事に育て上げるとのこと。流石に将来は好きなことさせてあげて欲しいです。


時雨と空音は特に要望はないけど、この魔改造には二人の力をフル活用したからか満ち足りているようだ。最近は良く二人揃って精霊の箱庭を探索しているようです。曰く広がり続けているみたい。僕の精神世界の筈なのに……。


マナは今も思いつく限りの魔法を施し、この屋敷を世界一の安全地帯にすると息巻いている。僕の安全の為と言っているけど、一度思いっきり魔法を使いたかっただけだよね?


この屋敷の広域展開された設置型魔法はこの屋敷に住む住民全員から睡眠時に少しだけ魔力を分けてもらうことで維持できている。マナ曰く人数が増えれば増えるほど改造の幅が増えるから、はよ奴隷を増やせとのこと。まだ改造し足りないようで僕は怖いです。


そして総括としてのシャルルは非常に忙しく働いていた。奴隷のみんなに僕の代理人と告げているからか滅茶苦茶頼られたり相談されたりと引っ張りだこだ。たまに調子に乗るけど、そこも愛嬌というものだろう。


エバン君から手紙を貰いました。どうやら僕がやったことを知ったみたい。今は遊びに来る余裕もないぐらい忙しいらしい。イヴちゃんは目が見えていることを隠しながらエバン君のサポートに尽力しているとのこと。二人とも落ち着いたら遊びに来るとの事。質問攻めの間違いじゃなければ良いなぁ。


みんなそれぞれやるべき事が分かってきたみたいだし、それぞれの部署のトップ達も頼りになるして、そろそろ僕も息抜きに冒険者活動に行きますか。

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