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128話 新大陸12

「それじゃあ、自己紹介をしようか」


魔石問題も解決? した翌日。

朝に食事をしていたら、同じ宿に泊まった年上の冒険者の男性に誘われて、一度だけこの宿に泊まる冒険者達でパーティを組まないか? という誘いを受けた。


みんな星一から抜け出したばかりの新人さんだ。

装備だって中古のお古や、防具を身に付けていない舐めた野郎も居る。まっ、僕の事だけどね!


僕以外は、少ない収入を切り詰めて、装備を買い集めているようだけど、僕は剣以外は非常にラフな格好だ。

そんなこともあって、他の人達に呆れられるような目線を向けられた。


「今回、このパーティを組むことを提案した星二冒険者のアボだ。職業は剣士。よろしく」


この中で最年長と思われる二十代前半の男性がアボさん。


「俺も同じ星二で盗賊のエゾだ! よろしくな!」


自信に満ち溢れた十代後半の青年がエゾさん。


「おれとコイツは同じ村から来た幼なじみです。星二になったばかりなのでよろしくお願いします! ……あ、弓士っす」


慣れない敬語を使う、十代後半に入ったばかりの少年が……あれ? 名乗ってなくない?


「はぁ……名前を名乗らなかったコイツはイソであたしは槍士のウリです。以後よろしく」


呆れながらぶっきらぼうな挨拶をするイソさんと同い年と思われる少女がウリさん。


「最後は僕ですね。皆様、何度かお見かけている方もいると思いますが、アボさんと同じく剣士で、イソさんとウリさんとほぼ同じぐらいに星二になりましたアーサーと申します。この度はお声掛け誠に有難うございます」


うん。僕が一番緊張してましたわ。


思った以上に堅苦しい挨拶になっちゃった。


ほら、みんな黙っちゃった。


パーティを組むなんて、ほぼ初めてだもの。

神子オフモードの僕にはこれが精一杯だ。


「お、おう。よろしくな! みんなも」


アボさんが一番に再起動して場をまとめる。


僕はその間、努めてニコニコしていた。


「俺の目的は脱星二だ。みんなも同じ気持ちだと思いたい。このパーティは星三になるまでは協力しあえると思うんだ」

「まあ、そうだな。正直、星二になったらもっと余裕があると思ってたぜ」


エゾさんが同調し、みんな頷く。僕も頷いておく。


「いい加減、具がいっぱい入ったスープが飲みたい」


ウリさんの魂の籠った言葉に、僕も深い頷きをする。


予算内で何とかしてくれているんだろうけど、やはりあの食事だけでは体が資本の冒険者には辛い。


「俺、肉の串焼きを腹いっぱい食いたい」


イソさんがお腹を撫でながら零す。


「そんなこと言ったら、俺だってエールが飲みてぇよ」

「俺は果実を頬張りたい!」


みんな食べたいものがあるのか、あれもこれもと話題が盛り上がる。


初対面だけど、境遇は同じだということもあり短期間で仲良くなれる。


僕は言葉少なめにやり取りを眺める。


僕は前もって、誘ってくれたアボさんに、今回だけの参加だと伝えている。


アーサーでの僕は、普通の冒険者として活動する予定だけど、それはあくまで目立たないようにする為だ。


ソロモンの方が順調なら、最悪アーサーとしての僕は消える。


冒険者として何気ない日々を暮らすのも楽しいけど、あくまで僕は神子として元いた場所に戻る事が最優先だ。


そのついでに賢者やダグラスを見つけたら倒して罪を償ってもらおう。


(賢者が諦めて、余生を過ごしてくれるならそれが最高なんだけど)


半世紀以上も執念を燃やして生き続けてきた男が一度の失敗で諦めると思えない。

きっと、どこかで暗躍している筈だ。


だから普通の冒険者としての活動はこれで見納めかもしれない。




翌日の早朝。


今回パーティを組むことになった面々と町から出て、森に向かう。


昨日、その後パーティのリーダーになったアボさんが狙い目の依頼があると話し、みんなで冒険者組合に行き、残った依頼を受注。


依頼はゴブリンの巣掃討。星三相当の依頼だ。


本来なら星二しか居ない僕達は受けられないけど、パーティなら別らしい。


星二、五人で構成されたパーティなら星三の依頼も受けられるという。


アボさんが先輩冒険者から聞いた話らしい。


それを聞いたアボさんは、星三に早くなれるチャンスだと急いで僕たちを呼んだのだ。


今回の依頼はゴブリンの巣掃討。人類の天敵。ゴブリン。


生産性もなければ、旨味になる要素も一欠片も持ち合わせてない癖に、人を率先して襲ってくる嫌われ者。そして人間以上に繁殖力がある為、いくらでも湧いて出てくる。


旨味は無いため、ゴブリン系の依頼はみんな人気がない。


人的被害が出ているなら、依頼料も跳ね上がるけど、今回は早期発見された巣なので、まだ被害は無く依頼料は五等分したら雀の涙ほど。


被害がないのは喜ばしいけど、命を張っている冒険者からしたら、受ける価値がない依頼なのだ。


残った他の星三依頼は? と思えば、採取系はどれも遠出する必要があったり、専門の知識が必要なものばかりだ。旨味のある依頼は朝の冒険者たちがもぎ取ってしまう。


朝の争奪戦に参加するより、旨みが少なくても星三依頼をコツコツ達成した方が最終的に早く昇級するとアボさんが判断し、みんなも納得した。


森の草木をかき分けながら、進む面々は余裕綽々だ。


そりゃあ、そうだ。

ゴブリンなど、何度も討伐したのだから。


これから倒しに行くのは、未知でも強力な魔物でもない。


倒し慣れたゴブリン共だ。


何なら雑談しながら突き進む。


(やっぱり経験や練度の差が出ているね)


星六冒険者パーティであるアレスさん達は、近場の森でも一切気を抜かずに最大限の警戒をしていた。


同じように進みながらも、みんな前しか見ておらず、左右後方などを確認したりしない。

一人なら確認をしているだろうけど、パーティを組んでいることで気が大きくなっているのだろう。


最後尾に居る僕は魔力領域(マナテリトリー)を敢えて使わずに自分の目で異変がないか周りを見渡しながら進む。


冒険者として浅い経験しかない僕には生い茂る草木しか分からない。

足元を見ても木の根っこや落ち葉ぐらいしか見つけられない。


探索能力の低さに溜息が零れそうになるのを堪える。


依頼にある程度の場所が記されていることもあり、程なくゴブリンの巣になっていると思わしき洞窟を発見する。


「思ったより狭そうだな」


横幅五メートルぐらいしかなさそうな洞窟だ。

大の大人が二人肩を並べて進めるぐらい。


「一丁前に見張りなんか置きやがって」


エゾさんが悪態をつくように指を指す。


指先を辿れば地べたに座り込む二匹のゴブリン。


粗末な棍棒と槍を傍らに置き、ギャーギャー騒いでいた。


(ゴブリンにもゴブリンの言語があるのかな? それとも、魔物全体の言語かも)


ゴブリンは見つけ次第直ぐに倒していたから、こうやって観察するのは初めてだ。

要らぬ妄想を膨らめせてしまう。


「規模的に、上位ゴブリンは居ないと考えられるらしいぞ」


アボさんが依頼書の内容を思い出すように言う。


僕達は洞窟から少し離れた木々の中にしゃがみこんで潜伏している。


「居るとした?」


イソさんが少し怯えるように囁く。


「居てもホブゴブリン程度だろ。俺たちで囲えばわけない」


イソさんの不安を払拭するように自信満々に言い放つアボさん。


「取り敢えずどうするの?」


ウリさんがぶっきらぼうに言った。

彼女は会ってからいつもぶっきらぼうだ。


「そうだなぁ……」


アボさんが少し考え込む。


「取り敢えず、監視のゴブリン共を倒しておこう」

「二匹居るし、片方は俺が這い寄って、こう……グシャッ! と、始末してくるわ」

「分かった。頼んだぞエゾ。残った方は……イソ。弓で倒してくれるか?」

「お、おれ?」


呼ばれると思わなかったのかイソさんが驚く。


「逆になんて呼ばれないと思ったのよ」


ウリさんが呆れるようにイソさんの背中を軽く叩く。


「男見せなさい」

「うっ……わ、分かったよぉ」


イソさんは確実にウリさんの知りに引かれているね。


「よしっ。アーサーは何か意見があるか?」


ボケっと聞いていた僕にいきなり話しかけられたけど、予測していたので余裕でした。


「いしょしゃん……こほん。イソさんの矢がゴブリンに突き刺さったのを合図にエゾさんが残った方を始末するという感じでしょうか」


普通に噛んじゃった。


「お、おう。そうだな。それで行こう」


僕が噛んだことに触れてこなかったけど、気にしていないだけだと信じたい!


「おれが倒さないと……」


イソさんは弓をぎゅっと握りしめて、ボソリと言う。


「そんじゃあ、俺行ってくるわ」


エゾさんがのそのそと草むらをかき分けて消えていく。


「ほら、イソ。狙いつけて」

「わ、分かった」


イソさんがおもむろに膝立ちになりながら、ゴブリンに向けて弓を構える。


「い、いくぞっ!」

「えっ。まだはや」


エゾさんは移動したばかりだ。

もう少し待った方がと、声をかけようとしたら、イソさんはもう矢を放っていた。


ほぼ真っ直ぐに放たれた矢は、ゴブリンの肩に突き刺さり、ゴブリンが大声をあげる。


「ちょっ!?」


移動中だったエゾさんが慌てるように飛び出し、無傷のゴブリンの側面から攻撃を仕掛けたが、ゴブリンが咄嗟にガードするように構えた腕に短剣が突き刺さってしまう。

同じように二度目の叫び声が辺りに響く。


背後まで回れなかったのだ。

なるべくしてなったとも言える。


「ば、馬鹿野郎っ!?」


イソさんを怒鳴りつけるように吐き捨て、アボさんが飛び出し、剣を矢で負傷したゴブリンに振り下ろす。


ウリさんも追随するように短剣に切りつけられたゴブリンの胸部に槍を突き刺す。


「ぎゃっ!?」


絶命した二匹のゴブリン。


 安堵する間もなく、洞窟の奥から何匹もの武装したゴブリンが飛び出した。


「に、にげろぉ!!」


アボさんの言葉にみんな再起動したように洞窟に背を向けて走り出す。


「イソ! いくわよ!」

「お、おれのせいで……」


しょぼくれるイソさんの腕を引っ張って走り出すウリさんだけど、その一瞬の遅れでゴブリン達に迫られる。


「僕が殿を務めます!」

「ありがとうっ!」


イソさんを連れたウリさんがすれ違いざまに礼を言いながら走り抜ける。


先頭を走っていた一体のゴブリンの足に横払いの剣をお見舞して転ばせる。


「ぎゃ!?」


後続のゴブリンが転んだゴブリンに躓き、転ぶ。


「よしっ!」


僕はその結果に満足してみんなを追いかけた。




一心不乱に走り続けて数分。

みんな地べたに転がるように倒れ込み、ぜーぜーと息をする。


「おーい……はぁはぁ……生きてるかー?」


アボさんが生存確認をする。


一番先頭で走っていて、後ろを確認する余裕すら無かった様子だ。


「生きてるぞ〜」


フラフラと拳を振り上げて返事するエゾさん。


「イソとあたしも居るわ」


座り込んで俯くイソさんの横で心配そうに見つめているウリさんからも声が上がる。


「僕も居ます」


木の根っこに座る僕も返事を返す。


「は、ははっ……良かった。みんな無事だ」


アボさんは腕で目を覆うように被せて安堵の声を出す。


「アボさん……ごめんっ! おれの……おれのせいで……っ!」


俯いていたイソさんがアボさんの方に向き直り、頭を地べたにぶつける勢いで下げる。


「みんなも! ごめんなさいっ! 全部、おれの責任だ!」


そしてエゾさんと僕の方にも向き直り頭を下げる。

最後にウリさんに顔を向ける。


「ウリも……信じてくれたのに……ごめん」


力無く謝るイソさんにウリさんは沈んだ顔を向ける。


「それを言うならあたしが急かしたのがいけなかったの……いつも、急かして……あんたのやりたいようにさせなかったあたしが悪いわ」

「ウリ? ……っ!」


イソさんは顔を上げると、そこには涙を零して鼻をすするウリさん。


イソさんの反応からして、ウリさんは滅多に泣かないのだろう。

イソさんはパニックになったように手をワチャワチャさせてウリさんの周りをグルグルと回る。


「だ、大丈夫だから! ね、ね! おれが悪いんだし! ウリは悪くない! ね!」


目元を擦るウリさんと必死に慰めようとするイソさんに、僕たちはなんとも言えない顔を浮かべた。


「はぁ〜。なんか怒る気にもなんなっちまったなぁ……」

「甘酸っぱいな、おい! かぁー! 俺も彼女欲しいぃーーー!」

「あはは……そうですね」


僕も同意しておく。もちろん前者にです。後者じゃないよ?


イソさんのミスは大きい。

パーティを危機に陥らせたのだ。

リーダーでもアボさんからしたらたまったもんじゃない。感情的に怒っても仕方ないと思っていたし、その場合は頑張ってフォローしようとも考えていた。


でも、イソさんの本気の謝罪と、ウリさんの号泣でそんな雰囲気に持って行けなくなったし、少し場も和んだ。


(もし、全てウリさんの計算通りとかだったら、ゾッとするね……いやぁーまさかぁ〜)


流石にそれは無いだろうと、その考えを捨てる。


「おーい。そろそろ戻ってこーい。怒らないけど、叱るから覚悟しろよぉ?」

「おう! 俺も言いたいことあるかんね!」


アボさんもエゾさんもおちゃらけたように言うから、イソさんとか、えっえっと混乱してしまう。


「ぐす……ほら、二人が許してくれたんだから、叱られにいきましょう?」


さりげなく許されたことになっているし、泣いた割には目元がスッキリしているウリさんだけど、多分気のせいだよね。


「んじゃあ、イソ!」

「は、はひ!」


怒らないと言われても、近くで大声で名前を呼ばれたらビックリするよね。


「アボさん。まだ森の中です。大声を上げないでください」

「ご、ごめんなさい」


一応注意しておいた。

この調子で喋ってたら、撒いたゴブリン達に気付かれちゃうからね。


「おほん。イソ。弓で倒せとは言ったけど、あんな素人目にもまともに狙っていないと分かる状態で矢を打つな」

「うっご、ごめんなさい」

「アボさん。それを言うなら矢を射るですよ」

「アーサー。お前、思ったより細けぇ奴だなぁ」


イラッ!


「ちょっ!? 無言でニコニコしないで!? 怖いよ!?」


その後はみんなで反省会。


星二に上がったとは言え、素人に毛が生えた程度の知識と経験しかない僕達が最初から上手く行くわけが無い。


今回の失敗で、みんな気を引き締めれたとポジティブに考えることにした。


日を改めてのトライになり、帰路につく。


……まあ、帰り着くのはみんな一緒の安宿なんだけどね。


親睦を深めようとアボさんが余計……親切にみんなで飯を食べようと宣う……提案することで、僕は余儀なくマナ達の支援を受けられず黒パンと野菜屑のスープを召し上がることになったよ!


でも、まあみんなで不味い不味いと言いながら食べるのは楽しかったかも。



翌日。


昨日みたいに浮ついた気持ちは無く、みんな真剣な表情で森を突き進む。


特にイソさんの集中力は凄まじい。


常に周囲を見渡し、弓に手を掛けて何時でも迎撃に備えている。


ウリさんはイソさんに優しい目を向けながら、自分も背を低くして槍を構える。


昨日の地点より少し離れた所で、エゾさんがゴブリンの巣の様子を探りに行く。


少し経って戻ってきたエゾさんは困ったような顔だった。


「どうした?」


リーダーのアボさんが険しい顔で尋ねた。


エゾさんは困ったように頭を掻きながら答える。


「見張りが四人に増えてやがる」

「想定内だろ?」


アボさんは特に慌てた様子はない。昨日の反省会で見張りが増えるのは想定済みだ。


「そうだが、少し離れた所に弓を持ったゴブリンが木の枝に跨って待機してやがった」

「ちっ……奇襲が難しくなったな」

「弓ゴブリンのせいで近付くのも一苦労ってわけね」


ゴブリンはまさかそんな人間くさいマネをするとはと僕は密かに驚いた。


「おれに」

「ん?」

「おれに弓ゴブリンを殺らせてくれ」


そこには強い決意を秘めた瞳をアボさんに向けたイソさんだった。


真正面からイソさんの瞳を見つめ返しながら、アボさんは言う。


「分かってるのか? ミスったら昨日よりピンチになるかもしれねぇんだぞ?」

「それでもおれに殺らせてくれ! もう外さない!」

「お願いします! イソを信じて欲しい」


ウリさんも懇願するようにアボさんに向き直る。


「だそうだがエゾ、アーサー。お前たちはどうだ?」


僕たちに向き直るアボさんの表情は清々しいものだった。


なんだ。もう決まってるじゃん。


「僕は賛成です」

「俺も〜」


ニィとアボさんが口の口角をあげる。


「おっし! ならやっちまえイソ!」

「おう!」


返事するや否や、みんなが弾けるように動き出す。


エゾさんにウリさんがついて行く。


僕とアボさん、ウリさんは匍匐前進でゴブリンの巣に近付く。


息を潜め、時を待つ。


そして、微かな弓の音。


僅かな落下音。


第二の矢が見張りの一体の脳天に突き刺さり、エゾさんが背後から別の個体の首を掻っ切る。


「残り二体行くぞっ!」

「一体貰い!」


言うや否や、ウリさんが槍を投擲して、ゴブリンの一体の心臓を貫く。


残り一体。


「僕も働かないと」


アボさんより早くゴブリンに接近した僕は剣を振り下ろし、首元から斜めに切り込み、上半身を裂く。


見張り四プラス弓兵一撃破。


「俺何もしてねぇ」


アボさんはボヤきながらも、嬉しそうにニヤニヤしていた。


他のメンバーも似通った表情だろう。


お互い無音のハイタッチを交わした。


その後は、狭い洞窟に潜り数匹のゴブリンを危げなく倒し、パーティとしての初仕事を達成した。



街に帰り、今回の報酬でささやかな祝杯をあげる。


「なあ、アーサー。考え直さないか? 俺たちなら上手くやれて行けると思う。いや、やれると俺は確信している!」


久方ぶりのエールを煽り赤らんだ顔で僕に肩組みをするアボさん。


「お誘い嬉しんですが……僕にも事情というものがありまして」


有難い申し出だし、確かにこのメンバーで冒険者として成り上がっていくのも楽しそうだ。


でも、やっぱりそんなのんびりする訳にはいかない。


そもそも僕はいつまでもこの場所に留まり続けるつもりは無いのだ。


「僕は近々旅に出る予定なんです」


居心地の良いこの街には確かに愛着は有るけど、ソフィーさんやミサさんとの別れも惜しいけども、一ヶ所に留まり続けるといざって時に動きずらい。


転移を使える以上、この大陸を満遍なく渡り歩いておきたいのだ。


ウリさんとかに手伝ってもらって、アボさんを説得してもらった。


その代わり、この街に居る間出来る限りパーティを組もうと誘われたけどね。


それぐらいならお安い御用です。

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