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124話 新大陸8

話し合いにより夕暮れとき、僕は宿から飛び出し、古着屋へ。


「体をすっぽり覆い隠す外套はありませんか?」

「あるよ〜」


チャリン! 購入。


黒色の外套を手に入れた。


その後、木材とかを販売している木材屋さんに向かい板状のものを購入。


宿に戻り食事を済ませ、木材を魔力で出来たカッターで丁寧に削ろうとするけど、器用じゃない僕に呆れて、澪さんが代わりに削ってくれました。


準備を済ませ、早々に床に就く。


翌朝、日が上がる前に宿を後にして、人気のない路地裏で僕は一週間ぶりに制服一式を着込み、外套を羽織る。


フードが付いているため、顔もすっぽり覆い隠す。



そして木材を加工した仮面を被る。


仮面は特に模様とかもなく、目の部分に穴が少し空けられているだけの簡素なものだ。


その仮面には、幻影(ミラージュ)の魔法を付与(エンチャント)して、輪郭を暈す。


それ以外にも、制服には僕の加護(ブレッシング)を耐久値ギリギリまで施し、防御力を上げている。


並大抵の攻撃では僕を傷つけることはできないだろう。


(それじゃ時雨、空音。お願い)


……“分かった“


という意識が伝えられ、僕は路地裏から一瞬で街の外、良く薬草採取をしている草むらの前まで転移した。


「わ〜すごい!」


自分の意思で飛んだからか、興奮もひとしおだ。


「よし! それじゃあ、王都まで突っ走るぞ〜!」


目指すはこの街が所属している国、レギオス連合の一国ベイトール王国の中心、王都ベイベイ。


僕は闘気を使い、爆発的な脚力で道を走破していく。


道中で人に視認されないように幻影(ミラージュ)で姿を隠す。


思いっきり走ったからか、本来なら三日の道のりを二時間程度で走り抜く。


草原に囲まれた城壁都市。


それがベイトール王国の王都だった。


朝早いにも関わらず、門の前では既に人の列が二つ出来ていた。


片方は馬車の列で、もう片方は歩行者たちの列だ。


その二つの列の横には大きな空間があって、時折豪華な馬車が素通りしていく。


恐らく貴族の馬車なのだろう。馬車には紋章が描かれた旗が掲げられている。


僕は観察も程々にして、歩行者の列の最後尾につく。


当然、注目の的だ。


震えそうになるけど、今の僕は正体不明の存在という設定だ。


なぜこのような設定にしたかって? それは、これから僕は多分凄く目立つような物を売りに来たからだ。


多分王都に店を構えるような商店じゃないと、買うお金を用意できないのでは? という考えから王都に来ました。


列は少しづつ進む。


背後にも人が並び、日本にいた頃を思い出す。


(行列ができるラーメン屋とか行ってみたかったなぁ)


人混みが苦手な僕は、そういう行列ができる場所に行ったことがない。


大抵はコンビニ弁当かカップ麺で済ませる。


たまに自炊もしたけど、特に食べたいものもなかったから、長続きしなかった。


暇を持て余し、外套の中に隠れているスピカを撫でて暇を潰す。


外套をブカブカにしたのも、スピカが居ることを悟らせないためだ。


姿を変えてもいいけど、出来れば相手に必要以上の情報は与えたくない。


小一時間ほど並び、ようやく僕の番が回ってくる。


「怪しいな……なんの目的で来た?」


案の定、門番に怪しまれた。


「ははっ。そんなに凄まないでください。特に悪さをするために来たわけじゃありませんよ。少し観光をしに来ただけです」


僕はできるだけ平坦に言う。


「……身体検査をしてもらうぞ?」

「どうぞ?」


スピカには前もって、触られそうになったら動いて躱すように伝えてある。


門番に身体をベタベタ触られたけど、本人は不服そうな顔だ。


「特に怪しい物は持ってないか……」


一応剣とか荷物も収納に入れているので、僕は硬貨が入った小袋以外は手ぶらだ。


「もういいですか?」

「あ、ああ。銅貨三枚だ」

「はい。では失礼します」


銅貨三枚を支払い、王都に入る。


今まで居た街とは規模の違う喧騒に圧倒される。


人通りも多いからから、僕はそこまで注目を受けることは無かった。


適当に歩きだそうとすると、身なりが貧相……ボロボロな少年が近づいてきた。


「鉄貨一枚で案内してます」


鉄貨って、銅貨のしたのやつだ。


日本円で十円ぐらいだぞ? そんなんでいいの?


「なら銅貨一枚で、大きな商店に案内してくれない?」

「よろこんで!」


銅貨を一枚渡すと目を輝かせて、先導を始めた。


『浮浪児よね?』

(うん)

『そう言えば、孤児院とか見かけないね』

(確かに……街には無かった気がする。そういう子供たちも見かけなかったから気付かなかったよ)


教会とかはあるのだろうか?


国から、浮浪児とかを保護する働きはないのだろうか?


どうしても、色々考えてしまう。


う〜ん。なにかしてあげられないかな?


「こ、ここ! ここは大きいお店だよ! です!」


確かに大きなお店だった。


ここで良いか。


僕は更に銅貨を一枚取り出し、少年の頭を撫でて、渡す。


「ありがとう。またよろしくね?」

「う、うん! じゃあね! ありがとう!」


嬉しそうに両手で銅貨を握りしめ駆けていく。


僕は商店に足を踏み入れた。


「いらっしゃいませ〜」


店内は落ち着いた色合いで、奥側にカウンターがあって、手前は棚ごとに商品が並べられている。


コンビニを感じさせる作りだ。


違う点は店の入口の横に武装した男性が椅子に座っていることだろう。


防犯代わりといったところだ。


その男性は僕をジロっと睨み、警戒心を露わにする。


まあ、黒ずくめで仮面を被ってますからね〜。


僕は商品に対する好奇心を抑えて、カウンターに向かう。


スーツのような格好をした女性店員さんは、僕の姿を見ても表情を変えない。ベテランさんだ。


「何か御用でしょうか?」


ニコニコと人当たりのいい笑みを浮かべ、問いかけてくる。


「買取はやっているかな?」


敬語を使いそうなのをぐっと堪えて、平坦にぶっきらぼうに言う。


「はい。何かお売りでしょうか?」


そう言い、銀のトレイをカウンターの上に乗せる店員さん。


そこに売るものをおけという事か。


「ああ。魔石なんだけど」

「なら、喜んでお買取させていただきます。昨今は魔石不足ですので、色をつけさせてもらいます」


ホッと一安心。


僕はポケットから拳に収まるほどの大きさの魔石を取り出す。


三等級の魔石だ。こちらの言い方をするなら星四の魔石になるかな?


それを無造作にトレイに乗せる。


「お、お客様!? こ、こんなに無造作に触れて良いものでは!?」


店員さんが大慌てで、手袋を取り出し両手にはめて、紫色の魔石を慎重に持ち上げる。


魔石は僅かながら発光しているから、クリスタルのような美しさがあった。


ただの石ころから生まれたと言っても信じてもらえなさそう。


店員さんはうっとりしたように魔石を眺めて、はっと我に返って店の奥に駆け込もうとして、止まる。


「か、鑑定してきますぅ!」

「あ、了解……」


あまりもの慌てように背後の警備員の男を見ると、男も驚いたようにポカンとしていた。


『あの顔、恋しているね〜』

『間違いないね! 青春だよ〜』

(女子はすーぐ恋バナに持っていきたがるなぁ)


普段なら、空気を読んで黙るけど、今の僕は謎の人物ムーブをしていて、良識とか全て置き去りにしてきている。


なので思いっきり聞いてみた!


「あの女性が好きなの?」

「ばっ!? ち、ちげぇーよ……幼なじみなだけだ!」

「……そっかぁ」

「な、なんだよ! その生暖かい返しは! いいか! 変なことしたらただじゃおかねぇからな!」

「しないよー君の彼女に指一本触れないよー」

「かっ……か、彼女じゃねぇーし……まだ」


な、なにこれ!? めちゃくちゃ楽しいんですけど!?


なるほど。世の中の女子が恋バナで盛り上がる理由が分かった。


腕を組んで、顔を背けてしまった彼には、申し訳ないことをした。


「耳どうしたの? 真っ赤だよ?」

「う、うっせー!!」


楽しいです。面白いです。反省してまーす。


そうして警備員の人をからかっていたら、店員さんと身なりの整った男性が現れた。


「お待たせしました。私はこの商店を営むしがない商人、ヘンリックです。お客様のお持ちになった魔石についてお話したいことがありますので、是非奥へ」

「ああ。分かったよ」


どうやら、トップのお出ましだ。


緊張する心をグッと抑え込み、後をついて行く。


奥の談話室のような場所に通される。


品のいい雑貨が並べられ、落ち着いた色合いだ。


向かいのソファに促され座ると、オーナー本人が茶を入れ始めた。


「おや? 自分で淹れるの?」

「はは。貧乏性なもので、この程度のことで人を使う気になりませんよ。それに自分で淹れるほうが美味い」

「ほほう。それには同意だね。私も自分で淹れる派だ」

「これは気合いを入れないと、酷評をくらいそうですね」


久しぶりに“私“って使った。


やっぱりしっくり来ないなぁ。


なんとなしに足を組もうとしたけど、足が短くて不格好になったから慌てて戻した。


幸い、背を向けていたから気付かれていない。


「では商店で取り扱っておりますムーギー茶葉で淹れた紅茶になります。リラックス効果が高くて、休憩の一時にうってつけですよ」

「それでは頂こうか」


コップを持ち上げて、気付く。


お面で飲めないやん!?


ほら、ヘンリックさんもどうするの? みたいな顔で見てくるやん!


……“任せて。そのまま飲んで“


信じるよ! 時雨! 空音!


僕は止まることなく、コップを口に付けて飲む。


仮面を貫通して。


『うまい! 空間をピンポイントで歪ませたのね!』


そうらしい。わけが分からないけど、マナが舌を巻くレベルことをやってのけたみたい。


(よくやった! 二人とも!)


褒めちぎる。


僕のミスを補ってもらえて助かった。


ほら、あまりもの事態にヘンリックさんがフリーズしている。


でもそれも一瞬で、直ぐに穏やかな笑みを浮かべる。


「お味の方はいかがでしょうか?」

「うむ。スッキリ飲める飲み物だね。冷やして飲んでも美味しそうだ」


てか、麦茶だこれ。


「そう! そうなんですよ! この飲み物は茶葉と言いましたが、実は麦によって作られたものなんですよ。私の故郷では良く、冷たい川の水を使って飲んでましてね〜ひんやり冷たくて美味しいんです。王都では出回ってなくて、自分で商品として立ち上げたんです。麦なのに茶葉と言い張っているのも、真似られるのを少しでも遅らせるためでしてね。現在は我が商店の独占状態で、主力商品なんですよ」

「私にベラベラ喋って良かったの?」


いや、隠してるんでしょう? 言っちゃダメじゃ。


そう考えて発言すると、ヘンリックさんはニヤリと笑みを浮かべた。


「あのような品をお持ちしている方に、この程度の情報など大したことありませんよ。今ので貴方様を信頼しての発言だと思っていただけたら幸いですね」

「強かだね〜でも気に入ったよ」


流石は商人。よく口が回る。


「そんな君に、こちらも一つだけいいものを見せてあげる。君のコップを貸して?」

「ん? はい。どうぞ」


僕の言葉に少し疑問を抱きながら、コップを差し出す。


僕はコップの縁を人差し指で一回転擦り、彼に返す。


「飲んでみて」

「はぁ……」


腑に落ちないように思いながら、コップを傾け一口。


「っ!? 冷たい!?」


そう。


熱々の麦茶は、一瞬にして冷たい麦茶に変わったのだ。


『いえーい! 久しぶりの活躍だぁー』


澪が嬉しそうで何よりです。


無詠唱かつ魔法陣を隠蔽した魔法。冷気(コールド)を使って、瞬間的に冷やしたのだ。


よく飲み物に使って冷やして飲んでいたけど、魔導学園では使うには時間がかかるということで、久しぶりの使用だけど、やっぱり便利だ。


「ふふふ。気に入ってくれた?」

「は、はい。驚きましたが、やはり魔法使いの方でしたか」

「錬金術師と迷った?」

「……っ。ええ、まあ」


考えを先取りすると、ヘンリックさんはようやく僕が侮れない人物だと認識したようだ。


小柄だから子供だと思ったのかな? 正解だよ! まだ、成人してないよ! あと一年で成人しても恐らく、大人だと思ってくれないよ!


いかんいかん。つい熱くなってしまった。


身長伸びないかな〜。ははっ……無理か。


「どっちでも合ってるけどね〜。今君の懐に入っている魔石も、私が作ったものだよ」

「なっ!? な、なぜ分かったのですか?」

「秘密」


人差し指を口元に付けて、言う。


どう? 謎の強チャラ感出でない?


懐に入れても、魔力領域(マナテリトリー)を展開しているから、魔力の発している物は分かるし、ましてや僕の魔力が元の魔石だからね。


汗だくでハンカチで額を拭う、ヘンリックさん。


今更だけど、見た目は三十代前半で、非常にイケメンさんだ。くすんだ金髪に青い瞳。俳優のような容姿で、さぞやモテたのだろう。


目にはモノクルが付けられていて、やり手感がぱない。


そんな百戦錬磨の商人相手に、マウントを取っているけど、すんごい僕も冷や汗をかいております。


やっぱり、こういうやり取りは苦手だぁー。


「呼び止めたんだ。何か要件があるのだろう? 言ってみなよヘンリック。知らない仲じゃないんだからさ〜」


知らない仲だよ! 初対面だよ! 呼び捨ては失礼だよ!


僕の常識がフル回転でつっこんでくる。


「はあ〜観念しました。降参です」

「商人の降参からが本番……だろ? ヘンリック」

「〜っ! ふう……分かりましたよ! もう、回りくどいやり取りは無しで行きましょう!」


勝った! 適当な事しか言ってないけど、勝ったよ!


本当に参ったのか、両手を掲げて、初めてソファーに腰を沈めるヘンリックさん。


「要件というのは、この魔石はこれからも我が商店に下ろしてもらえないかという相談です。現在、魔石不足により魔石の需要が高まり、高値で幾らでも飛ぶように売れるんです。魔石は天然物と人工物の二種類あり、安定供給を望むなら、優秀な錬金術師か魔法使いの方を囲むのが先決なんですよ」

「なるほど〜少し考えさせて。さすがに出会ってそうそう決められないよ」

「ええ。分かってます。ですので少しでも印象良く捉えられるようにおもてなしをしようかと企んでいたんです」

「素直なところは好きだよ?」

「ありがとうございますっ!」


やけくそ気味に言うヘンリックさんは、面白いです。


「取り敢えず、同じやつを幾つか売るからそれでしばらく勘弁してね」

「その間、ほかの商店には……」

「買い物に行くことがあっても、魔石は売らないであげる。これ貸しひとつね」

「それで構いません……ふぅ」


ほっとしたようにヘンリックさんは首元を緩める。


「私相手に、へんな腹の探り合いは逆効果だから、気楽に本音で会話しようね」

「貴方と喋っていたら、商人の感を無くしそうですね……」

「長いから、ヘンリーでいい?」

「話聞いてます? 構いませんよ……」

「了解! ヘンちゃん」

「更に短くてなっているじゃないですか!?」

「うーん。これは呼びずらいから、ヘンリーでいいや」

「もう、好きにしてください……」

「どしたの? 元気ないぞぉー?」

「貴方のせいなんですが、自覚ないんですね……」


すみません。自覚あります。調子に乗ってすみません。


今の僕は若干暴走状態なんですぅ〜。



その後、同じ大きさの魔石を四つほど取り出して、ヘンリーさんのド肝抜いた顔を拝めた。


一つ金貨二十枚! 五つで金貨百枚!


日本円で一億!


そんなに!? と言いたかったけど、ヘンリーさんはホクホク顔だ。


試しにいくらで売るのか聞いたら、三倍から五倍だけど、色珍しい魔石だから、十倍でも買い手が現れるかもと言っていた。


ひや〜怖い。商売の世界怖い。金の殴り合いじゃん。


『ウチの魔石の万能性抜きでこれだから、知られたら天井知らずね』


ブル! マナの一言に鳥肌が。


オークションとかで、数億単位で落札されるウチの魔石を幻視した。


怖い怖いと、金貨が詰まった皮袋を手に取り、商店を後にした。


めちゃくちゃ従業員一同に頭を下げられたよ。


これはもう店に入店したら顔パスでヘンリーさんを呼ばれるレベルだね。


まだ、昼前だし。


お母さんこと、ミサさんから休めと言われているからね。


今日は王都を一足先に堪能しよう!


そう考えて、僕は大通りに向かった。


人混みで溢れかえっており、一足踏み入れれば、人の波に押し流されるレベルだ。


目立つ僕ですら、この人混みでは一般人みたいになる。


左右に出店みたいに、肉屋、八百屋、魚屋、果物屋など食材が売られ、主婦の人達が我先に新鮮な食材を奪い合う。


調味料とかが大きな麻袋に入れられており、それを小さなコップで小さな麻袋に詰めて、お客さんに渡している調味料専門の出店も伺える。テレビとかで、タイやインドでの売られ方みたいで、外国に来た気分になった。


流れるプールみたいに、前へ前へと進んでいき、次は屋台ゾーン。


鼻につく匂いが、唾液を分泌させる。


なにか食べていこうかな。


意を決して、流れの中から抜け出すようにスライド。


抜け出した先には、焼き鳥の屋台。


「一本頂戴」

「銅貨二枚ね!」

「はい」


忙しいのか僕の格好にも気にとめない。


手渡された焼き鳥は、思ったより分厚かった。


時雨と空音にお願いして、同じように仮面を貫通して食べる。


「はうはう! 熱! 辛! 味薄!」


熱いし辛いのに、ほぼ肉の味しかしない! 調味料が働いてないぞ!?


でも……。


「美味し!」


悪くない! この手作り感が! このお祭りな雰囲気と合わさって、なんか美味しい!


多分シラフで食べたら、微秒だと思うだろうけど、ここ一週間黒パンと透明スープしか口に入れていない僕からしたら余裕で平らげられる。


流れに戻り、前へ進む。


すると、噴水広場みたいなところに行き着き、そこではちょっとした見世物が。


ピエロがお手玉してる。


剣を振りまくり躍動感溢れる動きをしている男性。


オオカミ型の魔物に輪っかをくぐらせて、ポーズを取る露出の多い女性。


統一感の無い見世物に、街ゆく人が置かれていた籠に硬貨を放り投げていく。


僕も銅貨を一枚放り込んでおいた。


その噴水広場が分岐点みたいで、流れは二つに。


僕はなすがままに、左のほうに。


すると人の数が少し減り、少し余裕が生まれた。


しばらくはまばらに、小物売りの出店が立ち並ぶ通り。


めぼしいものは無いか見るけど、どれも使い道不明なものばかりだ。見てるだけでお腹いっぱい。


その通りを越えた辺りから、立ち並ぶ建物が古びたものに変わる。


(この先は貧困街だったりする?)


少しビビりながら、まばらになった人達に混じって進み続ける。


すると、大きな舞台が姿を表した。


その前に、扇形に広がった観客席。


何が起きるの! とワクワクしながら、空いているところに座る。


みんなここが目的地だったみたいで、続々席が埋まっていく。


ステージ前方、最前席付近は身なりの整った人達ばかりで、恐らくは貴族の人達だ。


貴族もわざわざ見に来るような催しかと期待が膨らむ。


そして、僕の期待を裏切る形で、催しが開催された。


「それではオークションを始めます!」

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