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121話 新大陸5

宿は若干ボロい外観だったけど、中はちゃんと手入れしてあって、清潔感はあった。


ご飯を食べれる小さな食堂には、駆け出しと思わしき冒険者の若者が数人食事を取っていた。


みんな疲れ果てただけでなく、少し暗い。


「いらっしゃい。冒険者の人? なら、一食付き一泊で割引料金で銅貨七枚だよ。その使い魔の食事は別料金で銅貨二枚になるけど」


煙管を吹かせたふくよかな女性がカウンター越しに尋ねてくる。


「は、はい。取り敢えず一泊。食事は僕の分だけで大丈夫です」


銅貨を七枚取りだし、女性が差し出した手に載せると、もう片方の手で鍵を渡してくる。


「二階の端部屋だよ。食事はどうする?」

「あ、今頂けますか?」

「あいよ〜」


そのまま食堂のキッチンに繋がるだろう入口に入っていった。


僕も席に着こうと食堂に入る。


テーブルに座り、スピカを膝に乗せて、頭を撫でながら、魔力を与える。


僕もある程度回復したから、沢山魔力を与えてあげられる。


「きゅるぅ〜♪」


寝言を鳴きながら、気持ちよさそうに包まる。


可愛い。うちの子可愛い。


ほのぼのとスピカを愛でていたら、テーブルの上に料理を置かれた。


「残さないでね。あと、食べ終わったら置いといていいから。体を拭くタオルとか水とかは別料金で銅貨一枚だから、必要なら言って」

「はい。分かりました」


頭を下げる。


そして食事の内容を見て僕はワクワクした。


(カチンコチンの黒パン! コンソメみたいに凝縮された透明なスープじゃなくて、屑野菜がほんのり入っている透明スープ! 以上! 最っっっ高に冒険者飯!)


ここの食事を死んだ目で食べていた理由が分かったよ。


確かにこれは酷い。家畜の餌の方がマシかもしれない。


黒パンを持ち上げると、まるで木材でも持ち上げたような硬さと軽さ。


(確かにこのままじゃ食べられないから、スープに浸して柔らかくしてから食べるんだよね!)


付けてみる。


だが木の容器のスープの底は思ったより浅くて、黒パンの表面しかスープに浸せない。


そのまま一分ほど待って、おもむろに浸した部分を口に入れる。


齧る。


なんだろう。


熱の通りが悪い肉を無理やり噛みちぎっているみたいな感じ?


ぐぬぬ。


無理やり噛みちぎる。


口に入れるとバサバサとした無味で、木のスプーンでスープをすくって口に追加で入れて、黒パンをどうにかしようとする。


(このスープお湯かよ! 味がしないぞ!? ……待って、いや、ほんのり気のせいレベルで野菜臭さがあるような……)


そして何とかモキュモキュ咀嚼して、飲み込む。


「ふぅ……ふぅ……」


一口食べるのにどんだけ苦労するんだよ! あと、明らかにスープ足りないやん!


黒パン半分以上残るぞ? このままのペースじゃ。


どうしたものかと思ったら、マナから提案。


『魔力で黒パンをカットしましょう?』

(お〜! あ、いや、周りの目があるよ……)

幻影(ミラージュ)にお任せを!』

(ナイスゥ〜!)

『スープは冷めちゃうけど、氷を入れて傘増ししようか?』

(背に腹はかえられぬ……頼む!)

『雛は……お兄ちゃんの胃の消化を強化するね!』

(そんなことできたの!? ならお願いします。割と黒パンが固形物のまま腹に溜まっている感覚がある)


こうしてみんなの助けを得ながら、何とか完食。


最初はこれが冒険者としての旅立ちに相応しい食事だ! って、思ったけど。もう食べたくないです。そりゃあ、一日頑張って、このご飯じゃ死んだ目になるよ。


意地悪ではなくコスパ的にこれが精一杯なんだろう。


日本円で二百円だもん。


……あれ? 日本なら二百円でも美味しいもん食べられるぞ??


まあ、安定供給は難しいし、宿の規模的にそこまで大量に料理を作るわけじゃないし、どうしても安く済ませられる方向に思考が行っちゃうのだろう。


食事を済ませて、二階に上がる。


ギシギシ軋む床が踏み抜けるのではと少し、ビビりながら部屋にたどり着く。


渡された簡素な作りの鍵を鍵穴に差し込もうとすると。


『少しやってみたかったことがあるのよ』


と、マナに待ってと呼び止められた。


そして僕の魔力が鍵穴に伸びていく。


まさか……。


カチャリ。


『開いたわよ』

(ナチュラルに犯罪だよ〜?)

『宇宙人が言ってたわ。バレなちゃ犯罪じゃないんですよって。それに正規で開けるより鍵穴は傷つかないように優しくしているからエコよ』

(いや、そういう問題じゃ……もういいです)


まあ、いっかと。


ドアノブを捻り部屋に。


部屋に入ってビックリ。


「な、なんもない……」


窓は木製で出来ており、ガラスでは無い。


部屋の中は狭くて、四畳ある? ぐらい。


そのうちの二畳は木製フレームのベッドで、それ以外にテーブルも椅子も何も無い。


ベッドに近付き、マットレスに触ると、それはマットレスではなく、木の板の上にうっすい布を被せただけのもの。


布団ももはやタオルで冬とか凍死するだろうと思えるぐらいベラベラだ。


枕はぺちゃんこで、中には一応藁が無造作に敷き詰められていた。


「地面で寝るのと大差ないとは……これが旅立ちの日か」


でも、ご飯抜きなら、銅貨五枚なんだよなぁ〜この宿。


俗に言う雨風凌げるならどこでもいい状態だ。


「まあ、今日ぐらいはこういう体験をしておこう」


そう自分に言い聞かせ、ベッドに腰掛ける。


ひんやりとした冷たさと、硬さにちょっとお尻が痛くなりそうだ。


意を決して、横たわり毛布を身体にかける。


スピカはお腹の上に乗せる。


お腹だけ、スピカの体温で暖かい。


背中? HAHAHA。


冷てぇ……。硬ぇ……。


あと軋む。


ギシギシと軋む。


体重の軽い僕ですら、これ崩れるんじゃと心配になるほどだ。


『恐らくだけど、窃盗防止の為じゃないかしら』

『あ〜こんな宿に泊まるのって、お金のない人だけだもんね』

『盗めるものは盗んでお金のだしにする……と考えると、最低限の物だけしか置けませんね』

『じゃあ、宿の人の意地悪じゃないんだね』

(だね〜。なんか納得)


変にお金が掛かっていたら、盗まれたときの損害が馬鹿にならないもんね。


ここは雑魚寝部屋と言われる部屋じゃないだけ有難いと思わないとね。


『お兄ちゃん。眠れそう?』


雛は心配そうに聞いてくる。


(あはは。何とか頑張る)

『御主人様。一つ提案が。魔力を敷布団代わりにしてそのお上で睡眠を取るのはいかがでしょうか?』

『いいわね。それなら私の加減で最高級ロイヤル並のふかふかベッドに出来るわよ』

『うぅ〜こういう時、私が氷じゃなくて火とかだったら、暖かくしてあげられるのに……夏場じゃないのが悔やまれるよ〜』

(その気持ちだけで嬉しいよ。みんなありがとう。それは明日以降でお願い。今日は普通の冒険者と生活を体験してみたいんだ。わがままだけど、人生で最初で最後の経験になるだろうし)


さすがに二日目以降は、能力全開で快適に過ごさせてもらおうか。


今日だけでも、散々お世話になっているし。


甘えないわけじゃない。


頼らないわけじゃない。


少しだけ、ほんの少しだけ。


もしも僕が一人ぼっちで異世界に飛ばされたら、こうやってひもじい思いをしていたのかもと、みんなの有り難さを再確認したい為のわがままなんだ。


「そうだ、寝る前に。忘れてたよ。雛、リフレッシュを掛けて。マナは追加で拾った小石を単一属性に片寄せられるか試してくれる?」

『うん、分かったっ!』

『了解』

『なら私は言語の翻訳に戻るね』

(夜更かししないでね)

『あいあ〜い』

『その片寄せる属性は、私の光属性にしませんか? 皆さんの中で一番希少度は低いかと』

『私もそう思ってたわ。お願いねライア』


雛により、僕の体の汚れも、スピカの汚れも全て消え去り、お風呂に入ったあとみたいなスッキリ感。


薬草採取しているときに、追加で拾ってきた小石たちをマナとライアが、魔力を調整して光属性の単一魔石にしようとする。


(あとは……いつまでも幻影(ミラージュ)じゃ、看破される可能性があるから、早く普通の服を買いに行かないと……それから、出来れば髪色も……)

『髪色なら、もう少しで変身魔法の解析が一段落するから、髪色ぐらいなら変えられるようになるわよ』

(ほんと!? なら助かるよ〜。あとは武器はしばらく剣一本で良いか? 皮鎧とかプロテクターも本当は欲しいけど、しばらくは節約生活しないと)


プロテクターとか皮鎧は、間違いなく冒険者としてのロマン。


ぶっちゃけ、マナにより常に張られている魔気により並大抵の攻撃は僕に届かないけど、これから冒険者として活動するなら、しっかり装備を揃えないと、怪しまれるからね。


あれ? あいつだけ近所の散歩に行くみたいな格好だなぁ? 冒険者舐めてんなぁ?


みたいに絡まれない為にも必須だ。


そうやって、色々ぐるぐる考えながら僕は眠りについた。





肌寒い。


ベロベロ。


頬がくすぐったい。


「きゅ!」

「おはよ〜すぴかぁ〜」


スピカを湯たんぽ代わりにぎゅっと抱き締め、包まる。


ムニャムニャ。


「はっ! もう朝かぁ〜」


危うく二度寝するところだったぜ。


寒い中、靴を履き、窓を開けると外はまだ薄暗く、早朝なんだと分かった。


早寝早起きが身に染み付いているね。


「さぶっ!」


吹き抜けていく風の寒さに身を震わせながら、窓を閉じる。


特に準備することもないから、スピカを肩に乗せて、部屋を出る。


鍵を挿して回す。


カチャリ。


うむ。いい音。


ドアノブを捻り、開かないことを確認。


一階に降りると、既に宿の女性の人がカウンターに居たので、軽い挨拶と鍵を返却して宿を後にした。今日も多分泊まるよね?


もう、駆け出し冒険者体験はおしまいです。


今日はマナによるふかふか魔力ベッドで気持ち良く眠るぞ〜!


そう考えるだけでワクワクしてくるね。


元の大陸に戻るには、まず生活が不自由しないことと、ある程度情報を集められるようにすることが大事だと思う。


急げば回れという言葉もあるし、一年程度を目処に活動していこう。


「まずは商人組合からだね」


ポケットにマナたちが作ってくれた魔石が沢山入っている。


道行く人に場所を尋ねる。


みなさん、こんな早朝に精が出ますね。


程なくして、商人組合と思わしき建物の前に辿り着く。


『え〜っと。翻訳結果だと組合の部分が冒険者組合と一致しました〜』

(お〜。おつおつ!)

『うすう〜す』


なら間違いないだろう。


僕は開閉扉をくぐり、店内に。


汗臭さなどなく、むしろいい匂いが漂う。


カウンターには冒険者組合と同じだけど、高さが低いカウンターに受付嬢の皆さんが座って待機しており、カウンターの向かい側で用意された椅子に座り身なりのいい商人たちと思わしき人達と対談? をしており、なんかますます市役所とかを思い出させる。


番号札とかあるのだろうか。


と、つい社会人時代の癖でチョロチョロしてしまう。


「どうしましたか? お客様」


にこやかな笑みを浮かべた女性に話しかけられた。


服装は受付嬢の人達と一緒だ。


扉付近で待機していたようだ。


不意打ちの呼びかけに、一瞬言葉を詰まらせる。


「あ、えっと……魔石の、買取を」

「魔石の買取ですね? ならばあちらに……」


手を差し出された方では、普通の高さのカウンターと、冒険者組合のカウンターと同じく横に物を置けるスペースが設けられていた。


「はい。ありがとうございます」


お礼と頭を軽く下げて、いそいそとカウンターに向かう。


そのカウンターでも受付嬢の女性が。


もはや受付嬢だらけで混乱しそうだ。


受付ボーイは居ないの?


「ご要件はなんでしょうか?」

「魔石の買取を」

「かしこまりました。では、こちらのトレイに品をお乗せくださいませ」

「はい」


僕はポケットとか魔石を幾つか取り出しながらな思う。


(愛想もいいし、対応も丁寧だけど……なんだろう。凄く無機質だ。それこそ本当に市役所の役人みたいに淡々と業務をこなしているような)


冒険者組合の受付嬢の人に比べると、温かさみたいなものを感じない。


 ビジネスパートナーとかそんな感じ。


一回しか来てないから、そう感じるだけかも。


それに僕もそんなに頻度よく通うつもりはないから、これぐらいドライな方がいいかも。


ザラりと魔石を無造作にトレイに乗せていく。


桁が二つになったぐらいでやめておく。


全てトースト先生曰く六等級に分類される最低等級の魔石だ。


これでどのぐらいだろう?


安そうなら、一つだけ用意した五等級の魔石を出さざるおえない。


「ご確認致します。……合計で十二粒の星一つ相当の光属性の魔石ですね」


モノクルみたいな魔導具を目に付けて、魔石を見て本物だと判断したようだ。


「一粒、銅貨五枚で合計大銅貨六枚になりますね。銅貨に統一しましょうか?」

「あ〜」


どうしよう? 値段にして六千円ぐらい?


これじゃ、リュックと服を買い揃えられないよね?


「あ、あと一つ残ってました」


 白々しい演技で、ポケットから五等級の魔石を取りだし、トレイに乗せる。


「ではこちらもご確認しますね。……星二相当の光属性の魔石だと確認とれました。こちらは銀貨二枚になります。合計で銀貨二枚大銅貨六枚になります。銅貨に統一しましょうか? その場合は嵩張りますので、銅貨一枚程で小さい麻袋に入れてお渡し出来ますよ」

「それでお願いします」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」


そう言えば、僕はサイフを持ってなかった。


この世界のサイフと言うば、小さな麻袋か皮袋だからね。


良く、海賊とかが金貨を詰め込んでいるアレだ。


少し待ったら、受付嬢さんが少し大きめな麻袋を持ってきて手渡ししてきた。


「お待たせ致しました。こちらご確認ください」

「はい。ありがとうございました」

「またのお越しをお待ちしております」


深々とお辞儀されてお店を出る。


あんなに丁寧に接されて、疑うわけないから、確認せずに懐に麻袋を仕舞う。


次は服屋だね。


こんな早朝にやっていたらいいけど。





少し歩いて、人に尋ねば直ぐに古着屋を教えてもらえた。


親切な人が多くて助かるよ。


古着屋は棚とかに服が無造作に山積みにされているようで、一枚ごとにハンガーに掛けているわけじゃないみたい。


どれも色合いが地味で、派手なやつはあまりないみたい。


「いらっしゃ〜い。ふぁ〜」


大きく欠伸をした若い女性の店員さん。


椅子に足を組むように座り、本を開いていた。


「何か要望ある〜? あるなら言ってね〜ふぁ〜ねっむ」


やる気の欠片も感じさせない。


僕は探そうと古着の山に突撃するけど、どれも大人サイズで僕にはぶかぶかすぎて着れない。


十分ほど格闘したけど、断念して店員さんに話しかけることに。


「って、寝てるし!」


船を漕いでいたよ! 本当にやる気がないなぁ!


知らない女性に触れるのは抵抗があったけど、意を決して肩を揺らす。


「あ、あの起きてください」

「ふぁ〜おはよう……おやすみ〜」

「寝るな!」


なんか前にも同じようなやり取りしたなぁ〜。


「なんの用〜?」


気だるげに伸びをして、こちらを見る。


「僕に合う服のサイズが見つからなくて……今着ているのと同じような服を何着か欲しいんです」


そう言うと、店員さんは僕を上から下まで見る。


「下も?」

「は、はい。ズボンもお願いします」

「ちょいまちぃ〜」


のっそりと立ち上がり、伸び。


そして無造作に古着の山に手を突っ込みポイポイと僕に投げてくる。


「わわっ!」


落とさないように受け取る。


それがしばらく続き、僕の両手に小さな山が。


「とりあえず五セットあるよ。一セット大銅貨一枚で合計五枚ね〜」

「大きさを確認しても」

「いいよ〜ふぁ〜」


再び椅子に座り込む店員さんを横目に、服を一枚ずつ確認。


『凄いよ! 全部お兄ちゃんの体型に合ってるっ!』

『人間見た目だけでは判別出来ないわね……』


ただのぐうだらだと思ったら、有能だったわけだ。


ズボンもフィットすると雛からオーケーを貰ったので、有難く全て買うことに。


「はい。ちょうどだね〜おやすみ〜」


今度は起こさなかった。


僕は路地裏に歩いていき、初歩的な時空魔法の一つ、チェンジを使って今着ている制服と古着の上下を取り替える。


まるでスーパーヒーローみたいに一瞬で変身完了だ。


双子が未だに目を覚まさない為、まだこんな初歩的な魔法しか使えないけど、既に可能性がエグい。


制服一式と古着は全て収納に収める。


後は、靴とリュックだね。


靴はこのままでもいいかもだけど、やっぱり山道を歩くのに適してないからね。


同じように、靴屋を尋ねて向かう。


そして靴屋で長靴みたいな長い靴を購入。


お値段、大銅貨三枚! いい値段しますね?


中古の為、履く前に念の為、リフレッシュを掛けておく。


全身装備完了。


またしても路地裏に行き、そこでマナにより髪色を変更。


更に髪の長さすらも調整可能だという。


みるみる髪が短くなり、顔を半分隠す前髪以外は、普通のショートカットだ。


「……なんか逆に違和感が凄い」


軽くなり過ぎたせいか、むしろしっくりこないや。まあ、慣れるだろう。


髪色も茶髪になり、本当にどこにでもいそうな青年に!


『せいぜい少年よ。サバ読みすぎね』

(これでもあと一年で成人なんだけどね!? そうだ! 身長を変えよーぜ!)

『激痛が伴うわよ?』

(僕は将来の僕の成長に期待することにするよ)

『懸命な判断ね』


スラリと伸びた高身長なイケメンになりたいなぁー。……なんか無理な気がする。


リュックを探しに!


道具屋を探しにレッツゴー!





防具屋に辿り着きました。


道具屋にはポーションとか生活用品はあるし、麻袋もあるけど、リュックになると防具屋になるとのこと。


確かに、普通の人は遠出しないからリュックはあまり必要ないかもね。必要になっても籠とかでいいだろうし。


一応、道具屋で麻袋を五枚ほど購入。


昨日貰った麻袋と比べたけど、モイさんに貰ったやつはしっかりしている作りで、買った一枚銅貨一枚の麻袋は作りが荒い。


街一番というのは嘘じゃなかったみたいだ。


防具屋には、厨二心をくすぐる鎧の数々。


「お前さん。装備を整えにきたのかい?」


お店の親父さんの一言に感激。


(くーっ! これだよね! 防具屋って!)


「今はお金が無いので、リュックを買いに来ました」

「素直なこった。頑丈なやつか? 予算は?」

「銀貨一枚ほど」

「なら……これだな。丈夫だが女や子供向けで売れ残ってたやつだ。これをら銀貨一枚でやるよ」

「あ、ありがとうございます」


明らかに僕が求めていたグレードより高いリュックを貰った。


縫い目もしっかりしてるし、厚みもあってそうそう破けそうにない。


明らかに銀貨一枚で買える代物ではない。


驚いたように親父さんの顔を見ると、ニヤリと笑った。


「デカくなって上客になってくれよな?」

「は、はい! 必ず!」


あ〜痺れるんじゃ〜。


こういうやり取り大好きです!


銀貨一枚を支払い、リュックを背中に背負う。


装備はようやく村人とかだけど、僕は冒険者になったんだなぁって、ここで改めて実感した。

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