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プロローグ

頭を空っぽにして読んでくれたら幸いです。

意識が遠のいていく。


仰向けになった体はビクとも動かない。


掠れた視界から青空と黒い煙が混ざり合う。


あぁ……ついてない。


飛行機の国内線を利用しての出張でまさか帰りに墜落するなんで。


こんなことになるなら、あんなに必死にプレゼンやら、媚やら頭を下げなければよかった。


堕ちるなら行きに堕ちてよ。


恨みつらみが脳の中でぐるぐるまわる。


脳裏に浮かぶのは己の生涯。


25年という人生において、自分が成したことなど、高が知れている。


彼女も居なければ、仲の良い友人すら居ない。


俗に言うリア充とは程遠い対極に位置すると言っても過言ではない根暗な小心者。


普通の高校に入って、普通の大学入って、そして普通の会社に就職。


職場での立ち位置は空気のような新人。


同期のイケメンは先輩やら上司に好かれ、飲み会に誘われるのに、こと根暗な小心者は誘われた試しがない。


二次会?ああ、あのリア充達が己の存在価値をこれでもかとアピールしてパーリーピーポーしてつぶやいて、インスタしてサムシングするあれだよね。


リア充な同期のフォロワーが4桁なのに対して、根暗な小心者のフォロワーはギリ2桁。


小心者ゆえに、嘘はつけぬ。暴言吐けぬ。プレイボーイになれぬ。つぶやかぬ。


ネト民が求める全てを持たないから当たり前だ。


飛行機に乗る直前に同期がつぶやいてた。


【昨日、受付の〇〇ちゃんと同期の〇〇ちゃんと3Pしたwww彼女居るのにどうしようwww⠀】


なんでことだ。


受け付け嬢の彼女は、こんな根暗にも笑顔で接してくれたのに、裏ではエンジョイしていたとは。


同期でこの差に涙した。


目元を押さえてのフライト。


染みる目から眺める外の絶景に、心はまるで凪のように何も感じぬ。


明日からどの面して、挨拶すればいいのだろうか。


こんなことなら、大学の時にテニスサークルにでも入って、イケメン達のお零れを貰えばよかった。


お零れでも、生涯かけて愛せる自信がある。


同期の女性に関しては、根暗は居ないもの扱い。


冷たい雰囲気で廊下でエンカウントすれば、すかさず凍てつく波動。


同期のイケメンには、デレデレのバフバフ。


小心者は女性の2面性にお腹を痛めた。


同期のイケメンの彼女に関しては、雑誌で見たことあるモデルさんだ。


職場で自慢してたから覚えてる。


なんでも幼なじみらしい。


モデルさんから猛アタックして、イケメンがしょうがなく付き合ってるとの事。


結婚する気すら無いらしい。


上で上げた女性1人でも小心者は生涯愛せる自信があります。


愛に飢えております。


愛とは何なのか分からないまま、生涯を終えようとしています。


恋してみたかった。


同性の友達と飲み会やら二次会やら、お前ん家やら俺んちやらではしゃぎまわってみたかった。


上司に気に入れられたかった。


頑張ってるねって言って欲しかった。


頼られたかった。


好きですって言われたかった。


何も無い人生だった。


願うのならば、流行りの異世界にでも転生して人生やり直したいや。


ああ……もう眠いや。


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