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アオ

作者: 真芝 太陽

昔書いたものですー

書いた当時は結構気に入ってた記憶があるなぁ


イヤホンで大好きなバンドの歌を聴きながら文房具店へ向かう。

今日は日曜日で、小さな田舎町のスーパーでも少しはにぎわっていた。

荷物は最小限におさえてきたはずなのに何故か重く感じる。

文房具店の前まで来ると、私は立ち止まり聴いていた曲を止めてイヤホンを外した。

なんとなく空を見上げてみる。

うすい青色の空。

少しうろこ雲がかかっていた。

もうすぐ6月である。

午後2時の太陽はまぶしく暑い。

自動ドアを通り店に入ると少し涼しかった。

白を基調とした店内は人が少なく静かで、誰がチョイスしたかもわからない知らないバンドの曲だけが聞こえてくる。

私は前に音楽を聴きながら店に入ったことがあった。

その時、店内の曲と自分が再生して聴いている曲が混ざって気持ち悪かったことを覚えている。

だからこの店に入る時は必ず音楽を聴くのをやめるようにしていた。

店内を歩いていく。

目当てのものを手に取り、そのままレジへ向かおうかと考えたが久しぶりに来たからいろいろ見て回ることにした。

あー、これ使うかも・・・いや、やめておこう

を繰り返しながら商品を見ていく。

結局買うものはいつも店に行く前に決めていたものだけなのだ。

ふと店内に流れている歌に気を取られた。

“一人で寂しいとき 空を見上げたら

 その空は君と繋がっているって 気づいたんだ“

・・・。

私は今日、この店に入る前に空を見上げたけれど、その時感じたのは寂しさだった。

この歌のように思い浮かべることのできる友人はいるけれど、空で繋がっているから寂しくないなんて思えなかったし思ったこともない。

空を見上げたときに気づいたのは孤独感。

周りにはこんなにたくさん人がいても、知り合いなんていない。

そう感じた。

よく同じ星にいるだとか空で繋がっているなんていう歌詞を聞くけれど、私にはファンタジーのように思えた。

暗い気持ちになり、レジへと向かう。

支払いを終えると早足で店を後にした。

暑いなぁ・・・

よく見ると周りにはカップルや親子,友達と遊ぶ子供たちばかりで、私のように1人で歩いている人はいなかった。

休みの日はいつもなら家でゆっくりしているから何とも思わなかったのに。

休日じゃなくて学校の帰りに買いに来ればよかったなんて思う。

周りの人たちは笑顔で・・・

なんとなく対抗心というか、自分は一人でも別に大丈夫ですよーと言いたくて、堂々とその人たちの間を歩きぬけていった。



家に帰ると買ってきたものを片付け、テレビの前に座った。

特に見たいものがあるわけでもないが、テレビをつける。

時間はまだ3時前である。

面白い番組なんてやっていない。

いろいろとチャンネルをかえてみたが、いつもつけているチャンネルにしてぼーっとテレビを見始めた。

明日はまた学校が始まるなー

とか

明日何しようかなー

とか全くテレビとは関係のないことを考えているうちに寝てしまっていた。

目が覚めると、地方のニュース番組が映っていた。

関心があるわけでもないが、それでも見ていると聞き慣れた方言に何故かわざとらしさを感じた。

時計を見てみると、もう7時を過ぎていた。

そうだ、明日の弁当に入れる野菜がもうない。それに今日の晩御飯も必要だ。

そう思い、慌てて買い物に行く準備をして家を出る。

日が長くなってきているため、まだ外は真っ暗ではない。

気が付くと空を見上げていた。

綺麗な青色だった。

昼間見た時よりも少しだけ深い青。

はるか遠く、広いと感じる。

そこに低く浮かぶ三日月。

その周りには2・3個の星。

昔の有名な作家が描いたかのような空を見た。

胸の内に溜まっていた黒くてもやもやしたものがその空にすーっと吸い込まれていった。

「すごいなぁ・・・」

やはり空は偉大である。

そんなことを思いながら機嫌の良くなった私はスーパーへと向かっていく。

どこからか木の葉の揺れる音がする。

5月末の透き通るような涼しい風を感じていた。


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