プロローグ
成沢誠
30歳、童貞、フリーター。彼女いない歴=人生で年収は210万円ほど。最終学歴も中卒。
同時にチビでハゲでデブと三拍子揃った負のスーパーエリートでもある。
前髪は既に頭上真ん中程まで後退し、身長百五十センチで体重が百二十キロある事が俺の自慢だ(大嘘)
小学生の頃のあだ名は顔面がんもどき。中学生でクリーチャーに進化。
多分イケメンって意味だね……え? 違うって?
そんな俺はこの歳になっても定職に就けず、アルバイトで食い扶持を凌ぐ日々。
家賃と光熱費と食費を捻出したら手元に何にも残らない。
年金やら保険料やら全て未納状態なので病気になったら一発アウトで人生退場コースを爆進中である。
Q.おい、老後どうすんじゃい?
A.考えてはいけません。
なんとかなるさと自分を誤魔化しながら、ナメクジの如く社会的ヒエラルキーの最底辺を絶賛這い回り中な俺。
そんな憐れな俺を両親は助けてくれない。
と、いうか多分家族とすらも思っていない。
俺の両親にとって、「家族」とはお互い夫婦と俺の弟の事だけを指すからだ。
俺の両親は病院を経営しており、どちらも超一流大卒で医師免許を持っている。
父の方は、名前は忘れたけどアメリカのすごい大病院にインターンに行ったこともあるらしい。
そこで『奇跡の手』って呼ばれる外科の権威の下で直々に指導を受けたとかなんとか。
うん、どう凄いかは馬鹿な俺には分からないんだけどね。
所謂エリートって奴だ。明言したことはないが多分両方とも年収ニ千万は超えていると思う。
お分かりの通り、中卒の俺とは出来が違うのだよ。出来が。
そして、俺の四つ下の弟。TK大学の医学部を首席卒業した今をときめくイケメン俳優。
肩書きがごちゃごちゃして分かりにくいが凄い奴だ。滅茶苦茶頭がいい。
更にふざけたことに高校時代にサッカー部でエースストライカーとしてチームを引っ張り、ユース選抜に日本代表として選ばれた経歴もあるくらい運動神経がいい。
一時期プロスカウトの話まであったほどだ。サッカー連盟の偉い方が家に来て何度も頭を下げていたよ。内容は弟の今後について。
弟はサッカーは単なる趣味で大学に行きたいからとそれを蹴ったらしい。何と勿体ない。
無事大学に入った弟は暇になったのか今度は芸能活動を始めた。
スカウトされたから人生経験の一環でやって見ようと思ったらしい。
弟が売れっこ俳優としてテレビに出ずっぱりになるまでさほど時間はかからなかった。
当然ルックスがいい。身長が高い。引き締まった体。そして禿げていない。
最近は俳優業の傍ら趣味でバンドを組んでCDまで出した。それもミリオンヒットした。
しかも万が一芸能人として売れなくなったとしても、実家の病院で医者をやるという最強の潰しまで持っている。
非の打ち所のない完璧超人である。
話が長くなったな。
結局俺が言いたいのは俺は常に出来の良い弟と常に比べられて生きてきたって事だ。
弟が俺と同じような出来損ないだったら俺の人生はもっと違ったかもしれないのだ。
俺の父はいつも弟を見て「流石俺の息子だな」と自慢げにしていた。
その一方で俺のことをゴキブリを見るような目で「できそこない」だの「身内の恥」だと罵る。
そう、これが俺の育った環境。
俺だって優秀な一族に対抗して勉強だってスポーツだって頑張った。だけど駄目だった。
中一の時、一ヶ月間毎日六時間勉強して赤点取ったときに俺の心はぽっきりと折れた。
これは異常だと、一度知能指数を測ったら知能指数45って結果が出やがった。
だったらもう勉強以外で身を立てるしか無い。しかし生まれつき手先は不器用だ。更に運動神経も最悪だった。体育の時間の校庭ランニングではいつもビリだったしな。
俺は自分のあまりの低スペックさに泣いたよ。
……小さな頃から何をやっても上手くいかない現実。
いくら、努力しようが結果がついてこない日々。
結果が出なければ誰だって努力などしたくなくなる。
俺は段々ゲームやマンガと行った架空の世界に現実逃避するようになっていった。
家庭は裕福だったから割かし遊びに使う金はあったのだ。
ただでさえスペックの低かった俺が勉強をしなくなる。
……それが転落の始まり。
テストは零点ばかりが続き、高校は滑り止めさえも受からないという悲劇。
自動的に中卒になった俺はあっさりとニートになった。
家庭に居場所の無い肩身の狭いニートだ。
両親が居ないときは良いのだが、休みなどで居るときが最悪だ。
父や母は俺のことを睨むような目で見てくる。耐えられなかった。
父はニートに成り下がったばかりの俺に言った。
成人までは義務的に面倒を見てやる。だが、その先は他人だと。
……辛らつな言葉だった。
その日から、俺と両親は「家族」から「単なる同居人」になったのだろう。
父と母が俺に向ける視線や言葉は隣の家のおばちゃんに向ける物以下だった。
多分、俺は両親にとって隣のおばちゃん以下の存在でしかないのだと、俺はその時改めて知った。
だから俺は決まって両親が休みの日は家から逃げ出した。向かう先は大体ゲーセン。
遊んでは食って寝るだけの生活。メシは基本的に一人だった。
いつの間にか自宅で俺の食事だけ用意されなくなった。
その嫌な事実を吹っ切るために更にゲームなどの世界に没頭する。
現状を変える努力はしない。
クズなのは自覚していた。だけど、どうしようもないだろう。
どう努力していいのか分からないんだから。
認めよう。俺は人よりも遊ぶことが好きだ。人よりも怠けることが好きだ。人より出来損ないだ。人より弱い。
――そしてとある夏の日。猛暑日だった。
とうとう二十歳の誕生日を迎えて俺は家を追い出された。人生で一番最悪な誕生日だった。
それから俺は一度も実家に帰っていない。
手切れ金という悲しき名目で渡された百万円を使って安い六畳一間のアパートを借りた。
そこを拠点に生きるために毎日バイトをする。
将来の展望も無く、切り詰めた生活費からゲームや漫画を購入してそれなりに楽しむ。
上等とは言えないけど、それでも何とか生きていけるという状況。
それが俺が身を置いている日々。なかなかに慎ましい生活。
ちなみに選んだバイトは個人経営の飲食店。イタリアンとフレンチと中華を提供している鉄板焼き屋という中々節操のない店だ。更に昼限定でサラリーマン向けにショウガ焼き定食と焼き魚定食までやってるんだからアホだろと思った。作れる物は何でも出すって指針らしい。
作らされるメニューが多い割に人員がカツカツで中々にブラックなバイトだった。
朝の開店前の仕込みから何故か閉店の片付けの時間までいるってね……。
オーナーもめっちゃ怒鳴るし。殴るし。しかもその相手は何故か俺ばっか。
でもまぁ、それは俺が人より物覚えが悪かったってせいもあるかな。
あとは割と注文と違う料理作ったり、皿を数え切れないほど割ったりとかやらかしたからかもね。
……うん、よくクビにならなかったものだ。代わりにやだって程殴られたけどね。
あ、今思えばストレスによる過食で太って、ストレスで脱毛したのかも知れない。
そのバイトで約十年過ごした。
何故か俺にだけ適用される『天引き』という謎システムのせいで大分薄給だったが料理の腕はそれなりに鍛えられた。時給が少ないからその分長く働くっていう荒技で当時は給料を稼いでいた。
日に十二時間。土日休みは無し。
ちなみにやめる事になった理由は店が潰れたから。
その理由ってのが真向かいに三星シェフの経営するグループ店が出店したこと。同時期にうちの店で食中毒を出してしまったことが原因だった。しかもその人数が二十人と大規模だったせいでニュースで連日報道されてしまった。一時期経営を自粛する事態にまで追い込まれ、その間に顧客を手放し店を再開した後も経営の立て直しは困難極まりないものになった。
お客が全然来ないから暇を持てあましているバイトの俺たちにオーナーはよく切れた。一日中怒鳴りっぱなしだった。厨房の奥から客席まで聞こえるんだからそのヤバさが分かるだろう。
ウェイター君の話ではお客さんがめっちゃ気まずそうな顔をしていたそうだ。
そしてその怒鳴り声の発生源である厨房は地獄の一言。
あんまり連日オーナーが理不尽に切れるから俺以外のバイトがボイコット。
え、俺?
俺は生活かかってたからね。やめるにやめられなかったんだよ。
あと、俺は怒鳴られすぎて感覚が麻痺してたせいもあるね。あまり堪えなかった。
もうね、怒鳴られることがデフォルトだったわけよ。
それをいいことに更にオーナーは怒り狂う。
終いにはオーナーは俺の胸ぐらを掴みながら頭の血管がぶち切れて病院に運ばれた。
半ば空中分解するような店の最後だった。
それからオーナーの姿を見ることは無かった。
……で、それがつい数日前の出来事だ。しかも俺の誕生の事だった。
こんな出来損ないが産まれてしまった日だから、呪われてるんだろうか?
フリーになった俺が、次に選んだバイトは遊園地の着ぐるみのバイト。
理由は何となく楽しそうだったから。
飲食店の狭い厨房でオーナーに怒鳴られ続ける日々はもうコリゴリだった。
遊園地。かつて、俺が両親と本当の家族だった頃の思い出の場所。
夢と希望がいっぱいに詰まったおもちゃ箱のような場所。
あの頃は本当に楽しかった。意味も無く園内を駆けずり回って、迷子になって両親に怒られて。 だけどその怒った声の中に確かな愛情があって……。
……バイトの面接に向かう途中にポロリとアスファルトに涙がこぼれた。
涙はマンホールにぶつかって一瞬でジュッと蒸発した。
家を追い出されたあの日を思い出す、クソ暑い夏の日の事だった。
……面接は拍子抜けするほどあっさりと受かった。しかも即日採用。
今から時間があるか聞かれて、思わず「ハイ」と答えてしまったところ、あれよあれよという間に着ぐるみを着せられ、そこに立ってればいいからと園内に放り出されてしまった。
不安がる俺に誰でも出来る簡単な仕事だと面接をしてくれた人は言った。
本当は研修期間があるらしいけど、なんでも今日に限って俺が面接に来る前の時間帯に着ぐるみの中の人が熱中症で倒れてしまって人が足りなくなったらしい。
そういう事情なら仕方が無いかと、受け取ったのは風船の束。
寄ってきた子供に風船を配るだけいいらしい。
着ぐるみの中の人。風船と一緒に夢を配る仕事だ。わくわくするね。
……しかし、現実は中々に厳しかった。
「おい、中の奴。いるんだろ。出てこいよ!」
小学生くらいのガキが先程からしきりに俺を挑発している。
非常に鬱陶しい。
無視をしようにもガキが向こう脛をガンガン蹴り飛ばしてくるから完全に無視することも出来ない。
「ヘーい、へーい。びびってやんの。だっせぇの!」
この、クソガキ!
そう罵ってやりたいが中の人に人権などないのだ。今の俺はウッキー君。猿のキャラクターだ。
皆に笑顔を届ける幸せの使者なのさ……ハハッ!
……うん、はっきり言ってしまおう。なんてブラックなバイトなんだ。
実を言うと、立ってろという指示を受けた後誰も指示を与えに来ないのだ。
時計がないからはっきりわからないけど体感で三時間ぐらいは経過している。
うち一時間は何故かクソガキに張りつかれている。
俺なんかを構っても仕方ないだろうに、アトラクションで遊びなさい。
……しかし、この場から勝手に動いていいかも分からんし……暑い……めっちゃ喉が乾いた。
そう言えば朝のニュースで、気温は三十五度になるって言ってたな……ああ、今日忙しいって言っておけば良かった。
クソッ、着ぐるみってもっとファンシーなイメージだったのに、これじゃあ拷問器具じゃないか。しかも俺の着てるの背中チャック方式なんだよ。脱がせて貰わないと脱げないんだよ!
ただでさえ太っている俺は汗を掻きやすいのに、この状況だと流れ出る汗の量が尋常じゃない。
多分衣服が着衣水泳の直後みたいになってる。ベトベトで気持ちが悪い。
だが、着ぐるみ空間の不快さはそれだけに留まらない。
この着ぐるみ。外観を損なわないようにかのぞき穴が滅茶苦茶小さいのだ。
円で言ったら10度ぐらいの視界範囲しかない。
俺、この遊園地実は初めて来たんだよ。他のバイトに助けを求めたいがどこに居るかがわからない。どこに何があるかなんてわからないんだよ。
……と、とにかく……み、水を下さい。
だ、誰でもいいんで。何でもしますんで……。
俺は着ぐるみの丸々太った手で必死に喉をかきむしる。その拍子に配るべき風船が飛んでいってしまったがそれどころではなかった。
……ああ、やばい。なんか頭がくらくらしてきた。
……まさか……俺、死ぬの?
着ぐるみの中で死ぬの……やだな…………。
――こうして俺はぽっくりと死んでしまいましたとさ。
めでたしめでたし。
―FIN―
……とはならなかったようで。
気づけば俺はどこかのオフィスの一室でソファーに腰掛け、対面に座る神と名乗るジジイに唐突な自己紹介と現状説明をされていた。
先程とは打って変わって空調が効いているのか室内環境は快適だ。
どうやら目の前にいるジジイは【ペルリド】って世界を管理担当する神様で名前はオーフェンと言うらしい。この部屋は全ての世界から死者の魂が集まる天国って場所の一部のようだ。
「……と、言うわけなのじゃよ。すまんの」
何が「と、いう訳じゃよ」だ。ふざけるな。
【地球転生】が募集定員オーバーって何だよ。
先進的で平和且つ娯楽の豊富な地球が大人気過ぎて異世界からの転生希望者が殺到。
慌てて募集は打ち切ったけど未だ空きは無し。
本来は同世界での転生継続処理が優先されるらしいが、天国の新人受付が盛大にミスったとのこと。何でも俺の転生枠に異世界からの転生者を入れてしまったんだそうだ。気づいたときには後の祭り。元異世界人は今頃俺の枠を使って赤子として誕生してるんだってさ。
枠に余裕があれば俺を地球転生させることも可能だったが、その点は前述の通りだ。
だから溢れた俺は比較的転生枠に余裕がある異世界に転生しろってさ。
それが目の前のジジイが管理する世界って訳。
まぁ受け入れるしか無いんだけどね。
なんでも一定期間身体(器)を持たない魂は消えてしまうんだってさ。
わかりやすく言いかえると、消滅か異世界転生かの二択。
俺が地球の代わりに転生させられることになった世界は先程も名前の出た【ペルリド】
魔物がいて、剣と魔法で戦う世界らしい。
「ふざけんな。俺、喧嘩超弱いんだぞ。俺が家を追い出されるまでずっと弟のパシリだったんだぞ。なのに魔物相手とか死んじまうよ! どうにかして安全な地球に転生させてくれよ」
「すまん。無理じゃ。今回の件は完全にこちらの落ち度じゃ。じゃから代わりにとびっきりの魔法の才能をやろう」
え、マジで。才能くれんの? ごねてみるもんだな。
前世では才能の無さから親に失望されて冷遇されたからこれはありがたい申し出だ。
もし、才能があれば生まれ直した世界で両親に愛して貰えるかもしれない。
「そ、それはありがたいけど。俺、魔法とか使ったことないし、将来的に使えるようになる自信ないぞ。俺、バカだし魔法とか言う技術を理解できるかどうか不安だし」
「……ふむ。地球には魔法が無いんじゃったな。安心せい。一応魔法理論が理解できるだけの頭の良さは保証しよう。ついでに運動能力に優れた体と武芸全般の才能もやろう。万が一魔法が駄目でも身体能力の強化なら無駄になるまい」
魔法の才能の影響は未知数だ。現時点では無いよりマシってとこだろう。
でも、体が人より動けば肉体労働にありついて十分生きていくことは可能だと思う。
「そ、それなら何とか生きていけそうです。あ、でも孤児スタートとかはやめて下さいね」
「流石にわかっておる。マルート王国の第三王子に空きがあったな。それでどうじゃ?」
うわ。ラノベとかのにわか知識だけど、宮廷とか権力争いに巻き込まれる気しかしない。
……しかも第三王子って間違いなく兄弟間で争いあるよね。
「身分は……ほどほどがいいです。世渡り上手くないし、生きるのに困らなければ。貴族の集まりとかも怖いのであまり貴族と縁が無い方がいいです」
「……ふむ。欲のないことじゃのう。しかし、平民では食べるにままならん場合も多々ある。大体の家で子供は労働力とされてしまうじゃろ。貧しい農村なんかだと最悪金として売られる可能性すらもある。戦争になれば強制徴兵もされるじゃろう。こちらのミスで転生させるのにその処遇ではそれでは流石に申し訳ない。う~む、生きるのに困らなくて貴族社会と無縁のぅ……むむむ。難しいのう。ならばいっそ人間社会でなく自給自足の……」
爺さんは難しい顔をして独りごちた。後半はあまり良く聞き取れなったが、多分俺の処遇を考えているみたいだった。あの真剣な表情を見るに悪いようにはしないだろう。異世界事情なんて分からないわけだしこのまま任せてしまって良さそうだ。
「……ふむ。一応、転生先の候補は決まった。しかし、このままでは補填が足りんな。何か、希望はあるか?」
……希望か。
なら聞いてみるか。俺はまだ人生を消化不良だ。このまま終わりたくはない。
「あの、記憶とかってどうなりますか?」
「申し訳ないが引き継ぐことになるの。お前さんの件は完全なイレギュラーでの。元々お前さんは死ぬ予定に無かったからのう。天国側のミスでまだ生きているお前さんの枠を対象に転生処理を行ってしまったのじゃな。そのしわ寄せとして枠から弾き出されたお前さんは死んだのじゃよ。よって通常の転生ルートとは外れておる。申し訳ないが通常の転生処理を施せない以上記憶を消すのは難しいな。もしかすると、記憶を引き継いだせいで新しい生活で不自由を感じるかも知れん。重ね重ね申し訳ない」
あれ? 記憶を消せないことを逆に申し訳なく思っているっぽい?
俺としては引き継げた方がいいんだけど。
よし、ここは黙っておこう。
「ん、あれ? 天国がミスしたって言ったよね。つまり、俺って天国に殺されたの? その挙げ句、天国の都合で異世界に転生させられるの?」
「……そ、そうなるの。非常に申し訳ない。お前さんに落ち度が無い以上、こちらは謝ることしかできんのじゃ。だから要望があれば言って欲しい。可能な限りは善処しようと思っておる」
「じゃあ、一応確認だけど、記憶が残ったわけだけど俺が地球で得た記憶を使って転生する世界の文化に影響与えちゃった場合ってどうなるんだ?」
「こちらは転生をお願いしている立場じゃ。一切咎められんな。好きに生きるといいわい」
「それを聞いて安心した。じゃあこれは希望なんだけど、多分異世界に無いと思うんだけどさ。俺、炭酸飲料滅茶苦茶好きなんだよ。日に一リットルは飲まないと生きてられないくらい。無茶を承知だけど異世界でも飲めるようにならない? あと、連載中の漫画の続きもとか読みたいし。具体的には地球の物を取り寄せる事とかできないかな?」
「……わ、わかった。検討はしよう。しかし。問題が問題じゃ。異なる文化がどう影響を与えるわからんしの。この問題に関しては流石にワシの一存では決められんぞ。慎重に他の神々との協議の上、その結果認可された物だけという条件を飲めば良い。この件については今後神々で会議を行った上、後に転生したお前さんの夢の中に立って結果を報告する」
「なるほど、条件付きで未確定ね。最悪無しって可能性もあるんじゃ……」
俺が反芻するように呟くと爺さんの顔がギクってなった。
ん、まだ譲歩を引き出せそうな気がするぞ。
あ、そうだ。
俺はファンタジー世界に行ったらやってみたいことが一個だけあったんだ。
俺はモンスター育成ゲームが好きなんだ。
よし、それを聞いて貰うことにしよう。
「あとさ、魔物を仲間にしたり捕まえる事って出来たりする能力とかって無い?」
「……ふむ。【ペルリド】では聞かない能力じゃな。じゃが、出来なくも無いじゃろう。そういった能力など無くても馬車の荷運びに調教した魔物を使っている例もあるようじゃしの。まぁ、その場合は大人しい魔物限定ではあるがの。しかし、恐らくお前さんお望みはそうではないじゃろ。恐らく全部の魔物を仲間に出来るようにしてくれって意味じゃろ。と、なると仲間にする方法が問題じゃな。例えばじゃが魔物と思念で会話できるようにするってのはどうじゃ?」
……なるほど。魔物と会話して説得した上で仲間になって貰うって方法か。
ゲームとかでよくある、ぶっ殺したら何故か復活して仲間になるって現象よりも現実味がありそうだ。
「じゃあ、その技能を下さい。あんまり貰いすぎても悪いのでその能力で最後でいいです」
あんまり強突く張りでこれから行く世界の神様に嫌われるのもな。
と、言うわけで遅まきながら謙虚アピール。
次の人生で神様に嫌われてるって思いながら生きるのは、なんか嫌だしね。
「そうか、ならすぐにでもお前さんを転生させることになるが構わないか?」
「ああ、ひと思いにやってくれ」
――さて俺はどんな世界に転生するんだろうか。
実はちょっぴり楽しみでもある。
のんびり更新します。




