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15-16

再編集した為2話分の話しを統合しました

内容に大きな変更はありません

サブタイトルの数字もそういう意味のものですので特にお気になさらずにお願いします

 ルネの説明を聞きながら、公人は疑問を感じた点について質問をしていく。


「魔力を貸し与える?でも俺は人類種ですよ。魔力なんて無いと思うんですが」


「余り知られていないけれどどんな生き物、いえ生き物じゃなくて物質にすら魔力は宿っているわ」


「それは……初耳でした」


「勿論種族や個人による魔力の保有量に差はあるわよ。ただエルフ種や魔霊種以外はその魔力を利用したり感知する手段を持っていないだけ。魔霊種は魔力を体で感じ取るらしいけど、私達エルフ種は特殊な目を持っていて直接魔力の存在を見ることが出来るの」


 そう言ってルネは自らの目を指差す。その目は綺麗な翡翠色をしていた。


「精霊にも魔力が宿っているから、この目を使ってどの精霊の力を借りるか選んでいるわ。公人を見かけた時、人類にしては魔力の量が多いと思ったの。何より周囲に精霊が多く寄り付いている事に気づいたわ。精霊を連れながら歩いてるものだから、何か騒動を起こすんじゃないかって思って後を追ったの」


「なるほど。しかし特殊な目ですか。精霊が見えたということは、俺の目もエルフの目と同じという事ですよね?俺の家系にエルフがいたなんて聞いた事は無かったけど……」


「私達は精霊眼と呼んでいるわ。本当はどうして公人が精霊眼を持っているのか探るつもりだったのだけど、どうやら心当たりは無いみたいね。ところで公人は今も精霊は見えている?意識して見ることは出来る?」


「今は見えないですね。そういえば精霊がそこら中にいるって事は、常に視界中を精霊が埋め尽くしているんじゃないんですか?」


「それは大丈夫よ。常に見えている訳じゃなくて、見ようと思えば見えるという風に出来ているのよ。ただあんまり量が多かったりすると、勝手に見えてしまう事もあるわ。そういう時は大体誰かが大きな魔法を使う時よ」


 ルネは周囲を見渡す。公人には何も見えないが、どうやら精霊を探しているようだ。


「……今この辺りは精霊が多いわ。これでも見えていないとなると、眼の制御が出来ていないのかもしれないわね。眼を制御出来ずに魔法を使おうとすると、そこら中の精霊に魔力を無差別にばら撒く事になってしまうから、魔法が暴発する恐れがあるわ」


 昨晩魔法が暴発してしまったのは、周囲の精霊に魔力を配りすぎてしまったせいのようだ。意識が空中へと飛んで行く感覚は、魔力が外へと放出されていた為に起こったのだろう。


「最悪の場合自分の魔力を放出しすぎて、体に負担が掛かって危ないの。でも大丈夫よ、子供のエルフは皆必ず通る道だもの。修練場に着いたらまずはそこから始めましょう」


 子供と言われる事に、若干の恥ずかしさと反抗心が芽生えるが、事実まだ子供だ。それに必ず通る道という事は、それだけ対処方も確立されているのだろう。期待に逸る気持ちを抑えながら相変わらずゆっくりと歩いていく。


 その後もルネから色々な事を聞いた。この辺りの自然は昔の過ちを繰り返さない為に管理されているのだという。

 昔、戦争が起こる前に森が枯れたことがあった。原因は結局分かっていないが、広大な土地の管理を個人に任せていたままでは同じことが起こるとも限らない。

 そのため皆で協力して管理する体制を敷き、今はその為のノウハウを培う為の練習期間だそうだ。また、子ども達の魔法の練習や、自然を管理する事の大切さを教える機会としても利用しているらしい。

 精霊魔法とそれ以外の魔法についても教えてくれた。精霊魔法は名前の通り精霊の力を借り火や水、自然と言った様々なものを操る事が出来るが、それ以外にも魔法はあるという。こちらに関してはエルフよりも魔霊種がよく使うらしい。

 大きな違いといえばやはり精霊を使わないという点だろう。精霊を使わずにどうするのかと言うと、単純に体内の魔力をそのまま利用して自然や空間を操る事が出来るらしい。

 作用する力は精霊魔法に比べて強力になることが多いが、その分体内の魔力を大きく消耗するし、何より周辺の生態系のバランスが崩れやすいらしい。

 それは魔法を使った空間のみならず自然や生き物にも作用する恐れがある為、自然を愛するエルフ種は滅多なことが無い限り使わないらしい。


「魔法の説明はこんな所かしらね。他に聞きたいことが出来たら練習の後にまた話してあげるわ」


「色々ありがとうございます。正直今の話だけでもわざわざ出かけてきた甲斐がありました」


「もう、そんな他人行儀にしなくていいのに。ほら門が見えてきたわよ」


 いつの間にかエルフ区に着いていたようだ。人と話しているとあっという間に時が過ぎてしまうのだなと実感する。とは言ってもまだ日も傾いていない所を見ると、それほど時間は経っていない様だ。明るいうちに辿り着けてなによりだ。門をくぐる所でルネが見張りの兵士に声をかける。


「ただいま。二人共お疲れ様」


「おかえりなさいませ。ルネ様、そちらの連れの方は?」


「この方は神霊区で私が男性に絡まれているのを助けてくれたの」


 実際は逆なのだが、話をややこしくしないよう黙っておく事にする。二人の兵士は公人を観察する。若い方の兵士の視線はやや怪訝な、老いた兵士は感心した様な目を向けている。

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