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13-14

再編集した為2話分の話しを統合しました

内容に大きな変更はありません

サブタイトルの数字もそういう意味のものですので特にお気になさらずにお願いします

 ルネは困った様子の公人に対し上品に笑いながら提案する。


「もし良ければ私が魔法について教えてあげましょうか?」


 願ってもいない言葉だが僅かに躊躇う。このルネという女性を疑う訳ではないが、そこまでしてくれる理由が分からない。

 自分に接触してきた理由も、魔法が使える人類種だったから興味を持ったという事らしいし、それだけの事で初対面の相手にそこまでする理由があるのだろうか。

 しかしここで断ってしまうと自分としても後が辛い。少々言葉を濁しながら探りを入れることにしよう。


「非情に有難いんですが……何故そこまでしてくれるんですか?余りお世話になりすぎるとこちらもお礼をするのに少々困ってしまうというか……」


「あら、友人が困っているというのに手を貸さないのはエルフ種の名折れよ。それに先程も言ったように私はあなたと仲良くしたいのよ」


 それでも渋る公人に、ルネは困ったように付け加える。


「……私にも打算的な部分が無い訳ではないわ。魔法が使える上に先程の男と相対した時の動き、足捌きと言いその後の反撃と言い見事でした。武術には疎いので何をしたのかさっぱりでしたが、何かをしたという事くらいは分かりました」


「それは、ありがとうございます」


「前途有望な若者と縁を深めたいと思うのは当然だと思います。今何かをして貰いたいのでは無く、今後力を貸していただきたい事があるかもしれませんから。これで納得してもらえるかしら?」


 友人だとか有望だとか言われて心が上擦ってしまいそうになるのをなんとか堪える。友人どころか知り合いも少ないし、夜一からも厳しい指導はあれど褒められた事もあまり無かった。

 それは置いといて打算的な理由というのも納得できる。未来への投資として人脈を拡げておきたいという事だ。それに疎いと言っておきながら、自分の動きを見て武術と断定出来るあたり全くの門外漢という訳でも無いのだろう。上流階級出身という印象もあながち間違いでは無さそうだ。

 だとすれば自分にとっても、人脈を広げるチャンスになるかもしれない。近頃は夜一からも人との繋がりを大切にしろと言われていた事だしいい機会か。


「分かりました。変なことを言ってしまいすみません、ぜひとも教えていただきたいです」


「ふふっ。それでは早速場所を移しましょうか。エルフ種区内に今は使われていない魔法の修練場があるのでそちらへ行きましょう」


 二人は席を立ちせめてもの礼にと公人が二人分の支払いを済ませ外に出ると、神霊種区を抜けエルフ区へと続く道を歩いていく。今歩いている道のすぐ傍らには草原が広がりあちこちに花が咲き乱れ、遠くを見やれば更に緑が色濃くなり木々が生い茂っている。樹海の様な鬱蒼とした雰囲気は無く、自然の美が感じられるような神秘的な雰囲気を醸し出す。まさに自然を愛するエルフ種が好みそうな風景だ。

 それに今日は天気が良く爽やかな風が心地いい。まるでピクニックにでも来た様な穏やかな気持ちになる。食後の腹ごなしに散歩するのにはうってつけの場所だ。そんな場所だから特に急ぐ気にもなれず、公人はルネに歩調を合わせのんびりと歩いている。


「綺麗な場所でしょう?ここの自然は全てのエルフ達が共同で管理しているの」


「これだけの広さを管理するとなると、やはり大勢の人手が無いと大変でしょう」


「いえ、実は管理にはそれほど手間はかからないのよ。そうね、例えばどこかのエルフの家族に管理を命じれば事足りるわ」


「ということはやはり魔法で作業をしてるんですね。では何故共同で管理を?」


 管理に手間がかからないのなら、余分な人員を配置するのは無駄であろう。


「少し話が長くなってしまうけれど、まだ時間はあるし丁度いいかしらね……魔法で作業をしていると言ったけれど少し違うわ。私達は精霊の力を借りてこの自然を守っているのよ」


「精霊ですか?」


「精霊についてはあまり知らないかしら?精霊は固有の形を持ってはいないけれど、公人も魔法が使えるなら見た事が有る筈よ」


「俺にも見えている……?もしかして魔法を使う時に見えたあの光が?」


「そうよ、それが精霊。そして私が公人が魔法を使えると気付いた切っ掛けでもあるわ。じゃあまずは精霊の事から教えてあげるわね。勿論魔法とは切っても切れない関係だから知っておいた方が良いわよ」


 公人は歩調を緩め、思わず精霊を探してしまう。しかし、やはり簡単に見えるものでは無いようだ。


「精霊はこの世界の至る所に存在しているわ。そして精霊はそれぞれに違う性質を持っているの。火や水や風と言ったものが代表的な例かしらね。その性質を司る精霊は、それに関連するものを自在に操ることが出来る」


 語りながらルネは実際に火や水をその場で作ってみせる。


「これを利用したものを魔法、私たちは精霊魔法と呼んでいるわ。でも精霊だってただじゃ力は貸してくれない。私たちは自分の魔力を精霊達に分け与えることでその力を借りて魔法を使っているの」

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