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 人類種区と神霊種区を繋ぐ舗装された道は、大部分が破壊されていた。言わずもがな、人造種の仕業だ。区間を結ぶ道に神霊種は関与していない為、ここでなら何をしても神霊種の裁きを受けることは無い。

 足場が悪くなったことで、公人以外の足が遅くなっている。応援を呼ばせない為の策だという事には皆すぐに気付いたが、気付いた所でどうしようも無い。足場に関わらずペースを落とさなかった公人だけが先行して人類種区へと向かった。

 その道すがら、人造種の姿は一つも見ない。どうやら人類種区を襲撃する役と、神霊種区で足止めする役で分かれていた様だ。それはつまり、既に人類種区には十分な戦力が投入されているという事でもある。


「これは……」


 普段の半分以下の時間で会場から人類種区へと辿り着いた公人は、その光景に息を呑んだ。

 既に区の入り口周辺の建物は軒並み壊され、道端には負傷者が倒れている。近くには人造種の残骸も幾つか転がっているが、明らかに人類種側の方が被害が大きい。

 手当したいのはやまやまだが、一人一人の容態を見ている時間も無い。区の奥からは、まだ叫び声と破砕音が聞こえてくる。公人は加勢に行くため再び走り出す。


 区内を適当に走り回るだけで多くの人造種を見かけた。公人は見つけた人造種を片っ端から破壊していく。人の気配が有る場所では普段から身に付けている刀で、そうでない場所では魔法も使って効率的に倒していく。

 しかし一向に人造種の数が減っていく気配が無い。既に刀はなまくらになってしまい使い物にならなくなってしまったというのに。


「公人!広場に向かえ!」


 使い物にならなくなった刀で人造種の攻撃を受け止めながら、その声を聞いた。声の主は四年前、飛鳥馬と代表の座を賭けて戦ったあの武人だった。


「広場?一体何が!?」


「あそこに元凶がある!けど誰も手を出せねぇ状況だ……だが、お前なら何とかなる!」


 元凶があるとは一体どういう事だろうか。だが考えている時間も無いため、目の前の人造種を瞬時に片付ける。しかし次から次へと現れる人造種に、公人は足止めされてしまう。


「行け!ここは俺が食い止める!」


 瞬時に公人の前に飛び出した男は、凄まじい勢いで人造種へと突撃していった。怪力で無理やり人造種を持ち上げると、そのまま地面へと叩きつける。その後も現れる人造種達を通すまいと、捕まえては投げ飛ばしている。

 その隙に公人は言葉の通り広場を目指して駆け出した。すると人造種の数が目に見えて増え始める。

 倒すのは容易いが、今は一刻も早く広場へと向かわなければならない。隠形を使いながら人造種達の間を駆け抜ける。誰にも気付かれることなく広場へと辿り着いた公人は、元凶と思しき物体を目の当たりにした。


「あれが元凶か!」


 広場の中央には二つの大きな柱が建てられていた。その柱の間からは、まるで門を潜るかの様に次々と人造種が現れてくる。

 恐らくは空間転移をしているのだろう。あの装置があるせいで、いくら倒しても数を減らすことが出来なかったのだ。

 装置の近辺には巨大な人造種が二体立っている。近くには折れた刀や弓矢が散らばっており、一定の距離を置いて周囲を大勢の人類種が取り囲んでいた。


「すみません。俺達だけでは歯が立たなくて……でも公人さんなら!」


「えぇ、何とかやってみましょう。あの二体について分かっている事を教えてください」


 話を聞くと、どうやら二体の人造種は役目が分かれているそうだ。片方は一定距離以上に接近しようとした者に襲いかかり、近くに敵がいない時は門から現れた人造種を守る様に動くらしい。

 もう一体は飛んできた弓矢などから門を守るように動いているそうだ。こちらは基本的にはずっと門から離れず、門を守る事のみに専念している。

 そして門から出てきた人造種は、襲われた時のみ反撃してくるという。こちらが何もしなければ四方に散って破壊活動を行う様だ。


「なるほど……分かりました。ここから現れる人造種は全て俺に任せて下さい。皆さんは破壊活動を行っている人造種から区を守って下さい」


「分かりました。お前らぁ!ここは公人さんに任せて、湧いてきた雑魚どもを壊しに行け!これ以上区を破壊させるな!」


 その号令で囲っていた者たちが散らばっていった。その間にも新たに敵が湧いてくるが、その全てに落ちている石や折れた刀を投げつけていく。強大な二体を動かさない様、適切な距離を取りつつ一体ずつ処理していく。

 瞬く間に十数体もの人造種を破壊すると、流石にやりすぎたのか巨大な人造種のうちの片方が動き出してしまった。


「動き出したか。でも、時間稼ぎは十分出来た」


 既にこの広場周辺に人類種の姿は無い。それはつまり、公人が本気を出せるという事でもあった。

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