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19-20

再編集した為2話分の話しを統合しました

内容に大きな変更はありません

サブタイトルの数字もそういう意味のものですので特にお気になさらずにお願いします

 公人は初めて魔法を使った昨晩の事を思い出す。忍術の修行をするために森の中にいた。火を扱う術を使うため広い場所に移動し練習を開始したが、忍術には失敗した代わりに魔法が発動した。

 そういえば何か妙な感覚があった。周囲の色彩が変わったように見え、術のために内に向けていた意識が外に向いていた。

 あの時見えた光景は、今思えば精霊をその目に写し魔力を与えていたという事だったのだろう。森の中だったため精霊の数が多かったのも起因しているかもしれない。

 次に店での事を思い出す。あの時は酔っぱらいに絡まれていた。そして酔っぱらいが水の入ったグラスをルネに投げつけた。その時は意識がルネの方へ向いていてグラスを投げるのを止められなかった。

 水が飛び散りながらグラスがルネの方へ飛んで行くのを見て避けてくれと強く念じていた。その後はルネが魔法を使い難なくグラスと水を受け止めている。

 その際にはやはり光が見えているが自分が魔法を使った時とは違いルネの手の周りだけが光って見えた。つまりは自分とは違いきちんと指定した精霊にのみ魔力を与えているということだろう。


「共通点は……意識を外に向けている事か?もしくは火や水をイメージしていた事か、あるいは両方か。すみません、もう一度水の魔法を使ってもらえますか?」


「水の魔法ね、分かったわ」


 ルネは再度魔法を発動する。しかし公人の目には先程と同じ様にしか見えなかった。ルネはその後も火や風の魔法を使ってくれるがやはり変わらない。何か他に要因があるのだろうか。他に共通点を考えてみるが分からない。


「精霊が見えないと魔法の練習は出来ないわ。でも焦ってはダメよ。魔法は集中力が重要なの。まだ時間はたっぷりあるわ」


 そう言いつつルネは手元の火の玉を自在に操りあちこちに振り回して見せる。壁にぶつかるギリギリで急制動を掛けたり、ジグザグに動かしてみせたりまるで曲芸師の様だ。結構な速度が出ているが、火の玉の大きさは常に一定に保たれている。あのサイズだとどれ程の威力が出るのだろうか。

 自分が最初に作った火の玉はあれよりもやや小さめだったが、木をまるまる一本焼き尽くしてしまったのだ。そう思うと急に危機感が募ってきた。このまま目の制御が出来なければまた魔法が暴発してしまうかもしれない。

 昨日は誰もいなかったから良かったが、場合によっては周囲を巻き込んでしまう恐れがある。何が何でも制御してみせなければならない。


「もう、今の話を聞いてた?ちゃんと集中しないと危ないわよ?」


 そう言ってルネは火の玉を公人に向けて飛ばした。勿論本当に当てるつもりは無いのだろうが、公人は先程の考えから危機感を覚え反射的に回避行動を起こす。

 だが元々当てるつもりの無かった火の玉の軌道は大きく横に逸れている。公人は運の悪い事にルネが火の玉を曲げる予定だった方向へ避けてしまった。火の玉はなおも公人へ襲いかかる。

 その瞬間公人の目に映る景色が変わった。初めて魔法を使った時と同じ様に色鮮やかな世界。しかし今度は動揺しない。今ではこの色鮮やかな光景が精霊眼によるものだと理解出来る。

 火の玉を見れば炎の明るさだけでは無い、鮮やかな赤が明滅している。ルネの手元にも同様の光が明滅している事から、この光は精霊であり、同時に魔法を使うという事なのだと確信した。

 そして初めての時には気付かなかったが、今見ている光景は全てスロー再生されている様に見える。意識が研ぎ澄まされ、火の玉の軌道やルネの手の動きががはっきりと視認出来るこの状態には覚えがある。

 夜一との修行で手合わせをしている時に相手の腕や足の動き、剣筋といったものが見て取れる時がある。その感覚と非常に似ているのだ。どうやら自分はそういう戦闘時の様な極限状態の集中力や興奮が、精霊眼の切っ掛けになっているのだと理解した。


「ダメ、ぶつかる!」


 ルネは魔法を止めつつ思わず目を瞑る。あのタイミングでは間に合わない、そう思いすぐに水の魔法の準備を整え、直ぐに救助に向かう心構えをし目を開ける。

 だが予想に反しそこに燃えているはずであろう公人の姿は無い。まさか一瞬で燃え尽きてしまったのか、そんな威力で放った覚えは無いと思い周囲を見渡すと自分のすぐ真後ろに公人が立っていた。


「ひゃっ!びっくりした……いつの間にそこにいたの?」


「驚かせてしまってすいません。今のは人類種が数多く伝える武術の中にある移動法の一つです。動きの気配を極力殺しながら高速で移動するので、人によっては瞬間移動したように見えるかもしれませんね」


「そうなの……ごめんなさい。公人が避けてくれなかったら大怪我をさせてしまう所だったわ」


「いえ、気にしないでください。おかげで感覚が掴めそうですから。ちなみにあの火の玉はどの程度の威力だったんですか?」


「殺傷力はちゃんと抑えてあるけど、当たった部位はキチンと治療しないと火傷で壊死してしまうかも……あ、私はちゃんと治癒魔法も使えるから怖がらないで!」

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